弟子を連れて師匠の元へ
最終章7話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「それじゃあ主、ユキ師匠を連れて来たらすぐに戻って来るから、そこでカーリーと大人しくしてるんだよ?」
女将さんの小料理屋にて、エリはミナミに大人しくするようにと言い聞かせる。エリがクジラにくっ付いてユキの元へと向かう間、ミナミをぼっちで放り出すわけもいかない為、ヨシノやカーリーが仕込みの手伝いをしている女将さんの小料理屋で手伝いをさせながらエリの帰りを待たせる事にしたみたいだ。
「はいよー。カーリーは急成長する前のエリたんみたいにちっこくて可愛いのお」
「ミナミお姉ちゃんはベタ褒めしてくれるのは良いけど、ベタベタくっ付き過ぎよ!私をぬいぐるみのように抱きしめないで欲しいわ!」
ミナミはカーリーを膝の上に乗せ、ムギューっと抱きしめながらエリに返事を返す。カーリーはぬいぐるみのように扱われるのが嫌なようで必死に動いて抜け出そうとしていたのだが、ミナミの抱きつく力が強かったらしく、抵抗の意味がなんの意味もなしていなかった。
「あははは、カーリー頑張ってね。エリちゃん、出発しよう」
「わかったよお兄さん!主、やり過ぎてカーリーを泣かしたらカンカンに怒るから気を付けるように!」
「も、もちろん!エリたんの妹的存在を泣かすわけないんだから!」
クジラとエリは、ミナミの若干ビビったような声を聞いてクスクスと笑いながら、空間移動によってユキが住む『竜の住む村』に降り立つ。
「この村に来るのも久しぶりだねお兄さん。4ヶ月ぶりくらいだったかい?」
「うん、その位だね。雪も全部溶けてて、前にユキさんの所に行った時と景色が全然違くてびっくりだな」
楽しげにキョロキョロと辺りを見回しながら喋りかけてくるエリに、少し驚いたような顔をしながら応答するクジラ。4ヶ月ほど前、結婚式計画が始動する少し前に彼らはここに訪れたみたいだ。
「うんうん、リーシャお姉さんと雪だるま作ったの楽しかったな!……あ!手を振りながらこっちに向かって来てるのユキ師匠だ!お兄さん、行こっ!」
4ヶ月前の思い出を語り、エリはフニャリと表情を緩ませる。だがその直後、ビシッと指を差しながらユキがいたとテンション高めな声をあげる。
「ああ、本当だ。あそこにいるのはユキさんだね」
クジラはエリが突然大きな声を出した事に驚いて少しだけビクッとした後、彼女の言葉に応じてパタパタとユキの元へと駈け出すエリを追ってのんびり歩き出すのだった。




