ドレスを脱いで戦闘着へと
最終章31話になります!
本日は急用により、1話のみの投稿とします!
それではどうぞ!
「それじゃあ、ワシは先にアゼリアアリーナで待っておるぞい」
会長は2人に模擬戦について告げると、ルンルンとした様子で空間の裂け目を潜り抜けていった。
「結婚式なのに模擬戦をしなくちゃいけないのかぁ……」
心の底から面倒くさそうに一言呟くクジラ。戦闘狂ではないクジラにとって、会長のサプライズはこんなものである。
「えへへ、わざわざ私達の為にアゼリアアリーナを借りてくれたんじゃないかな!?凄い楽しみ!燃えてきた!早く着替えて行こうよ!」
それに対してリーシャはやる気満々である。クジラの腕をグイグイと引き、途轍もなく嬉しそうな表情をして早く着替えようと口にした。
「ふふふっ、クジラ、リーシャの前であまり無様な姿を見せないよう気を付けるのよ?それじゃあ、わたしもお先に失礼するわ」
「服と武器を持ってきてくれてありがとね!」
会長が先に行った後もクジラ達を見ていたヤヨイは、2人の対照的な姿を見てクスリと笑った後、軽く手を振り空間の裂け目を潜り抜けていく。リーシャは感謝の気持ちいっぱいでヤヨイに手を振り、見送っていた。
「さて、今すぐ着替えなくちゃ!クジラクジラ!花嫁な私はおしまい!ドレス脱ぐの手伝って!」
「えっ、僕?何か変なミスしてドレス汚したり破いたりしないか不安で仕方がないんだけど」
ドレスを1人で脱ぐのは困難なようで、クジラに協力をお願いするリーシャ。ドレスを脱がせる協力などした事もない彼にとって、あまり快諾したくないお願いである。
「ヨシノお手製だから多少破けても直してくれるから大丈夫!」
リーシャはとてもお気楽な様子でそんな彼に声を掛けると、着替えを手伝うように頼み込み始めた。
「リーシャさん、私がお手伝いしますよ」
クジラが困っていると、この場にクジラとリーシャ以外に唯一残っていた女将さんが自分から手伝いを申し出てくる。
「女将さん!えへへ、戸締りの確認とかしなくちゃいけそうだし、声を掛けないようにしようって考えてたんだけど、私の手伝いをさせちゃって大丈夫ですか?」
リーシャは、女将さんを巻き込んではダメな問題だと自分自身で勝手に考えていたらしく、その助けの言葉を聞くと協力して貰ってしまって良いのか?と、恐る恐る聞いた。
「ええ、それにこんな小料理屋の女将でしかない私がこの世界の安心して見られる決闘を間近で見る機会なんて、今日を逃せば2度と訪れないかもしれませんから。そのお礼に準備を手伝ったと考えるのならば安いものです」
「女将さんってやっぱり超優しい!今日のパーティのお代は、クジラからガッポリお金を払って貰ってくださいね!」
「うふふ、それはもちろん。クジラさん、お代に期待をしていますよ。それではリーシャさん、ドレスを脱がすお手伝いをしますね。クジラさんは少しの間、そこで待っていてくださいね」
「えへへ、お願いしまーす!クジラ、クジラは突っ立って待機してる係じゃなくて、私の着替えを手に持ってすぐに渡せるように待機したり、私が脱いだドレスをハンガーとか使ってキチンとした状態にしておく係だよ!ほら、早く私の仕事用の服を持った持った!」
「人遣いが荒いなぁ。了解だよ」
自分がやった事もないドレスの着脱の手伝いをしてヘマをする事がなくなった為、ホッとしながらリーシャの指示に応じるクジラ。それから10分ほどが経過すると、万全に戦える体制になった2人が、女将さんとともにアゼリアアリーナに足を踏み入れるのだった。




