彼の思い通りに
最終章16話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「素人だけでドレスの着付けをするのって、結構時間掛かるのかな。ああ、早く戻って来ないかなぁ。楽しみで楽しみで仕方がない」
リーシャがヨシノ達と共にドレスの着付けに行ってから30分近く経過した頃、クジラはスーツ姿でまだかまだかと待機していた。リーシャの花嫁姿が気になって気になって仕方がないといった様子だ。
「写真はヨシノの父さんが何百枚と撮影してくれるはずだし、出来るだけ素敵な表情の写真が残るようにビシッとエスコートしてやらなくちゃね」
……コン、コン
クジラが、あと1時間もしないうちに始まる予定の結婚式に対する意気込みを呟き、やる気を充填させているとリビングの扉が控えめにノックされる。
「……来たか!」
クジラは目をカッと開きながら立ち上がると、ゆっくり扉へと歩き出した。扉に近づく度に鼓動を加速させ、扉の目の前に立つ頃にはバクバクと心臓から音を鳴らすクジラ。
……ガチャ
「えへへへ。……似合ってるかなぁ?」
普段の数倍は慎重に扉を開けると、純白のドレスに身を包み、今にも泣きそうな表情で似合っているかと声を絞り出す花嫁がいた。
「……うん。このドレスがリーシャ以上に似合う人なんて、この世に存在しないよ」
「ありがどうぐじらぁぁ……」
クジラは見惚れていたのか、数秒の硬直をした後、普段通りな穏やかな笑みと共に純白の姿がとても素敵である事を伝え、扉を開く時よりも遥かに慎重な動作で彼女を抱きしめる。すると、彼女の涙腺は崩壊した。大粒の涙をボロボロとこぼしながら、ありがとう、ありがとうと何度もクジラに礼を伝えるリーシャ。
「僕の方こそ、僕と結婚をしてくれて、僕を好きになってくれて本当にありがとう。これからもずっと、僕の事を支えてくれるかな?」
「もちろんだよクジラぁ。その代わり……、ずっと私の事を愛してね?」
「もちろん。永遠に愛を注ぐよ。ほら、そんなに泣いたら泣き後が残って、結婚式後のパーティで笑われちゃうよ。ハンカチ貸してあげるから泣き止んで?」
「……えへへへ、クジラの言う通り、私ったら嬉し過ぎて泣いちゃったね」
クジラは永遠の愛を誓った後、泣き過ぎてぐしゃぐしゃな顔をしているリーシャにハンカチを手渡し、泣き止むように言って笑う。リーシャはハンカチで涙や鼻水を大まかに拭き取ると、世界一幸せそうな泣き笑いをしながらクジラを見つめるのであった。




