相対
最終章33話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「俺はいつでも良いが、もう始めるか?というか、さっさと終わらせてこのグルグル巻きな腕を開放してえんだ」
ヴァーチュは腕を組もうにも包帯グルグル巻きで肘が曲がらない事にイラつきながら、クジラとリーシャに早く始めてほしいと伝える。
「リーシャ、リーシャはいつでもいけるかな?」
「えへへ、もちろん!クジラの方は大丈夫?」
「うん、僕はいつでも。作戦はいつも通り、リーシャが前で大暴れして、僕が後ろでヴァーチュに対する妨害工作って感じで良いかな?」
「それが私達のコンビに1番適した戦い方だもんね!その作戦でいこう!ヴァーチュ!私達の準備は大丈夫!いつでも掛かってきて良いよ!」
クジラとリーシャは互いに大丈夫かと聞き合い、簡単な作戦会議が終わると2人してヴァーチュの方を向き、いつでも掛かって来いと告げた。
「おう!俺の動きがだいぶ制限されてるから少し調子に乗ってるみたいだし、全力で叩き潰してやるよ!クジラ!お前は俺の弟子なんだから、師匠を驚かすような動きをしてみせろよ!ずっと後ろで援護してるだけとか、ガッカリさせる行動しかせずに終わったら、今度徹底的に鍛え直してやるからな!」
「それは困る!リーシャ!作戦少し変更!僕も時折前に出て攻撃をするからね!」
「えへへ、了解だよクジラ!じゃあ、早速始めよう!」
ヴァーチュはニヤリと笑いながら調子に乗っているようならば叩き潰してやると口にした後、ガッカリするような行動しかしないならば徹底的に鍛え直すとクジラに宣告する。すると彼は顔面蒼白になりながらリーシャに作戦変更を伝えていた。ヴァーチュがガッカリする行動しかしないつもりだったらしい。
「うしっ、それじゃあ始めるぞ。勇者の会長、審判頼むな」
「うむ、了解じゃ。一応ここは武道場なのじゃし、ステージ外に出たら場外負けとかルールを設けるかのう?」
「いいや、なるべくステージの上で戦わなければならないって程度のきまりだけで十分だ。でないと、クジラが空間移動で俺を無理やり場外に排除しかねないからな」
「あはは……、それが1番手っ取り早い勝ち方だからね」
ヴァーチュが会長に審判を頼むと、会長は快く応じ、ルールについてヴァーチュに尋ねた。場外負けなどをルールに加えたら、クジラの悪知恵が働いて勝負にならない事がわかっていたヴァーチュは、クジラとの勝負に場外負けだけは加えてはならないと口にする。自分の事、よくわかってるなあと思いながら、クジラはヴァーチュの言葉を聞きながら苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ場外負けは無しで、出来る限りステージの中で戦う事と、急所への攻撃はなるべく控える事。ルールはそれだけで良いかのう。さあ、3人とも、ステージの上に立つのじゃ」
会長は簡単にルールを話すと、3人にステージ上に登るよう告げる。
「えへへ、頑張ろうねクジラ!私達ならば、絶対に勝てるよ!」
「うん、僕達のコンビネーションならば絶対に勝てるはずだね。ヴァーチュを倒してみんなを驚かせよう!」
クジラとリーシャは互いに激励を掛け合うと仲睦まじく微笑み合い、やる気満ち溢れた様子でステージ上に立ってヴァーチュと相対するのだった。




