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僕の作った迷宮




9章164話になります!


本日1回目の投稿です!


それではどうぞ!









「うぅむ、なんだこれ……。仕事上、迷宮自体殆ど入らないから他の迷宮と比べる事は出来ないのだが、これは明らかに異常な迷宮だという事がわかるぞ」


現在迷宮8層目。マールは定期的に出てくる魔物を一瞬で斬り伏せて蒸発させながら困惑を隠せない声色で呟く。魔王の纏め役に魔王と勇者が各2人、おまけに口から色々とブレスが吐けたりする犬2匹と、迷宮序盤にいること自体が意味不明な余剰戦力だ。


「えへへ、出てくる魔物はなんか可愛らしい魔物ばっかりだし、なんだかよくわからない絵とかが飾ってあって不思議な美術館に迷い込んだみたいで楽しいね!女の迷宮探索者さん達が旅行感覚でやって来そう!」


リーシャは魔王に属する男3人と同様に魔物殲滅はマールに任せ、手ぶらでフンフンと楽しそうにしながら自分なりに考えた迷宮内の特徴を口にして、素敵な内観からして女性の迷宮探索者をこぞって引き寄せられそうだと話す。洋館から地下に降りた先にある迷宮は、床も壁もシミや汚れひとつない白で統一されており、一定の距離ごとに絵画が飾られていてまさに美術館といった内観だ。それに加えて現れる魔物は子供がクレヨンで描いたラクガキを実体化したようなものばかりで、リーシャ曰くとても可愛いらしい。女性迷宮探索者が1度は訪れたいむしろここをメインで攻略したい迷宮ランキングで1位になるのは時間の問題とまで口にしていた。


「う〜ん……、僕がイメージした感じと全く違う迷宮が出来ちゃったな……。なんというか元の世界にあった、展覧会に行ったらよくわからないまま美術品の世界に拉致られた少女が同じ被害者のオカマなお兄さんと脱出するホラー系のフリーゲームみたいな迷宮だなぁ」

「……ん?おいクジラ。……まさかだが、この迷宮って自然に出来たものじゃなくて、お前がよく分からんけど色んなものを無から創造出来る魔法で作ったものなのか?それならばお前がいち早く迷宮に辿り着いて所有権を獲得出来たのにも納得出来る」


クジラが迷宮の中を見て思った事を呟き苦笑いしていると、それに気付いたヴァーチュが引き攣った笑みを浮かべながら迷宮は自然発生でなくてお前が作ったのかと恐る恐る尋ねる。邪神のおじさんはそのヴァーチュの発言を聞くと、目をカッと開いてクジラに首を向けた。


「あははは……、このニニの街は来年末までに消滅する予定だったので、それを存続させるには迷宮を作って町の人口を無理やり増やすしか方法が思い浮かばなかったんです。……もしかして、厳しい罰則とかあります?」


それにクジラは乾いた笑みを浮かべ、ニニの街を存続させる為に必要であったのだと対応する。


「……そもそも迷宮を作れる奴なんて存在するとは思わなかったから罰則なんて無いぞ?とりあえず、今の迷宮を作ったって話は聞かなかった事にしておいてやるから、もう2度とやるな。この事が公になってしまったら、目を付けられて大事な嫁との平穏な生活など出来なくなるぞ?街を救うにも、考えればきっと他のやり方があったんじゃないか?」

「ごめんなさい。マールさんとリーシャ、それに街の若い人達と話し合いしても何ひとつ思い付かなかったから、唯一希望がありそうだと感じられたこの策を使う事にしました。平穏な生活が送りたいので、もう2度と迷宮を作らないように気を付けます……」

「おう、それで良い。ヴァーチュ、お前も今の話は忘れろ。偶然、旅行で近くにいた唯一の部下が偶然にも迷宮の誕生に立ち会ったって事にしておけ」

「おう、わかったぜおっさん。まあ、もしも公になっちまっても唯一の大切な部下は俺が全力で守るつもりだから何も恐れる事は無いんだけどな!」


邪神のおじさんは驚愕を何とか隠しながら、冷静な口調で罰則は無いが2度と作るなと釘をさす。平穏な生活を脅かされるなど死んでも嫌だと感じたクジラは、若干ショボンとしながらその言葉に頷き、大人しく従う事にする。


「えへへ、よしよし。慰めてあげるねっ!」

「なんか、人前だと照れるな……」


そんなションボリとしたクジラの元に駆け寄ると、彼の頭を撫でて柔らかな笑みを浮かべるリーシャ。その光景を生暖かい目で見てくるマール達を見回すと、クジラは苦笑しながら照れると呟くのだった。





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