私が1番!
9章206話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
チーンッ♪
「よしっ!ふふん、良い焼き上がり!完成だわ!」
カーリーは焼き上がりを知らせる音を聞くとドキドキしながらオーブンを開き、自身の制作するお菓子がきちんと焼き上がった事を確認すると満足そうな笑みをこぼして完成宣言をした。
「わぁ!カーリーのお菓子、本格的で凄いね!それはなんていうお菓子なの?」
もはや対決を忘れ、ニコニコと微笑みながらクジラに美味しいお菓子を食べて貰おうと尽力していたリーシャは、そんな彼女の完成したお菓子を見て驚き、興味津々にお菓子の名前を聞く。ちなみに彼女の手元には、ピンポン玉程度のチョコの玉が沢山あった。
「これはガトーショコラって言うのよ!材料はバターと卵と板チョコとお好みで粉糖があれば出来ちゃうの!ヨシノにメレンゲの作り方で泣かされた思い出がある一品なのよ!ところでリーシャの作ってるそれは何なの?」
「えへへ、チョコトリュフだよ!ついさっき冷やし終わったから、仕上げにココアパウダーをまぶしてるの!」
カーリーはヨシノに泣かされた思い出がある一品だと語りながら自信作の紹介をした後、リーシャが手元でコロコロしているものは何なのだと聞く。それに対して、満面の笑みを浮かべながらチョコトリュフ、もとい生チョコの説明をするリーシャ。レシピ本をザッと眺めた結果、いちばん簡単で失敗の無さそうな物に決めたみたいだ。カーリーの思いを聞いて、お菓子作り対決よりも美味しく楽しく食べられる事を優先する気になったからこその選択だろう。
「ふふん、そしたら私の勝ちはほぼ確定ってところかしら!リーシャの本気が見れなかったのは少し残念な気がするけども、勝ちは勝ちだから嬉しいわ!」
チーン♪
カーリーがお菓子作り対決は自分の勝利でほぼ決まりだと言い、先走って喜んでいると焼き上がりを知らせるオーブンの音が再び鳴った。1台だけでは待ち時間が長く、待ってられないという理由で、クジラが勝手に2台目のオーブンを設置したのだ。
「お、これまた良い具合に焼けた。ん〜、これは小さい頃にヨシノのお母さんに教わって、ヨシノと2人で作った時を超えたんじゃないかな?」
「クジラお兄ちゃん!?なにそれ!チョコのケーキ!?」
クジラはオーブンから取り出した濃厚なチョコの香りがする洋菓子を型から取り出し、皿に乗せると満足げに微笑む。カーリーは男であるクジラがリーシャ以上のものを作っているとは思わなかったらしく、本気で驚愕していた。
「ホットケーキミックスとチョコと卵と牛乳を混ぜて型に入れて、オーブンで35分くらい焼いただけの簡単チョコケーキだよ。今回は僕もビックリするレベルの上出来だよ」
「あわわわわ……、対決は私の勝ちかと思ってたら、まさかのクジラお兄ちゃんっていう伏兵がいるなんて……」
自分の作ったガトーショコラよりも美味しい可能性があると感じたらしく、先ほどの先走って勝利を喜ぶ姿から一変して本気で動揺するカーリー。
「あはは、僕のチョコケーキはチョコよりもホットケーキミックスが主役しちゃってる感じがするから、ルール違反で不戦敗だと思うな。だから、この対決はカーリーとリーシャの一騎打ちだよ」
「そうなのかしら!?ふふん、それならば私が1番ねっ!リーシャ、私達も早くお皿に盛り付けて完成させましょ!2人の作ったお菓子、早く食べたいわ!」
「そうだねカーリー!えへへ、少しでも美味しく見えるように盛り付けなくちゃね!」
クジラがそんなカーリーを見て、自分のお菓子はルールに反しているから不戦敗だと楽しげに告げると、すぐさま調子の良い様子へと戻り、リーシャに盛り付けを急かすカーリー。そんな彼女をクジラとリーシャはニコニコと笑いながら眺めており、その光景はまるで親子のようであった。




