頼むよ具現化魔法っ!
9章160話になります!
急用のため、本日1話のみの投稿にさせていただきます。
それではどうぞ!
「ねえねえクジラ?ここ良いんじゃない?なんか無駄にだだっ広いだけの空き地だしさ!まさに新たな迷宮を誕生させる為に放置されていた土地って感じがする!」
街の長のお宅から出て、良さそうな土地を探す事30分。ギルドの近くに広くて障害物の無い土地を発見すると、リーシャは大喜びでその土地を指差しキャイキャイとはしゃいだ。
「うん、ギルドからそう遠くないし、フーの街くらいの迷宮入り口を作るのならば十分過ぎるスペースだね。……でも、勝手に迷宮なんてものを作製しちゃったら、ここの土地の持ち主に後でなんて言われる事やら」
クジラは一緒に喜ぶ事なく、念の為に土地の持ち主に確認を取った方がよいのでは?と、常識的な事を告げる。
「もう来年には全員この街から撤収するって言ってたんだし、そんなの関係ないよっ!街の長のお爺さんも、街を壊したり害を与えなければ何をしても良いって言ってたし!だから勝手に迷宮を創っちゃおう!」
だがしかし、どうせ来年にはニニの街の住民はこの土地と手放すつもりなのだから、好き勝手にやってしまえと口にするリーシャ。確かに、翌年には街自体がなくなるのだ。今更空き地に何かしらの建物が建ったりするとは思えない。
「……リーシャの言う通りだな。もしも怒られたならば、私が責任を持ってやる。好きなようにやると良い」
「えぇ〜、マールさんまで……。わかりましたよ。やってやりますよ」
マールまで、リーシャの意見に対して同意し始めた。やはりリーシャと同じく、来年には街が無くなる事がほぼ決定している状態なので、今更その空き地に新しい建築物などが増えるはずがない為、好き勝手に空き地をいじってしまっても構わないだろうという結論に至ったみたいだ。クジラはこの人もリーシャと同じ事を言うのか……。と、少し驚きながらも覚悟を決め、やってやるという宣言と共に空き地の中心へと進んでいく。
「クジラ〜!イメージするのは素敵な迷宮だよ!どの迷宮よりもお洒落なデザインで、若い迷宮探索者が沢山呼びこめそうな感じだよ〜!」
「素敵な迷宮。素敵な迷宮……。若者達が興味を惹かれそうな洒落たデザインな迷宮」
空き地の中心辺りにしゃがみ込み、特に意識せずその場の土を弄りながら、具現化魔法を行使する為のイメージを練り固め始めたクジラ。リーシャがイメージの要望を伝えると、クジラは特に返答はしなかったが、それを取り入れられるように必死にイメージを固め出す。
「……やっぱり普段、魔王として迷宮で働いていただけあるね。車とかを具現化した時よりもイメージを固めるのが圧倒的に簡単だったな。まあ、迷宮として機能を果たしてくれるかはわからないけどね。……よし、頼むよ具現化魔法!!僕が思い描くお洒落な迷宮を具現化してくれっ!!」
クジラは頭の中に普段以上によく出来たイメージを思い浮かべ、大規模な具現化魔法を行使する準備段階だからかボンヤリと白く発光し始めた手を地面にバシッと叩きつけた。
…………ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
その数秒後、凄まじい地鳴りと共に震度3程度の地震が発生した。




