策はあるけど……
最終章36話になります!
本日は1話のみの投稿にします!
それではどうぞ!
「ふっ!!」
「遅いぞクジラッ!!棍の扱い方的に最近鍛錬を怠っていたのが丸わかりだっ!」
「隙ありぃぃぃぃっ!!」
「あぶねっ!リーシャ、お前は十分認められる腕前だ!けども、今の動きが制限されてる俺はともかく、全力の俺に一撃を当てるのはまだまだ早いだろうな!」
ヴァーチュは全身に黒いオーラを纏いながら、クジラとリーシャの攻撃を捌いていた。クジラの攻撃に関しては危なげなく余裕で捌いていたが、リーシャの攻撃に関しては時々ガードが間に合わず当たっていた為、僅かながらダメージを受けていた。
「クジラ!このままじゃ勝てないよ!何か策を考えて!」
リーシャはヴァーチュと打ち合いながら、横で簡単にあしらわれているクジラに作戦を練るよう告げる。ヴァーチュがだいぶ余裕なのに対して、自分達は若干息が切れ始めていた為、このままだと勝利が厳しい戦いであると感じたみたいだ。
「今の所、2つ程はある!その機会を伺ってるから、リーシャはいつでも必殺技が出せる準備をしておいて!」
「……わかったよ!クジラを信じる!」
リーシャの言葉に、2つ策があるんだと叫ぶクジラ。彼女は少し沈黙した後、クジラを全面的に信頼する事に決め、必殺の一撃がいつでも放てるように万全な状態を維持しておく事に決めた。
「ありがとうリーシャ!(さて、策はあると言ったものの、頭に浮かんでるのは僕がヴァーチュを拘束してリーシャに倒してもらうか、後日、全力でシゴかれるのを覚悟して僕が遠距離に逃げて徹底的に具現化魔法の嫌がらせをするかだ。前者の方は、ヴァーチュを相手に僕が拘束出来るのかわからないから、95%くらいの確率で失敗するんじゃないかな。後者については、勝敗は半々くらいだろうね。……さあ、どうしたものか)」
クジラは自分の事を信頼してくれたリーシャに礼を告げた後、心の中で策について考え始める。どちらも彼の中では勝ち目の低い作戦のようだ。
「おらクジラァ!ボーッとしている暇はねぇぞ!果敢にぶつかって来い!ただ俺の周りにひっ付いて防戦しているだけじゃあ勝てねえし、なんの意味もねえぞ!」
クジラが身を守る事に徹して策を練っていると、ヴァーチュは彼に向けて声をあげる。
「作戦考えながら攻撃なんて出来るか!しかも僕はやりたくて接近戦をしている訳ではないのに!(……ん?良い作戦が思い付いたかもしれない)」
クジラはヴァーチュの言葉に対して文句を告げ返した後、作戦を思い付いたかもしれないと心の中で呟きながらニヤリと笑う。
「リーシャ!最悪僕ごと撃破してね!」
そしてクジラは、一言リーシャに伝えるとヴァーチュめがけて突進した。




