最強魔王との対決
最終章34話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「うむ、3人とも良い顔をしておるのう。本来、審判として一方の肩を持つのはアウトじゃが、今日ばかりはクジラ君とリーシャちゃんを応援させてもらうぞい。……それじゃあ武器を構えるのじゃよ」
会長は緊迫した空気の中、相対する3人を見てカラカラと笑い、クジラとリーシャにだけ檄を飛ばす。そして数秒後、おふざけは止めて気の引き締まった声で武器を構えるよう3人に告げた。
「…………はじめっ!!」
ガチィン!
会長による戦闘開始の合図がアゼリアアリーナに響いた次の瞬間、リーシャの太刀とヴァーチュの上段回し蹴りがぶつかり合う。ヴァーチュの方は普通の蹴りでなく、魔王の力を応用した黒いオーラのようなものを足に纏わせながら蹴りを放っている為、太刀と接触しても無傷だ。
「ヴァーチュ、本当に重りを付けてるの!?私と速さが変わらないじゃん!」
「へっ、だいぶ遅くなってるんだぜこれでも。確か、今身に付けてる重りは全部合わせて50kg位だったな」
「私1人分!?やっぱりおかしいよ!クジラ!ヴァーチュが動き辛くなるように全力で妨害して!」
「わかったよリーシャ!くらえっ!」
太刀と蹴りがぶつかり合った直後、つばぜり合いには持ち込まず、共に大きく一歩後ろに引き退る2人。そして、リーシャは1つ質問をして驚いた後、クジラに徹底した妨害を頼んだ。彼は彼女の頼みを快諾し、50cmほどの長い針を大量に具現化し、即座に空間の裂け目を複数展開して具現化したての針を落とす。それはヴァーチュの頭上や、彼が飛び退きそうな位置に一斉に飛来する。
「があぁ!うぜえ!お前の具現化魔法、発動準備はほぼ無いし、弾数も無駄に多いから相変わらずうぜえぞ!」
ヴァーチュは飛び退く事なく、包帯でグルグル巻きにされてほぼ使用不可な腕に黒いオーラを纏わせる。それから彼は、包帯のせいで腕を伸ばしきった状態のまま振り回し、針を弾き落とす。
「隙だらけだよっ!」
クジラの攻撃のおかげで自分から視線が外れた事を確認すると、今がチャンスと考え行動を起こすリーシャ。クジラの針に当たらぬ進路を即座に見つけると、そこから凄まじい速度でヴァーチュに接近して太刀を突き立て突進した。
「隙なんてねえよ!」
ドスッ
だがしかし、その攻撃は失敗に終わる。リーシャの事を横目でチラッと確認すると、突進と共に渾身の突きを入れようとしているリーシャの太刀を半歩横に移動する事で回避し、彼女のお腹に目掛けて膝を勢い良く上げるヴァーチュ。
ガツッ!
「いってぇぇぇぇっ!!??」
「……へっ?あれっ!?」
リーシャは失敗したが、痛い目に会うのはヴァーチュの方だった。
「ふう、なんとか間に合った……」
クジラが空間移動の応用により、空間の裂け目をリーシャのお腹の前に展開した事で、ヴァーチュの勢い良く上がった膝は硬い石の壁にぶつかったのだ。完全に不意を突かれたヴァーチュは本気で痛がっている。
「クジラありがとおおおお!!」
リーシャはここで追撃すれば勝てるかもという発想が頭によぎったみたいだが、それと同時に最悪の展開も考えた結果、深追いはせず、体勢を立て直す為にヴァーチュが痛がっている隙を狙いクジラの元へと逃げ戻っていく。そして、ヴァーチュが動きを止めている間、戦闘中なのに関わらずイチャつくのだった。




