バーベキューの始まり!
9章178話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「おいお前らー!勇者の姉御2人と魔王の兄貴が来たから始めるぞー!ほらそこー!姉御のペットが可愛いのはわかるが、乾杯だから一旦立て立て!」
クジラ達3人がバーベキュー会場に到着すると、テンション高めに指示を飛ばし出すリーダー。手にはビールが溢れる程に注がれた紙コップがあった。ちなみにリコとリオなのだが、クジラ達が模擬戦をしている間、不良グループの女性陣に囲まれてチヤホヤされ続けていたようである。自分達を取り囲む女性の顔を時折見回しながら、尻尾をピコピコと振るい、とても楽しそうにしていた。
「ささっ、皆さんビールとジュースどっちにしますかっ?お茶と果実酒って選択肢もありますよ?」
気の利いた不良グループの一員の男は、3人に1つずつコップを手渡すと、何を飲むかとご機嫌な様子で伺い始める。その男は人相が良く、明らかに不良には見えず、なんとなく周囲を見ると印象的に荒れてそうなのは半分程度な為、実際この集まりは不良グループというよりは『ニニの街を存続させる会』のような集団なのかもしれない。
「はははっ、気が利くな!私はビールだ!なんなら樽で持ってきてくれて構わないぞ!」
「私は〜、果実酒っ!あまーい奴!」
「リーシャ、あまり飲みすぎないでね?僕は、え〜と、この子と同じ果実酒でお願いします」
「ビールと果実酒ですね!はい、どうぞ!すぐにリーダーが乾杯するので、飲むのはちょっと待ってくださいね!」
すでにテンションマックスなマールから順に飲み物のリクエストをすると、何が飲みたいかと聞いた男は手際良くコップに溢れる程に注いでいく。周りも同じように溢れんばかり注いで地面に零している為、祝い事の時は飲み物を溢れる程に注ぐのが街の風習だったりするのかもしれない。
「えへへ、肉肉肉っ!クジラクジラ、山のようにお肉が置いてあるよ!凄いね!こんな盛大な打ち上げ、初めてかも!」
リーシャは果実酒を手に、キラキラと目を輝かせてある場所を指差す。そこには包装された肉が言葉通り山になって置かれていた。街中の肉屋を駆け回り、自宅からも持参してきたりしたのか、現在街にある肉の半分以上はここに置かれているのでは?と思ってしまえる程の量だ。
「確かにあれは凄いや。リーシャ、相当お金掛かってそうだし、残って捨てるような勿体無い事が起きないように全力で食べなよ?」
「うんうん!もっちろん!でも、私よりもマールさんの方が凄いよ!超大食いなの!」
「食べなければ肉体が労働についていかないからな!クジラ君、私と食べ比べでもしてみるか?」
「あははは……、味わって食べるから遠慮しておきますね?」
「おいお前らぁ!全員!飲み物は行き渡ったかぁ!?」
クジラ達が楽しそうに会話をしていると、リーダーの大声が会場全体に響き渡り、周囲の視線がちょっとした台の上に立つリーダーへと向く。
「よっしゃ!行き届いたみたいだから街の存続を祝ったバーベキューを始めるぞ!!……と言いたいところだが!まずは俺達を救ってくれた英雄の紹介をしておこう!勇者の姉御2人と魔王の兄貴!こっちに来てくれ!」
リーダーが辺りを見回し、全員コップを持っている事を確認すると乾杯の音頭を取る……と思いきや、クジラ達に自分の近くへと来るようにお願いした。
「はははっ、お呼ばれされたみたいだ。リーシャ、クジラ君。行ってやろうか」
「あはは、そうですね〜」
「えへへ、果実酒が溢れないように気を付けて歩かなきゃ」
3人は笑顔を浮かべながらリーダーの元へと向かい始める。ちなみに先ほどまで堂々と模擬戦をしていた事もあり、この会場内に自分達の存在を知らぬ者はいないといった状態で、リーダーに呼ばれた瞬間からこの人達の事だよねというような視線により、注目の的状態だ。
「こちらの方々が、俺達を救ってくれた勇者の姉御2人と魔王の兄貴だ!今日はこの3人に心から感謝をしながら、目一杯飲んで食べて楽しむようにっ!まあ、かなりアッサリだが紹介はこのくらいにしておいて、始めるとするか!食う用意は良いな!?乾杯っ!!」
『『『乾杯っ!!!』』』
リーダーは軽く3人の紹介をすると、乾杯の音頭を取った。それにより、4、50人ほどの大人数でのバーベキューの幕が上がった。




