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具現化魔法で異世界乱舞  作者: 桃山
9章閑話
1927/2000

秘密裏の作業(式場下見)




最終章前日譚4話になります!


本日2回目の投稿です!


それではどうぞ!









「ここか。2年近く住んでるのに未だに初めて足を運ぶ場所があるなんて、フーの街も結構広いよなぁ」


便箋作り中に関わらず妄想にふけって全く作業が進まなかった翌日の午後5時。クジラは仕事を1時間ほど早めに切り上げ、前日に口にしていた教会へと足を運んでいた。決して大きく立派な外見の教会ではなかったが、管理の行き届いた綺麗な庭園があって素敵な場所である。


「よし、入ってみよう。外見は綺麗な庭園があってリーシャが好きそうだし、あとは中がどうなっているのか確認して、正式決定とまではいかないけど、候補に入るかかんがえなきゃ」


クジラは、外見のみで判断するのならば、この場所で式場は正式決定しても良いなと考えながら、教会の中へと入っていった。結婚式という自分とリーシャにとって一生に一度の大イベントを極大成功する為、今までにない程の必死さだ。


「……失礼しま〜す(管理が行き届いてるのは中もか。清潔感溢れるこれぞ教会って場所だなぁ)」

「あら?懺悔に来られた方でしょうか?……ん?あ、あの……、もしかしてですけども、魔王クジラ様……ですよね?」


クジラがキィ……と音を立てて扉を開き、控えめに挨拶をすると掃き掃除をしていた30代くらいのシスターがクジラの元にゆっくりと歩み寄ってきた。そして、彼の顔を見て首を傾げると、ギョッとしたような顔で恐る恐るクジラの職業に対する質問をした。クジラはフーの街では、魔王と勇者のラブラブカップルであり、ヨシノデパートの創設者である発明家ヨシノの友人として、知らない人がいない程の有名時である。


「あはは、僕も無駄に有名になったんだなぁ。はじめまして、魔王クジラです。今日は懺悔という訳でなくて、結婚式の為の式場探しに訪れたんですが、そもそもこの教会って結婚式とかに使わせて貰えます?」


クジラはにこやかに笑いながら自己紹介をすると、初めてここに訪れた理由を口にする。


「結婚式場探し……ですか。もしかして、魔王クジラ様とリーシャちゃんの結婚式ですか!!??」

「ええ、そろそろ結婚式をしたいなって思いまして。……あの、シスターさんってリーシャと知り合いだったりします?僕にだけ敬称付けてるのが気になったんですけども」


シスターがもしかして!とテンションの上がった様子でクジラ達の式なのかと聞くと、彼はコクリと頷いてそうだと告げる。また、自分には敬称を付けてリーシャはちゃん呼びだったのが気になり、その事に関して質問をした。


「ええ、リーシャちゃんは、リコちゃんリオちゃんを連れて散歩をしている時に、偶然この教会と隣にある孤児院をを見つけたらしいです。その時に私はリーシャちゃんと出会いました。それ以降、お仕事が早上がりだった時とかにふらっと教会に来ては、孤児院の子達と遊んでくれているんですよ。子供が凄く好きみたいでかなり面倒見が良いから、子供達にリーシャお姉ちゃんって呼ばれて相当慕われているんですよ?普段は結婚式場として使わせたりはしないんですけど、おふたりの為ならば特別にお貸ししますし、私も孤児院の子達も協力は惜しみませんよ」


シスターはリーシャとの出会いを語る。その出会いは毎回散歩コースが違うリーシャの気まぐれが引き起こしたものだった。


「リーシャってそんな事をしてたんだ。全く知らなかったな。……この教会は候補の1つってしか考えてなかったけど、ここで祝って貰うのがリーシャにとっては1番嬉しいはずだね。いつも通り、僕らしく直感と勢いで決めてしまおう。シスターさん、是非とも協力していただけませんか?リーシャはきっと、この教会で式を挙げるのが1番喜ぶと思うんです!」


クジラはリーシャが自分の知らぬ所でやっていた事を知ると、今この場にいない彼女に対して尊敬するような感情を抱きつつ、シスターの目をしっかりと見ながら協力を仰いだ。リーシャとの式は絶対にここしかないと思ったみたいだ。


「ええ、リーシャちゃんが幸せになる瞬間のお手伝いが出来るなんて光栄です。きっと神父様も私と同じように喜ぶ事でしょう。神父様には私から全てお伝えしますので、日時や招待する方々の人数がお決まり次第、私に知らせてください」


シスターはクジラの頼みに対して、優しく微笑みながら頷いた。ここまですんなりと場所が決まったのはリーシャの日頃の行いのおかげだろう。


「ありがとうございます!今の所、決行するのは3ヶ月後くらいって決めてるので、多少の前後は確実にあると思いますけど、そのくらいの時期だって覚えておいてください。……あ、そうだ。当日の朝まで、リーシャにはサプライズという事で黙っておこうと思っているので、リーシャが教会に訪れても、この事は御内密にお願いしますね?」

「ふふふっ、サプライズで結婚式だなんて、きっとリーシャちゃんは驚きのあまり大泣きしちゃいますね。わかりました。リーシャさんには黙っておきます。神に誓いましょう」

「あははは、きっと嬉し過ぎて大泣きしますよね。それじゃあ、そろそろ帰らないと何をしていたんだってリーシャに怒られちゃうので帰りますね?むき出しで悪いですけども、感謝のお布施です。孤児院の子達に美味しいものでも振舞ってやってください。それじゃあ色々と決まったらまた来ますっ!」

「えっ!?1万モール硬貨5枚!?こんなに!?」


話が良い方向へと進んで上手く纏まると、クジラはニコニコと上機嫌になりながら財布を取り出し、シスターの手に若干強引にお金を握らせるとその場から走り去る。その場には、高額なお布施に驚くシスターの姿だけが取り残されるのだった。






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