今怒ってるんだから!
9章193話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「ぶ〜……、クジラのいじめっ子〜……」
リーシャはクジラの事をジト目で見ながらぶーたれていた。クジラに恥ずかしい思いをさせられた事で少しだけお怒りのようである。
「あははは、ごめんねリーシャ。仲直りしていつも通り仲良く旅を再開しようよ」
「私は悪くないもーん。全部クジラが悪いんだもーん。私の事を許してほしいなら、そりゃあもう私を可愛がって甘やかさなきゃダメだよ?とりあえず、旅はいい加減再開しなくちゃいけないし、車まで戻ろうよ。クジラの方はもう荷物とか準備完璧で、すぐに出発出来るの?」
クジラの謝罪に対してプイッとそっぽを向いて許しを請うよう告げた後、旅の再開の前に準備は完璧なのかと尋ねるリーシャ。
「うん、僕の方は完璧。リーシャも大丈夫?」
「もっちろん!それならいつでも出発出来るね!早速行く?」
「ここでダラダラしてたらいつまでも出発出来そうにないし、早速行く事にしようか。リコリオ、旅を再開するよ?立って立って」
『ワフ!』 『ワウー!』
早速出発するかという彼女の問いかけにイエスと答え、立ち上がりリュックサックを背負いながらリコとリオに声を掛けるクジラ。2匹は尻尾を振り回して旅の再開を喜んでいた。凄まじい速度の車に乗って流れる景色を見るのが好きなのかもしれない。
「えへへ、リコリオってばやる気満々だね。ほらクジラ、早く空間移動して?……あ、私はクジラの事を許してないから、普通に話しかけてあげてるからって勘違いしないでね!?」
リコとリオのお尻を撫でて微笑みながらクジラに空間移動を急かすリーシャ。しかし、彼女はクジラに怒っているのに関わらず笑顔で喋りかけてしまった事に気付くと、慌てて自分は未だに怒っているのだと主張した。
「よしよし、リーシャは強情だなぁ。それじゃあ行こうか。フーの街までもうひと踏ん張りだし、運転をよろしく頼むね?もしも疲れたら変わるけど、安全面は期待しないでよね?」
「えへへへ、了解だよ!それと、クジラは運転そこまで好きじゃないみたいだし、無理しなくて良いよ?……あぁ!?別に今の笑顔は車を運転出来る喜びに対する笑顔だから!決してクジラに向けた笑顔じゃないんだからね!?」
そんな強情な彼女の頭を撫で、車の運転を頼むと伝えるクジラ。撫でられお願いをされたのが嬉しかったのか、今度は微笑みではなく満面の笑みを披露してくれた。クジラの事が好きで好きでたまらないせいか、彼に撫でられたり頼られたりすると無意識に笑みがこぼれてしまうみたいだ。それにより大きな声をあげ、今のは違うんだと必死な言い訳をするリーシャ。クジラはそれを適度にからかいながら、空間移動を行使するのだった。




