永遠に誓い合う
9章227話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「………………んん、良い目覚め。……だと思ったら、夜中に起きちゃった?」
時はほんの少しだけ過ぎて翌日の朝2時過ぎ。リーシャは起き上がって大きく伸びをした後、キョロキョロと辺りを見て首を傾げる。カーテンの隙間から見える外は真っ暗闇であり、周囲ではクジラとリコ、それにリオが安らかな寝顔をしていた。
「ん〜、おかしいなぁ。真夜中に起きたのは良いけど、目覚めが良すぎて二度寝出来る気がしないなぁ……。あれ……?」
困ったような表情をしながら、左手人差し指で目を擦っていると、ある重大な事に気付いて顔面蒼白になるリーシャ。
「婚約指輪は……?えっ?えっ?なんで?どうして指に嵌ってないの……!?」
慌てた様子で、リーシャは布団の中をガサゴソガサゴソと探り出す。一瞬でパニック状態になり、今にも泣きそうになってしまっていた。
「あれがなきゃ自信満々にクジラのお嫁さんを名乗れないよぅ……。うぅ〜、どこ?どこに行ったの私の指輪ぁ……。お風呂で少しだけ磨いたし、寝る前までは確かに嵌ってた筈なのに……。寝ぼけながら外しちゃったのかなぁ……?」
ガサゴソガサゴソ、暗闇の中で命と同等レベルに大切な物を必死になって探すリーシャ。しかし、未だに見つからないらしい。寝る前までは確かに嵌めていたなどと呟きながら、完全に焦った様子だった。
「うぅ……、ヒック、なんでなくしちゃうのさ……。グスッ……」
「ん〜?……リーシャ、泣いてる?どうしたのっ!?」
リーシャがあまりの見つからなさにとうとう嗚咽をこぼし、メソメソと泣き始めると隣で眠っていたクジラは一気に意識を覚醒させてガバッと起き上がり、彼女の両肩に手を乗せる。
「ヒッグ、ごめんねクジラ……、ついさっき目が覚めちゃった時に、クジラに貰った大切な大切な婚約指輪がなくなっちゃってて……」
「指輪がなくなった?それは寝てる間に?それとも、どこか別の場所の可能性もある?」
「寝る直前は嵌ってたから、お布団の近くに転がってるはず……」
「布団の近くだね。リコリオには悪いけど、明かりをつけさせて貰おうか」
クジラは寝起きにしては冴えた頭でリーシャと言葉のやり取りをした後、立ち上がって部屋の明かりをつけた。
「ごめんねクジラ……。私がドジなせいで真夜中に起こしちゃって……」
「ううん、リーシャに掛けられる迷惑はむしろ嬉しいかな?……ほら、見つけたよ。嵌めてあげるね?」
リーシャがショボーンと本気で落ち込みながらクジラに謝ると、彼は全く気にしていないといった様子で笑って返答し、シーツの下に潜り込んでいた彼女の指輪を発見すると、彼女の左手薬指に嵌めてやった。
「ありがとうクジラ。……クジラがあげた指輪をなくしそうになった私の事、本当に怒ってない?」
「あははは、意図的になくした訳じゃないし、怒ってないよ。というかわざと捨てるような感じで失くされたら、悲しくて怒るどころじゃないと思うから怒る事はないよ」
「わざとなくすなんて絶対にしないよ!!私、絶対にクジラのお嫁さんをやめたりしないもん。永遠の愛を誓うもん……」
クジラが怒っていない事と、どんななくし方をしても、指輪関連で自分が怒る事は多分無い事を伝えると、若干声を荒らげて愛の証を自分から捨てる真似などするはずがないと宣言するリーシャ。普段活発な彼女がごく稀に見せる弱々しい姿を見せていた。
「よしよし、僕の方こそリーシャに永遠の愛を誓うよ」
クジラはそんな彼女に自分もだと口にして、永遠の愛を誓うクジラ。
「(永遠の愛を誓う……かぁ。ちゃんとした場所でキチンと誓い合いたいなぁ。……お金はだいぶあるんだし、結婚式とか考えてみるか?……眠いし、起きたら考えるか)」
ヒシッと抱きついて来て、弱々しい姿を見せる愛しい彼女を抱き返しながら、彼はそんな事を考えながら眠気に意識を蝕まれていくのだった。
おそらく、多分、次が9章ラストです




