駆け付けた親友
最終章4話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
ガチャ
「よう!久しぶりだな諒!」
「お久しぶり!諒君!」
クジラが実家のリビングの扉を開くと、そこには父親とヨシノの両親、そして世界を渡ってからも唯一繋がりのある親友2人が立っていた。
「……えっ!?啓介!優梨!?」
「おう!俺達も祝ってやりたくてさ、学校サボって来てしまったぜ!」
「ファンタジー好きにとって、学校なんかよりも異世界に行けるチャンスの方が数億倍は大事なんだからね!……ああ、もちろん諒君達の結婚式も全力でお祝いするんだから!」
クジラは親友の姿を見て、目をまん丸にして驚く。そう、彼は結婚式が平日という事もあり、気を遣って2人を誘っていなかったのだ。ちなみに2人は、クジラ達が長い旅から帰還してから現在に至るまでの1年間と少しの間にちょくちょくクジラ達と遊んでおり、何回か異世界に足を踏み入れていたりする。
「あははは、ビックリした。それよりなんで結婚式のことを?」
「2ヶ月くらい前に、私が優梨ちゃんとスーパーでばったり遭遇したのよ。その時に私がうっかり喋っちゃって……。当日までに1度でも諒がこっちに来てくれたら言おうと思ってたけど来ないから諒に対してドッキリみたいになっちゃったって感じかしら。結婚式の席が全て埋まっちゃってたりとかは……しないわよね?」
クジラが驚きながら、何故ここに?と2人の親友に聞くと、2人ではなくクジラ母が口を開く。
「10席くらいは余裕持って人を呼んでるから2人くらいならば全然大丈夫だよ。……ちょっと待って。その後ろに見える6つのトランクケースは何?日帰りにしてはおかしくない……?」
クジラは軽く笑いながら2人くらいならば飛び入り参加可能だと口にした後、ギョッとした顔でヨシノの両親の背後にあった6つのトランクケースを見る。そのトランクケースが何を意味するのか、若干気付いている様子だ。
「うふふ、異世界旅行もありかなって思ったのよ〜。それをみんなに話してみたら、面白いって事で1週間くらい滞在する事に決めたの〜」
「やっぱりか……。ちなみに荷物の数的に啓介達もなの?」
ヨシノ母が楽しそうに話すと、クジラは乾いた笑みを浮かべながらやはりかと呟き、荷物の量から啓介達もなのかと予想する。
「おう!親を説得するのに凄まじい苦労をしたぜ!」
「1ヶ月くらい必死に両親に頼み込んで、ようやく異世界旅行が実現したのよね!」
「僕の事とか異世界の事とか口にしてないよね?」
「俺達だけの秘密って約束だもんな。口が裂けても絶対に言わねえさ」
答えはイエスだった。なんとか両親を必死に説得して、今日ここに訪れたらしい。異世界の事などは絶対に秘密にするという約束もきちんと果たしているみたいだ。
「うん、それなら良いよ。僕は迷宮管理の仕事があるから同行するのは厳しいから、ヨシノ達に1週間観光案内を頼むか。よし、そろそろ行こうか。忘れ物とかない?家の電気、ガス、戸締りは大丈夫?」
「もちろん完璧よ」
「ちょっと不安になってきたから私、自宅を見てくるわぁ〜」
クジラが戸締りなどは大丈夫かと聞くと、即答で完璧と答えるクジラ母と、少し考えた後にパタパタと小走りでクジラ宅の隣にある自宅へと確認に行くヨシノ母。約5分ほどしてヨシノ母が帰ってくると、一行は異世界のアゼルトリア王国にあるフーの街へと行くのであった。




