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具現化魔法で異世界乱舞  作者: 桃山
最終章
1954/2000

打ち解けない義父




最終章11話になります!


どうしても外せない用事が出来てしまった為、急ですが今日から3日間、1話のみの投稿にさせていただきます。


それではどうぞ!









「もう、まったくあなたって人は……。もう少しクジラ君に優しく出来ないの!?」

「は、反省はしている!それに、これでも優しくしている方だぞ!本当ならば、リーシャをクジラと結婚させる事すら嫌だったのに今はほんっとうに仕方がなく許しているんだ!超優しいだろ!?」


アリシヤの登場によって、暴走が収まったルーシュ。だが、双子の娘の発言によって爆発した怒りが未だに残っているらしく、声を荒らげてアリシヤと会話をしていた。


「ぜんっぜん優しくないよ!?クジラ君はもう、リーシャ達と同じで私達の息子なんだよ!?すぐ叩いたり文句を吐いたりしちゃダメなの!」

「な、納得がいかん!俺はお前を息子だなんて認めねえぞ!?」

「……はぁ。あなた、そろそろ私の拳が炸裂するよ?良いんだね?」


聞き分けの悪いルージュにイラっときたアリシヤは、拳を突き出して脅しを掛ける。


「す、すまん……」


ポワポワな普段の性格とは違って武闘派なアリシヤに、ルーシュは敵わないようだ。これ以上騒ぐとアリシヤの武力制裁が始まってしまう事を理解すると、シュンと縮こまって謝罪をする。


「ふふん、よろしい。ごめんねクジラ君。お父さんは頭が良くてもおバカさんだから……」

「あははは、お義母さんがいればお義父さんが暴走しても安心ですね。僕としては、もう少し仲良くなりたいんですけどねぇ……。なんとかなる方法はありませんか?」


クジラはアリシヤに声を掛けられると、苦笑いをしながら応じ、ルーシュと仲良くなる方法とかは無いのかと尋ねた。


「う〜ん、そうねぇ……。あなた、クジラ君と仲良くして?そうしなくちゃ私とリーシャはあなたの事を本気で嫌ってしまうかもしれないわよ?もしかしたら、連鎖するように他のお嫁さん達もあなたから離れていくかも?」

「そういう脅しはズルいぞアリシヤ!俺が絶対に断れないのがわかっている問い掛けはやめろ!」


アリシヤはクジラの質問に対して顎に人差し指を当てて考えた後、ルーシュの精神にダメージを与えるような脅しをし始める。


「良いの?本当に良いの?」

「……ア、アリシヤ。本気で頼むからそういう系の脅しはやめて欲しい……」

「んふふふふ〜♪」

「あぁ〜!わかったよ!わかった!仲良くすりゃあ良いんだろ!?アリシヤの卑怯者め!」


アリシヤがルーシュの言葉をスルーしてニコニコと笑うと、ルーシュは叫び声をあげた後、わかったと口にして頷いた。ルーシュが断固拒否をしたとしても、その脅しが実際に発動される事は無いと心ではわかっていたとしても、嫁の脅しには勝てないらしい。


「偉い偉い。それじゃあクジラ君と握手をしてみようね。ほら、手を差し出す!」

「ぐっ……、くそっ!」


アリシヤはやんわりとした笑みを浮かべながら、子供を褒めるようにルーシュの頭を撫で、クジラと握手をするように指示をする。もうアリシヤに逆らえないルーシュは、顔を背けながらクジラにスッと手を差し出した。


「あははは……、無理やりやらされてる感が半端ないですね」

「さ、クジラ君。握手して仲を深めてあげて?」

「握手で仲が深まるのなら苦労しないんですけどね……」


クジラはアリシヤの行動に苦笑しながら、ルーシュの手を軽く握る。


「……ふんっ!」

「いっ!?ちょ、お義父さん強く握り過ぎ!くぉおおおっ!!」

「ひぎぃっ!!お、おい!認めたくはないが、義理の父親だぞ俺は!暴力振るって良いも思ってんのか!?」


ルーシュはクジラと握手すると、急に力一杯クジラの手を握りしめる。それにクジラは一瞬痛がるが、すぐにやり返して形勢逆転する。クジラの方が圧倒的に握力が強かった。


「もうあなたったら……。クジラ君、折れない程度に痛めつけてあげて!」


娘の婚約者と仲良くなれそうにもない旦那を見てため息を吐いた後、アリシヤはクジラに痛めつけてやれと指示を飛ばす。


「わかりました!」


今までの嫌がらせの蓄積で、沸々と怒りが湧き上がったのだろう。クジラはそれに快く応じ、義父の手をガッチリと握りしめるのであった。






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