必要なお仕事
9章198話になります!
本日1話のみの投稿です。
それではどうぞ!
「あっ!クジラさんにリーシャさん!」
「あ、ランス君!ただいま!旅を終えて帰ってきたらヨシノのお店が開店してたからお客さんとしてひやかしに来たよ!」
ヨシノデパートに入店すると、元奴隷である従業員達のまとめ役のランスがスーツのような従業員用の制服を着用し、他の数名の従業員と共に客に向けて笑顔で挨拶をしながらビラを配って2階以降にある店へと誘導をしていた。そんな彼がクジラとリーシャを見つけると、小走りで2人の元へとやってくる。客よりも2人の方が優先順位が高いみたいだ。
「ぜひ見ていってください!ヨシノ店長ご自慢の商品がズラリと並んでますから!これ、割引券が付いたビラです!良かったらどうぞ!」
リーシャが客としてひやかしに来たと伝えると、笑顔でそれに応じてビラを1枚ずつ手渡すランス。仕事がよほどやりがいを感じて楽しいのか、心の奥底から笑っているように感じられた。
「えへへ、ありがとうランス君。ところでさ、シータがどこにいるかわかる?」
リーシャはお礼を言いながらビラを受け取ると、シータがどこで働いているかを聞く。
「シータさんですか?確かこの時間ならエレベーターにいますよ。エレベーターガール?ってお仕事だってヨシノさんが言ってました」
「エレベーターガール……。確かに必要か。なるほどな」
ランスの発言にクジラは一瞬疑問に溢れた表情を浮かべたが、即座に理解して必要な仕事だと口にし、納得した。
「エレベーターガール?ねえねえクジラ、それってどんなお仕事?」
「お客さんにどの階層へ行きたいか聞いて、エレベーターを動かすお仕事だよ。あとは、エレベーター内で客から何階にどんな店があるか聞かれたら教えるとかそのくらいかな。凄い簡単なお仕事だけども、エレベーターを使った事がある人なんてこの世界にいないからね。みんな使い方がわからないから必要なんだよ」
「ほぇ〜、シータは美人さんだからシータを見る為だけにエレベーターに乗る人とか出てきそうだね!痴漢とかは気を付けるように言ってあげなくちゃ」
クジラがリーシャにエレベーターガールの仕事を説明すると、美人エレベーターガールとして有名になる日が来るかも?などと思いながら微笑むリーシャ。
「シータは盗賊団副団長を務めてたくらいだし、相当な実力者だし大丈夫なんじゃないかな?むしろ痴漢した人がエレベーターの密室でシバかれるんじゃないかって心配だよ。とりあえず、見に行ってみよっか」
「えへへ〜、うんっ!……エレベーター、物珍しさでみんな乗ってみたいのか行列だね」
「……ならぼうか」
シータが美人過ぎるせいで痴漢されるのでは?と話した後、物珍しさにより行列が出来るエレベーター待ち列の最後尾に並ぶのだった。




