冗談だったらタコ殴り
9章159話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「クジラ!私達でニニの街に迷宮を作ろう!そしたらきっと、街は存続せざるを得なくなるから!」
リーシャは街の長の部屋から出ると、クジラに向けてそう伝えた。
「迷宮を作ろうかぁ……。それで街は本当に存続する事になるの?根拠は?」
「おいおい待て待て。2人とも迷宮を人が作り出すなど無理に決まっているだろう?あれは今でも誰がどういった理由で産み出したのかすらわかっていないようなものなのだから。現実逃避するほどに心が折れてふざけ初めているのならば怒るぞ?」
クジラがリーシャの提案に平然と対応をすると、マールはかなり困った様子で2人を止めた。迷宮を作るなど、普通の人間では不可能な事らしい。
「ふっふっふ、マールさんマールさん、クジラならば多分作れちゃうんだよ!……本当にふざけてないから。正気だから怒らないでね?」
そんなマールに、リーシャはしたり顔で迷宮を作れるのだと宣言し、無言で拳を振り上げていたマールに軽くビビりながら抑えるよう伝える。
「……まるで夢のような話だし、信じるつもりはないが、冗談は言ってないと思っておこう。だが、冗談だとわかったら2人揃ってタコ殴りにしてやるからな?」
「クジラ!すっごい立派な迷宮を具現化してね!一生のお願いっ!!」
「もう7、8回は一生のお願いを使われてる気がするけども……。はあ、リーシャの頼みは断れないや。マールさん、僕ならば多分出来ます。僕には最強に便利な魔法が備わっていますから」
マールが握った拳にハーッと息を吐くのを見たリーシャは、クジラの両手をがっちりと握り締めて文句の付け所がない迷宮を作成するよう全力でお願いした。クジラは何回一生に一度のお願いを使っているんだこいつはと呆れ顔になるが、リーシャを溺愛するクジラは彼女の頼みを断るなどという事、ありえなかったみたいだ。負けましたという意思を示すような笑みを見せ、マールに迷宮を作る事は可能であると伝えるクジラ。
「……とりあえず、実践して証明してくれ。流石に口頭のみで信じるのは不可能だ」
マールはクジラの本気の目線を見ると、実践してその場で証明しろと返事を返した。彼の本気そのものな目を見て、何も文句を言えなかったらしい。
「それじゃ、良い感じな空き地を見つけて迷宮を作成しちゃいますよ。リーシャ、街の存続の為に素敵な迷宮を作るから、造形のアドバイス頼むよ」
「えへへ、了解!迷宮の作成頑張ってね!」
2人は軽く言葉を掛け合うと、迷宮を作るのに適した土地を探しに歩き出し、マールは不信感丸出しにしながら数歩遅れてついて行くのだった。




