凶悪なタイミングで
最終章41話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「うぇへへへ〜、2段のホールケーキ最高〜。超幸せ〜」
「うん、凄く美味しいね。リーシャ、頬にクリーム付いてるよ。ジッとして?」
場所はアゼリアアリーナから変わって女将の小料理屋。リーシャは今にもとろけそうな表情を浮かべながら2段のホールケーキの2段目を切り分けもせず皿に乗せ、頬張って食べていた。ケーキ入刀などで使われるビッグサイズではなく、5人くらいで分ければ十分食べ切れそうなサイズのケーキであり、それをクジラとリーシャの2人で分けて食べている。ちなみに参列者達の食後のデザートは、2段重ねではないごく普通のケーキだ。
「えへへ、ありがとうクジラ。どうせならクジラの舌でペロッと舐めとってくれても良かったんだけどね?」
「流石に人前ではそんな事しないさ。誰かに見られたりしたらきっと、恥ずかしさでここに座っていられなくなるよ」
「クジラは恥ずかしがり屋さんなんだから。それならアーンくらいなら良いよね?はい、アーン?」
リーシャは、恥じらう姿を見せるクジラを見てクスクスと笑った後、アーンと言いながら自分の口をクジラに向けて開く。
「あ、僕がリーシャに食べさせる方のアーンなのね。ほらお食べ」
「はむっ、えへへへ美味しいね!もちろんクジラも私にアーンをされるんだよ?はい、アーンして?」
クジラは彼女の言葉的に自分がアーンされる側かと思ったみたいだ。しかし役割が逆だった為、その事を口にした後、早く早くと目で訴えてくるリーシャの口にフォークで一口大にしたケーキを入れてやった。彼女はそれを食べると、嬉しそうに美味しいと伝える。そして、もちろん逆もだと言ってクジラに口を開くよう指示した。
「わかったよ。アーン」
クジラはやっぱり逆もやるのかと思いながら、口を開く。自分達のイチャラブな光景に気付いた者達に指を差され温かい目を向けられたりしていたが、全く気にしていない。
「はいどうぞ。どう?私から食べさせてもらったから特別美味しかったりする?」
「んー、どうだろ。でもなんか、自分で食べるよりも幸せな気分になる気がするかな?」
「えへへ、私もそんな気がしたかなぁ〜」
食べさせ合いをした後、幸せな気分がすると言って笑い合うバカップル。だいぶ2人の世界に入っており、徐々に増していく周りの視線なんて全く気付いていなかった。
「クーちゃんとリッちゃん、超ラブラブだねー!」
「にゃはは、いっぱい見られてるのに堂々としてて凄いねっ!」
参列者ほぼ全員がクジラとリーシャを眺め始めた頃、リンとレンはバカップルの元へと駆け寄ると、とても楽しげに声を掛ける。悪魔的タイミングでの声掛けだ。
「へ?いっぱい見られ……」
「ふわぁぁっ!!??なんでみんなそんな温かい目をして私達を見てるのさ!?」
リンとレンの声により2人だけの世界から脱出した2人は、周りの目線に気付くとボフッと顔を真っ赤にする。
「にひひ、2人とも顔真っ赤〜」
「ララちゃんの言う通り、2人を弄ると楽しいね!」
リンは真っ赤な2人を見てニヤニヤと笑い、レンはララの方を向いて大成功というような感じでピースをした。どうやら、このタイミングで声を掛けたのはララの差し金らしい。彼女はクジラとリーシャが2人の世界から戻ってきた途端に顔を真っ赤にしているのを見て、死ぬほど笑っていた。
「義姉さん!!今日という今日は許しませんよ!?リーシャ!泣くまで全力でくすぐってやって!」
「了解だよクジラ!ララちゃん覚悟ぉぉぉぉぉっ!!!!」
レンのおかげで自分達が羞恥に悶える事になった元凶がわかると、クジラとリーシャは目を合わせて頷き合い、ララに向かって襲い掛かった。まだまだ楽しい宴は続く。




