誓約
最終章26話になります!
本日は1回のみの投稿にします!
それではどうぞ!
盛大な拍手を受けながら、愛するパートナーと手を握り合って神父の前へと辿り着く2人。
「おふたり共、特別な日に相応しい晴れやかな表情をしておりますね」
2人の表情を見て、神父は穏やかに微笑み言葉を掛ける。それに対して2人は顔を見合わせ、若干照れながら笑っていた。
「ほほっ、仲睦まじく、大変喜ばしい事です。……コホン。それではただいまより私達は新郎クジラと新婦リーシャの結婚式を挙げます。ご列席の皆様の中に、この結婚式に異議を唱える方はその場で挙手を。……異議はないようですので、ご列席の皆様はこれから愛を誓い合う2人に心からの祝福をお願い致します」
神父は2人の仲睦まじい様子に再度微笑んだ後、結婚式の開始の言葉を口にする。当然、神父の言葉に従い挙手して異議を唱える者などいない。
「……さて、誓約に移りましょうか。まずは新郎クジラ、貴方は新婦であるリーシャを病めるときも、健やかなる時も富めるときも、貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
約10分ほどだろうか?神父は夫婦についてのありがたい説教をし終えると、チャペルウェディングでよくある誓約をクジラに向けて告げる。
「はい、誓います(この教会で信仰してる神様とかは全く聞き覚えのない神様だったけど、結婚式の形式とか誓約は元いた世界と変わらないんだなぁ)」
結婚式の流れが、元いた世界にてテレビなどで何となく知っていた流れと大体一致していた事から、どの世界でも結婚式ってのは似たようなものなのだなと思いつつ、笑顔で誓約に応じるクジラ。おそらく結婚式で1位2位を争う緊張ポイントの入場を終えた事で、心に相当な余裕が出来たのだろう。
「それでは新婦リーシャ、あなたは新郎であるクジラを病めるときも、健やかなる時も富めるときも、貧しき時も夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「えへへへ、もちろん誓います!」
クジラに続いて誓約をする番になったリーシャは、神父に誓うか問われると、満面の笑みで元気良く誓う事を口にした。
「あなた方は自身の身と心をお互いへと捧げ、共に支え合い生きる事を誓いますか?」
満足そうにそれぞれの誓約を聞き終えると、今度は2人同時に誓うかと問う神父。
「えへへ、クジラ」
「リーシャ、そうだね」
「「はい、誓います」」
2人は顔を見合わせ、名前を呼び合うだけで意思疎通をすると、声を揃えて誓いを立てた。
「ではおふたり共、誓いのキスを」
「リーシャ……」
「うん、いつでも良いよ」
神父に誓いのキスをするよう言われると、繋いでいた手を解き、互いに向き合って見つめ合う。
そして、参列者の前で2人は堂々とキスを交わした。




