仲良し師弟
最終章8話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「お久しぶりですねエリさん、クジラさん。それと、クジラさんはご結婚おめでとうございます」
ユキはエリとクジラと合流すると、微笑みながらお辞儀をして挨拶し、クジラの事を祝う。
「お久しぶりだねユキ師匠!元気にしてたかい?会いたかったよ!」
エリはその挨拶に応じるようにユキに抱きつき、返事を返す。今でも2人の師弟関係は続いており、定期的にユキから魔法について指導してもらっているようで、2人の仲は1年前とは比べものにならない程に親密になっていた。
「ありがとうございますユキさん。早速フーの町に移動しますが、準備の方は大丈夫でしょうか?」
「ええ、荷物ならこのバッグに纏めてありますからね」
ユキは肩に掛けていたボストンバッグをポンと触りながら、いつでも出発が出来ると口にする。
「わかりました。早速行きましょうか。エリちゃん、帰るよ」
「はいはーい!ユキ師匠行こっ?」
「はい、行きましょうか」
ユキからいつでも出発オーケーだと聞くと、早速と言って空間に裂け目を具現化させ、中に入るクジラ。ユキとエリは彼を追って、仲良く手を繋ぎながら空間の裂け目を潜り抜けていった。
「やっぱりフーの町は建物が建ち並んでいて凄いですね。道行く通行人の数も、私の住む村の10倍以上ですよ」
「私が売り子さんをする為によく行くレントロの町も結構都会な方だけども、フーの町ほどは大きくないから、さっき主と一緒にここに来た時、少しびっくりしちゃったよ。ユキ師匠は凄くびっくりしているけども、村の近くに大きめの町とかはないのかい?」
「ん〜、一応、私がよく本を買いに行く隣町が大きめですけど、フーの町には敵いませんね。それに町内の人口もフーの町の方が圧倒的に多いですからね」
ユキとエリは、ユキがフーの町の広さと人の数に驚いたのをきっかけに、地元の大きい町とフーの町の比較を話し始める。フーの町はアゼルトリアでは5番目くらいに入る大きめな都市なのだという。クジラが2年以上住んでいて未だに行ったことのない場所があるのも納得である。
「2人とも楽しそうにお喋りしてる所悪いけども、2人はこれからどうする?とりあえず初めにミナミさんを拾いに小料理屋さんに行くでしょ?それからの動きを一応聞いておきたくてね。今は7時30分だから、10時開始の結婚式まであと2時間30分あるんだ。とりあえず1時間前、遅くとも30分前には戻っておいて貰いたいから、自由時間は1時間30分くらいって所かな。その時間をどうやって過ごす予定?」
楽しそうに話している2人に、少し申し訳なさそうに話し掛けると、これからの予定について尋ねた。
「んー、私は主が待ってる小料理屋さんでお手伝いをしながら結婚式まで時間を潰すで良いかな?カーリーとシータお姉さんもあそこにいるからね!」
「エリさんがそう言うのでしたら私もそれで構いませんよ。久々に会う皆さんと色々お話をしたいですからね」
「それなら遅刻とかの心配はないだろうし、安心だね。じゃあ、僕が空間移動で連れて行っ……」
「場所は前に来た時に覚えているし、ここからならばちゃんと辿り着けるから大丈夫だよクジラお兄さん!私、ユキ師匠とお散歩をしながら向かうから、次の招待者の方へ行ってあげて構わないよお兄さん」
2人は、女将さんの小料理屋にて、談笑をしながら時間を潰す事に決めたようである。クジラがそれなら送っていくと言い掛けたところ、エリが彼の言葉に被せて喋り始め、2人で散歩がてら向かうから送ってくれる必要はないと伝えた。
「そう?わかったよ。もしも迷ったら僕かシータかカーリー、それかヨシノ辺りに助けを求めるんだよ?現在地の写真を送り付けてあげれば、すぐにどの道を進めば良いか教えてくれるはずだからさ」
「わかったよお兄さん!ここまで連れて来てくれてありがとう!ユキ師匠、早速出発しよ!」
「ええ、わかりました。クジラさん、またあとで会いましょう」
「はい、またあとで!」
クジラは最後にユキと言葉を交わすと、空間移動してその場から消える。そして、エリとユキはとても仲良さそうに並んで歩き出すのだった。




