クジラの策、決着
最終章37話になります!
最近の気候の変化に適応出来ず、体調崩して死に掛けてるので今日も1話のみにさせてもらいます。下手したら明日も1話になります。
それではどうぞ。
「リーシャ!最悪僕ごと撃破してね!」
そしてクジラは、一言リーシャに伝えるとヴァーチュめがけて突進した。
「あぁ?おいクジラ!打つ手がなくなったらヤケクソに突っ込めなんて教えた覚えはねえぞ!後日のトレーニング、覚えておけよ!?おらぁっ!」
「掛かった!!」
ヴァーチュはその行動をヤケクソと判断し、若干怒りながらクジラにヤクザキックを打ち込む。別に倒れこむ程の蹴りではなかったが、クジラは蹴られたと同時に自分から勢いを付けて後ろへ跳んで背中から倒れこむ。
「は?うおぉぉっ!?」
それに困惑するヴァーチュ。だが、次の瞬間には彼はバランスを崩してクジラと同様に倒れ込んでしまった。何故か、クジラの蹴っ飛ばした箇所にくっ付いたまま離れなかった為、ヤクザキックをした足が前方に引っ張られた事で立っていられなくなったのだ。
「ほぇぇっ?……あ、チャンス!魔法斬ッ!!」
リーシャは間抜けな声を出して状況を飲み込めない様子だったが、即座にチャンスだと気付くとヴァーチュ直伝の奥義を発動してヴァーチュに斬りかかる。
「いってええええっ!!おいクジラぁ!なんだこれ!俺の足がお前から離れねえぞ!」
「うむ、見事な一太刀が入ったし、試合終了じゃな。勝者、リーシャちゃんとクジラ君!」
ヴァーチュがリーシャの魔法斬による痛みに悶えながらどうにかクジラから足を離そうとジタバタしていると、会長が側に駆けつけて来て試合終了を告げた。
「……はぁ、成功して良かった。服は新しいのに新調しなくちゃいけなくなったけどね」
クジラは、特攻による拘束が成功した事により勝敗が決まった為、ひと安心しながら息を吐く。ヴァーチュが拘束から逃れようと暴れまわった事で、お腹や腕に相当な痛みがあったみたいだが、それよりも勝利の方が嬉しいといった様子だ。
「もう少しヴァーチュの動きを制限した方が良かったのう。まさかヴァーチュが、あれほど制限しながらもここまで動けるとは思っていなかったんじゃよ。まさかあそこまで動けていたヴァーチュに勝つとは思わなかったのう。けっしてカッコ良い勝利ではないが、勝ちは勝ちじゃ。誇って良いぞい?」
会長の想定ならば、ヴァーチュは今回の試合の数割は弱体化しているはずだったらしい。よく勝てたなと驚いた様子で会長は2人に称賛の声を掛けた。
「おいクジラ!勝ち負けよりもこれはなんだ!足がお前から全く離れねえぞ!とりあえず立ちてえから靴紐解いてくれ!今俺が靴紐解く為に体勢変えようと動いたらお前は少し痛い思いをするぞ」
「ああ、わかったよ。はい、解いたよ」
「おう。で、何故俺の靴はお前の腹にぴったしくっ付いてるんだ?」
クジラは指示を受けると、自分の腹にくっ付いたヴァーチュの靴の紐を引っ張り解いてやる。ヴァーチュは礼を言いながら靴を脱いで立ち上がると、クジラの靴にぴったりとくっ付いて落ちる様子がない靴について聞く。
「超強力な接着剤を具現化したんだ。それで、攻撃を受けるのを覚悟で特攻してヴァーチュに接着剤を触らせて、ご覧の通りって感じだね。おかげで仕事着を新調しなくちゃいけなくなったよ」
クジラはヴァーチュがすっ転んだ事のネタバラシをした。それを聞いていたリーシャ、会長は苦笑いである。
「俺は接着剤なんかに負けたのかよ!畜生!クジラァ!とりあえず明日から全力で修行だからな!結果的にお前達の勝ちかもしれねえが、お前の動きはあまりにも酷過ぎる!覚悟しろよ!?」
「断る!明日は仕事をさっさと終わらせて、リーシャとのんびり過ごすんだ!それに故郷から家族と親友が遊びに来てるし、みんなと食事を食べに行ったりしたいからね!そんな事よりも会長さん、模擬戦は終わりましたけど、まだ続けるんですか?僕はもう疲れたんで続けるのなら、隅っこで観戦がしたいです」
「そうじゃなあ、リーシャちゃんはまだまだ余裕そうじゃし、勇者の面々でバトルロワイアルでもやろうかのう。よし、決まりじゃ。勇者の面々よ!今からバトルロワイアルをやるぞい!」
クジラに次はどうするのかと聞かれると、少し考えた後に勇者の面々をステージに集めだす。
「えへへ、クジラクジラ!頑張ってくるね!」
クジラがヴァーチュと共にステージから降りようとすると、リーシャはニコリと笑ってクジラに一言伝えるのだった。




