これからどうする……?
9章173話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「おーいリーシャ!マールさん!それと不良グループのみんな!」
クジラはニッコニコ笑いながら街の長宅の前で2匹のペットを中心に遊んでいたリーシャ達に声を掛けた。何故なのか、リーシャ、マールと共に遊んでいたのは街の長宅のリビングにいた不良グループの女性陣のみであり、男性陣はその場に1人もいなかった。その女性達は皆、リコとリオにメロメロらしく、2匹を撫でたりハグしたりとても楽しそうである。
「えへへ、その笑顔だけで言いたい事がよくわかるよ!おめでとうみんな!みんなの街はこれからも存続するみたいだよ!」
彼の満面の笑みを見ると、パァッと表情を輝かせるリーシャ。表情のみでクジラの言いたい事を完璧に理解したらしい。まるで自分の事かのような危機とした声で、不良グループの女性達にお祝いの言葉を贈る。隣の仲間と両手を握り合ってピョコピョコ跳ねたり、キャイキャイと喜びの声をあげたりして各自喜びを表す女性達。中には街から出ていかなくて済んだ事がよっぽど嬉しいのか、ボロボロと涙を溢す者もいた。
「クジラ君が……、いいや、君達2人がいなければこの事件はこんなハッピーエンドで終わる事は無かっただろうな。クジラ君の特殊な力のおかげで迷宮誕生の瞬間に立ち会えたし、この事件に携われて良かったよ。2人とも、お疲れさま」
マールはクジラとリーシャを交互に見て、爽やかな笑顔を見せながらウンウンと頷くと2人に労いの言葉を掛ける。もしもニニの街にリーシャとクジラが居合わせず、自分1人で事件に挑む事になっていたとしたら、絶対に現状のようなハッピーエンドで事件の幕は下ろせなかったし、ニニの街はこのまま街の長の意向に沿って消滅してしまったのだろうという事を想像した結果、2人の健闘を全力で讃えてやらなければいけないなという結論に至ったみたいだ。
「えへへ〜、頑張って良かったねクジラ!」
「そうだね。なんか今、達成感が凄いや。やって良かったって心から思えるよ」
マールの労いの言葉を聞くと、達成感溢れる笑みを互いに向けるクジラとリーシャ。どちらも自身の行動に後悔ひとつなく満足した様子である。
「ところで、今ここに女の人しかいないみたいだけども、不良グループの男性陣はまだリビングを占拠してるの?」
「んーん、違うよ。クジラが邪神のおじさんと一緒に頑張ってる間に、リビングにいた皆に迷宮の事を話して、この街に迷宮が誕生したから絶対に街は存続する事になるって教えてあげたの!そしたらちょっとした話し合いの後に撤退の準備をしようって事になって、男の人達が迷惑掛けた分、部屋をピカピカにしてから撤退するっていう事になったんだよ!」
クジラが邪神と共に対談している間に、占拠していた街の長の家を早急に解放する事が決定し、現在リーダー含めた不良グループの男連中が撤退前に迷惑料代わりとして全力で掃除をしているらしい。
「へえ、そうなんだね。なんかもうテンションマックスでここまで来たから気付かなかったや。多分、ピカピカな部屋を見たらお爺さんも家を占拠された事とかを何とか許してくれるんじゃないかなぁ」
「えへへ、そうだと良いね〜。それよりも、私達の役目は終わっちゃったけどもこれからどうするの?」
「どうしよっか……。あの、マールさんはもう勇者理事会に帰るんですか?」
「そうだな……。もう終わった事だし、ぼちぼち帰るとするかな」
「それじゃあクジラ、私達は不良グループの撤退が終わるまでここで遊んでよっか!というか、もう今日は色々と疲れたし、この街に1泊する事にして良い気がする!」
これからどうする?という話題で、ニニの街に1泊する事にしようと提案するリーシャ。
「まあ、明日に早朝から車で爆走すれば、夕方になる前にはフーの街に到着するだろうし良いか。うん、それで良いよ」
クジラはそれに少し悩む素振りを見せた後、コクリと頷いて1泊する事に同意するのだった。




