久々の帰省
最終章前日譚10話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
ピンポーン
クジラとヨシノは元いた世界へと渡った後、人目を気にしながら空間移動を行使して、調部という苗字の表札が付いたクジラの実家へと足を運んだ。
ガチャ
「あ、母さん久しぶり」
「諒!あんたもっと帰って来なさいよ!もっと頻繁に帰って来て、リーシャちゃんと仲睦まじくイチャイチャする様子を見せなさい!」
玄関の扉が開き、母親の顔が見えると軽く手を上げて笑顔で挨拶をするクジラ。先ほどヨシノが予想していた通り、クジラの母親は頻繁に帰って来いと怒る。
「久しぶりに本名で呼ばれたな……。ごめんね母さん。頻繁に帰れるように努力するから今回は勘弁してくれない?」
久しぶりに本名である諒という名を呼ばれたなと呟きながら、クジラは母親に軽く詫びる。
「約束よ?破ったらリーシャちゃんに諒の小さい頃の恥ずかしい写真一式、全てプレゼントしてあげるんだから」
「それは嫌だな……。とりあえず中に入るよ?」
「入るのは良いけども、今日は佳乃ちゃんと2人だけ?リーシャちゃんとヤヨイちゃんは?」
クジラが中に入って良いかと聞くと、それよりも今日はクジラとヨシノの2人だけなのかと聞くクジラ母。彼女はリーシャの事を途轍もなく気に入ってる為、会いたかったようである。
「うん、今日は2人だけ。今日はコピー機を貸してもらおうと思って来たんだ。ヨシノはおまけで付いてきたって感じ。あと、コピー機を使い終わったら重大発表があるから心して待っててくれない?」
「重大発表ねぇ。もしかしてリーシャちゃんとの間に子供が出来ちゃった!?いつ産まれるの!?おとうさーーん!大変よーー!」
「ちょっ!?母さん!?」
クジラがもったいぶった様子で重大発表があるんだと話すと、クジラ母は勘違いをしながら盛り上がり、リビングにいるであろう父親を大声で呼んだ。
「なんだなんだ!?おおっ!?諒!帰って来たのか!佳乃ちゃんも久しぶりだね!」
「ねえねえ聞いてお父さん!諒ったら、リーシャちゃんと子供作っちゃったみたいよ!!」
「ほ、本当かぁ!?り、諒!孫!孫は連れてきていないのか!?」
「ストップ!ストーーーップ!!」
勘違いで勝手に話を進め、大盛り上がりする両親を必死に止めるクジラ。久々に息子が帰って来たからなのか、クジラの両親のテンションは最高潮である。
「ぷっはははは!クジラの家は相変わらず騒がし過ぎるんよ!」
約5ヶ月ぶりに揃った調部一家の騒がしい様子を、ヨシノは止める気ゼロでゲラゲラと笑いながら眺めていた。5分ほど、玄関の前で必死に両親からの誤解を解くクジラの姿が見られたという。




