駄々こね双子
最終章13話になります!
明日から通常投稿に戻ります。
それではどうぞ!
「クーちゃんクーちゃん!私、クーちゃんの家に行きたい!」
「私も私もっ!クーちゃんとリッちゃん、どんなおうちに住んでるの!?」
クジラとルーシュが遅れてフーの町へと到着すると、リンとレンがクジラの元に駆け寄り、若干興奮した様子で家は何処だと聞く。初めてフーの町に訪れ、テンションが最高潮に達していた。
「リン、レン。こいつの家なら後で行けるから、今はお父さんと遊ぼうな!こいつの家以外に行きたい場所があれば、何処でも連れて行ってあげるぞ〜」
だが、そんな双子とクジラの間にルーシュが割って入ると、双子をギュッと抱きしめながら猫なで声を出す。相変わらず、娘にはゲロ甘な男だ。
「えぇ〜、まずはクーちゃんの家が良い〜!」
「お父さんだって、フーの町来たの初めてでしょ?クーちゃんならフーの町の事をなんでも知ってるし、クーちゃんと一緒にフーの町を回りたい!」
「クジラてめぇ……!」
「いやいや、リンとレンが言ってるだけで、僕は今、何も悪い事をしていないですよ!?」
リンとレンは、む〜っというように可愛らしく唸った後、父親よりもクジラとフーの町を探索したいと駄々をこね始める。それにより、ルーシュから殺意混じりの視線を送られ、理不尽だ!と感じるクジラ。
「リンちゃん、レンちゃん、クジラ君は大事なお仕事があるのよ?駄々をこねるとクジラ君に嫌われちゃうわよ?」
そんな時、双子の前に立って優しくなだめるような言葉を発するはねっ毛な赤髪の女性もとい、リンとレンの母親。
「う〜、残念……」
「じゃあ、結婚式が終わった後にクーちゃんのお家に招待してね?」
父親の言葉は聞かなくても、母親の言葉はキチンと聞くお利口さんなリンとレン。2人は残念そうにしながら、後で家に招待してとクジラにお願いをする。
「うん、勿論だよ。なんならお泊まりでもして行くと、リーシャが凄く喜ぶと思うよ」
「お泊まりっ!?」
「クーちゃんとリッちゃんのお家でお泊まり!したいしたいっ!」
クジラが笑いながら泊まりという言葉を出すと、ガバッと顔を上げてキラキラとした輝きを放つ表情になる双子。
「それじゃあ、あとでリーシャにお願いしてごらん。喜んで迎え入れてくれるからね」
「うんうんっ!ありがとうクーちゃん!」
「にゃははは、やったー!クーちゃんとリッちゃんのお家でお泊まりだぁ!」
手を握り合い、ピョンピョンと跳ねて喜びを表現するリンとレン。ルーシュからの殺意篭った視線を軽く流しながら、クジラは2人を眺めて穏やかに笑うのだった。




