異世界の招待者
最終章3話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「……ふぅぅ、無茶苦茶美味しかったよ。プラモ、ごちそうさま。……ゲプッ、次はこの半分くらいの量で良いかなぁ?」
『おお、まさか食いきるとは思っていなかったぞ。これほど食べたのだから、エネルギーはフル充填されたはずだ。結婚式が終わるまで、ガス欠になる事はないだろう。応援しているから、今日の結婚式は主役らしく輝いてみせるんだぞ?さあ、時間が惜しい。片付けは全て私がやっておくから、やるべき事に取り掛かるといい』
苦しげにお腹をさすりながら、プラモに食事を感謝を告げるクジラ。プラモは空になった皿を見て、途轍もなく嬉しそうな声色をしながら彼の言葉に返事を返す。
「うん、あとはよろしく頼むね。行ってきます」
『ああ、頑張ってこい』
プラモに食事の後片付けを頼むとお願いをすると、クジラはゆっくりと立ち上がる。そして、満腹を超えて食べたせいでパンパンに張っているお腹を優しく撫でながら、玄関へと歩き出した。
「えぇっと、最初に僕とヨシノの親をこっちの世界に連れてくるかな。多分、父さん達が1番、フーの街に来る事を楽しみにしてるだろうからね。よし、早速あっちの世界を渡ろう」
玄関で靴を履きながら、まず誰からフーの街へと連れて来るかを考えるクジラ。1番手は特に迷うことなく異世界に興味津々だった自分とヨシノの両親に決めると、早速世界を渡る扉を具現化し、迷いなく開くクジラ。
「きっと異世界を見たら、父さん達は大はしゃぎするんだろうなぁ。うっかり迷宮とかに入らないよう注意しておかなくちゃね」
扉の中に足を踏み入れ、上下左右どこを見渡しても真っ白な回廊を小走りで駆け抜けながら両親が異世界に来た時の事を想像して笑うクジラ。ようやく待ちに待った結婚式当日であるからか、本当に機嫌がよさそうであった。
「よっしゃ日本到着。周りに人は……いないね。空間移動でささっと行こう」
クジラは回廊を走り抜けて日本に着くと、即座に周囲の人の気配の確認をする。そして、確認が済むとすぐさま空間移動を行使して、実家の玄関前へと移動をした。
「母さーん、来たよー!」
そしてインターホンを鳴らさずに扉を開くと、若干大きめな声で母を呼ぶ。
「諒、迎えに来てくれてありがとね。って、まだスーツ姿じゃあないの?というかあんた、式はキチンとしたスーツで出るのよね?」
その声に反応したクジラ母は、パタパタと走って玄関へとやって来る。息子の結婚式ということもあり、気合の入った服装であった。
「僕はこれからいろんな人を空間移動で迎えに行かなくちゃいけないからね。式はキチンとスーツ姿だよ。実は今日の為にこっちの世界にコッソリと来て、ちょっと高いスーツを買ったりしてるんだから」
「それならオーケーね。もしもこのまま出るとか言ったら、お父さんのお古を着せる所だったわ。もうみんな準備出来てるから、リビングに行くわよ。リビングに荷物が置いてあるからね」
「うん、わかったよ」
クジラがちょっとお高いスーツを購入したなどという話を聞いて安心したクジラ母は、ホッとした顔でリビングへと来るように伝える。彼はそれに応じて、父親とヨシノの両親が待つであろうリビングへと向かった。




