私も明かさなきゃ
最終章22話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「……2人きりになるのはよくあるけどさ、今のリーシャと2人きりって、何だか凄く緊張するなぁ」
ヨシノとシータが結婚式の会場である教会へと向かった後、クジラとリーシャは自宅に戻り、リビングでリーシャと向かい合って座っていた。結婚式直前まで、こうして2人で談笑をしながらゆったりと時間を使う事に決めたみたいだ。
「今の私、自分でもびっくりするくらい綺麗にお化粧が施されてるもんね。クジラが照れちゃうのも仕方がないと思うよ?」
リーシャは、照れて話し方が若干ぎこちないクジラの言葉を聞いてクスクスと笑った後、仕方がないねと言って楽しそうに彼の事を見つめる。
「……リーシャ、そんなにジッと見つめないで欲しいな。本当に綺麗過ぎて、そんなに見つめられると照れ過ぎてまともに喋れなくなっちゃうよ」
「えへへ、もう十分照れちゃってるから大丈夫!きっとこれ以上凝視されても、クジラの照れ度は変わんないよ」
クジラは固い感じの笑みを浮かべながら、楽しげに見つめてくるリーシャにそんなに見つめないでと頼むが、リーシャは楽しそうに首を横に振って大丈夫と伝えた。大丈夫という言葉に確証はない。普段の数倍はクジラ弄りが楽しそうだ。
「……そういえば気になったんだけどさ、リーシャは僕達がサプライズで結婚式をする為の準備をしてる時、僕達に違和感を感じて何を隠しているのか探ってみたりはしなかったの?」
クジラはリーシャにジッと見つめないで指摘するのを諦めると、彼女の熱い視線から目を逸らして話を全く別な事へと切り替える。彼女の意識を逸らすと同時に、雑談で自分の心を落ち着けようと考えたみたいだ。
「ん〜、確かにどんな隠し事をしているんだろうって気になったなぁ。不安になり過ぎて、クジラが夜に出かけた時を見計らってヨシノに相談をしたっけ?その時にヨシノはね?『お前を溺愛してるクジラがお前を悲しませるような隠し事をする訳ないだろ?絶対にお前を喜ばせる為の隠し事をしてるんよ!』って感じの事を言ってくれたんだ。その言葉のおかげで、クジラが夜に家を出て行く時、クジラを信じて笑顔で送り出せるようになったの!今思えば、ヨシノは全部知ってたからそういう言葉を言えたんだねぇ」
リーシャはニコニコ顔で数ヶ月前の事を思い返し、クジラのいない間に起きた出来事について語り始める。
「へえ、そんな事があったんだ。本当にヨシノには感謝しなくちゃいけないな。というか、相当不安にさせちゃってたみたいでごめんね?今後は絶対にリーシャを不安にさせるような隠し事はしないから安心してね」
「えへへ、うんっ!……隠し事を打ち明けてくれて、すっごく嬉しい思いをさせて貰えたし、私もクジラに内緒にしてた事を打ち明けなくちゃな〜」
リーシャは謝罪するクジラを快く許すと、もったいぶった口調で自分も隠し事を打ち明けなくてはいけないと話した。
「ん?リーシャも何か隠し事をしてたの?聞いても良いかな?」
「ん〜、今はダメ!結婚式と結婚式後のパーティが終わって2人きりになった時のお楽しみって事にするね!絶対にびっくりするから楽しみにしてて?」
「うん、楽しみにしてるけど、僕にとって嬉しい隠し事なんだよね?」
「そりゃあもちろん!あとで教えてあげるね」
「期待してるよ」
どんな隠し事なのかなと思い、ワクワクしながら待つ事にするクジラ。リーシャはお腹を優しくさすりながら、穏やかに笑うのだったが、そのお腹をさする仕草はテーブルで隠れ、クジラの目に映る事はなかった。




