信念を曲げず
9章221話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「お疲れ様ですクジラ団長」
「あはは、さすがに30分近く2人の頭を乗せているのは疲れたよ」
リーシャとシータが眠ってしまった後、クジラはシータを除く元盗賊団で現ヨシノデパート従業員な褐色美女達と談笑をしながら、のんびりとお酒を飲んでいた。彼の膝枕で爆睡していた2人は、揺すっても起きない事が確認出来次第、全員の協力によってリビングの隅に敷かれた1組の布団に運ばれたようだ。今2人は密着して仲良く眠っている。
「ねえ団長さん、1つ聞きたい事があるんですけども、良いですかぁ?」
クジラの左側に座っていたタレ目でふわふわとした雰囲気を持つ、多分この部屋で1番豊かな胸を持った女性が楽しそうに微笑みながら彼に話しかける。会合開始から、シータが隙あらばクジラを弄って楽しそうにしているのを見ていたおかげか、クジラの人となりを理解し、かなり打ち解けた様子だ。
「何でも聞いて良いよシルミアさん」
クジラは口調と性格と身体の1部分がふわふわな褐色美女、もといシルミアの言葉に快く返事をする。彼は元奴隷組のヨシノデパートの女性従業員は人数が多くて殆どの人の名前を覚えられていないみたいだが、だった6人で全員何かしら特徴的な美女である元盗賊団組の女性達の名前は全員キチンと覚える事が出来たらしい。ちなみに従業員の1割程度しかいない元奴隷組、元盗賊団組を合わせた男の子達の名前は、完璧に覚えていたりする。この世界で女友達に対し、男友達が極端に少ない事が原因だろう。
「団長さんは、リーシャちゃん以外を嫁に取る気はないのか気になったんですよぉ。シータが言うには団長さんはかなり頑固な一夫一妻主義とか聞いたんですけども、事実なのかなぁって気になりまして〜」
シルミアという女性が聞いたのは、クジラの婚姻に関する主義に関してだった。他の女性達もその質問に関する返答を興味ありげに待っている。
「そうだね。元々、僕の故郷は一夫一妻が当たり前なんだ。多分、それが常識、それが普通の事なんだって頭に染み付いちゃってるんだよ。だからなのか、僕はリーシャ以外の女性を愛そうとは考えられない。……いや、リーシャ以外を愛せないのはリーシャを溺愛し過ぎててリーシャと同等、もしくはそれ以上に愛を注ぎたいって人が現れないからかもね。まあ、そういう訳だから、このアゼルトリアで一夫一妻主義が変人扱いであっても僕は一夫多妻に手を出す気はないかな。ちなみに、結婚しないなら愛人、浮気相手はアリかと言われたら、当然アウトだよ」
酔ってる影響もあるからか、スラスラと自身の一夫一妻主義について語るクジラ。周囲を囲む褐色美女達は、興味津々に一字一句聞き漏らさないといった様子で彼のリーシャだけに捧げる思いを聞き入っていた。どの世界でも女性というのは、恋バナとかが好きなのだろう。
「はぁ〜、シータの言う通りなんですねぇ。団長さんは、私達がいた盗賊団の団長だった気持ち悪くて卑しいデブと違って、優しくて真面目で可愛らしい方ですから、許可が出たならば喜んで身を捧げたんですけどねぇ」
シルミアの言葉に、ウンウンと頷き笑う周囲の女性達。
「え、えぇっ?な、なんかごめんね?僕に好意を持ってくれるのは嬉しいけど、リーシャの事は裏切れないからさ」
「ええ、もう恋する乙女っていう年齢でも無いですし、いつもニコニコ明るく話し掛けてくれる妹みたいな存在のリーシャちゃんを泣かせるのは気分が悪いですから、快く退きますよ。2人の仲睦まじい様子を見守ってあげますから」
クジラは、自身の欲求ひとつでハーレムを築ける事に気付くと、顔を真っ赤にして言葉を思いっきり噛みながら謝罪をする。自分達の思いを知ってもリーシャを裏切らないという一途な様子を見て諦めがついたのか、シルミア達はニッコリと微笑んで手を出すような真似をしないと誓う。サッパリとしていて、大人な恋愛の考え方だった。
「ふふふ〜、それじゃあ私達の失恋祝いって事で、今日は朝まで飲み明かしましょうね団長さん♪酔い潰れて眠ってしまったら、リーシャちゃんとシータの眠る間に放り込みますからねぇ?そしてシータが持ってるスマートフォンって魔道具で、3人仲睦まじく寝ている姿を撮影してあげます」
「あははは、僕はいくら酔っても潰れて眠ってしまった事はないから強敵だと思うよ。あ、そこのコップが空いてるよ。シードルを注いであげるね」
シルミアはクジラに振られたという事で、今日は飲み明かすんだと言ってクジラにもしも酔い潰れたら何をするか伝える。それにケラケラ笑いながら応答し、シルミアの空になっていたコップにシードルを注いだ。もう、潰し合いの勝負は始まっているらしい。
「団長さんも、早く飲んでくださいな〜?美女達が代わる代わるお酌をしてくれますからぁ」
先手を仕掛けられたからか、シルミアの闘志に火が付いた。その結果、部屋にあった全ての酒瓶を空にするまでガパガパと酒を飲んでいくのだった。




