ダウンして生じた問題
最終章43話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「ペース早過ぎた……」
ランドとサーヤと共に飲み始めて30分。クジラは真っ赤な顔で気分悪そうに一言呟いた。
「少し飲ませすぎちゃったかな……?ごめんねクーちゃん、少しお水を飲もうか」
「あ、ありがとう……」
「も〜、ランド先輩がクジラさんのペースを考えないで自分のペースに合わせてグイグイと飲ませるから行けないんですよ〜?自分がお酒にめっぽう強い体質って事を理解しなくちゃダメなんですから〜」
「おーい、こっちももうダメになってんよ〜」
サーヤがランドを叱っていると、ヨシノがこっちもダメだとランド達に呼び掛ける。ヨシノとシータが、グデングデンになったリーシャに肩を貸して運んできていた。
「うぅ〜、お父さんとお母さんと一緒にお酒飲めたのが嬉しくて、つい沢山飲んじゃって気分悪いよぅ……」
「あちゃ〜、主役がどっちも酔い潰れちゃいましたか〜。パーティの締めの挨拶とかはもう無理そうですね〜」
ヨシノとシータが、クジラと同じくらいグデングデンなリーシャをクジラの隣の椅子へと座らせると、2人の様子を見たサーヤは苦笑いを浮かべ、一言喋る。
「ぶっちゃけ、締めの挨拶なんてどうでも良いんよ。1番困るのは、クジラが空間移動で連れてきた皆をどうやって送り返すかが問題なんよね」
そんなサーヤの一言をどうでも良いと言ってバッサリ切り伏せると、ヨシノは割と真剣に悩まなければならない問題を口にした。
「……あぁっ!そういえばそうでしたね!?ランド先輩!ヨシノちゃん!これを解決する良いアイデアはないんでしょうか!?
「俺はヴァーチュに頼んで、ヴァーチュの空間移動で送って貰えば良いと思うな。早速、頼めないかヴァーチュに聞いてくるよ」
ヨシノが告げた問題を知ると、大袈裟に驚いた後、2人に問題を打開する良いアイデアは無いのかと尋ねるサーヤ。ランドは特に考える様子も無く問題の解決策を言うと、勇者達と共に酒を飲み上機嫌なヴァーチュの元へと向かっていった。
「……あ、オーケーみたいですね!はぁ〜、良かった良かった。私とランド先輩がクジラさんをベロベロに酔わせた事が原因で、もしも多数の方が家に帰れなくなったりしたら申し訳なさがマックスで永遠と頭を下げっぱなしな状態になってましたよ〜」
ランドがヴァーチュの元に交渉に行き、頭上に大きく丸を作ると、サーヤはホッと胸を撫で下ろす。
「あひゃひゃひゃ!良かったじゃん。まあ、もしもそんな状況になっても、私のデパートの使われていない階層を変幻魔法で改造すればなんとかなったと思うんよ」
「さっすがヨシノちゃん!ここぞって時に頼りになりますね〜!今度、私が困ったら是非とも助けてくださいね!」
「ん、気が向いたら助けてやるんよ」
「そう言いながらも、惜しげなく助けてくれるのがヨシノちゃんって知ってるんですからね!……まあ、とにかく安心しました。あとで魔王ヴァーチュさんにお礼を言わなければなりませんね」
サーヤはヨシノと雑談を楽しんだ後、スッと真面目な表情に戻るとヴァーチュに礼を伝える事に決めた。
「それが良いんよ。んじゃあ、ちょっとした甘味でも作ってやっから、それを礼と一緒に渡すと良いんよ」
「ヨシノちゃんありがと〜!パーティが終わって、魔王ヴァーチュさんが皆を送り届け終えた後にお礼と共に渡しますねっ!」
「おけおけ、ここの余った料理を変幻魔法で和菓子にでもすりゃあ良いか。ちょっと待ってな」
ヨシノは、クジラの代わりに面倒事を引き受けてくれたヴァーチュに礼をするべく、変幻魔法を使ってその辺の余った料理を甘味へと変化させてゆく。サーヤは余った料理が常識を無視して甘味へと変化していく光景を眺めながら、なんて礼を言うか考えるのだった。




