表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1848/2000

宣言と涙と混乱




9章155話になります!


本日1回目の投稿です!


それではどうぞ!









コン、コン。


「あの……、えっと……、何度もごめんなさい。荒くれ者さん達の本気な想いを見ていたら私自身、諦めたくなくって。引き下がるのは嫌だって思って……。入室しても良いですか?」


リーシャは後ろにマールを控えさせ、1回目に訪れた時とは違い恐る恐るといったノックをして、緊張しながらも何とか声を絞り出す。


『……先ほど魔王の少年と一緒にいたお嬢さんですね。何度でも納得してくれるまで対応しますよ。どうぞ、扉は開いております』


数秒の間が空いた後、扉越しに街の長の穏やかな声が聞こえた。街が占拠され、自宅のリビングすらも乗っ取られているというのによくもここまで冷静でいられるものである。それほどに決意が固いのだろう。


「失礼します……!あのっ、早速ですけども、ニニの街の存続のお願いをしに来ましたっ……!」

「ええ、わかっております。断固として首を縦に振るつもりはありませぬが、話や提案などは真剣に聞きましょう。……ん?そちらの方はもしかして……」


リーシャはまるで面接を受けに来たかのような緊張具合で入室すると、開口一番に自分の要求を口にする。街の長はそれに頷き、言いたい事があるならば真面目に聞くが、きっと要求は通らないだろうというような事を伝えた。また、それを口にした後、リーシャに続いて入ってきたマールを目にし、驚いたように目を丸くする。各街や村を依頼によって転々として凶悪な魔物や族を打ち滅ぼしたり、定期的に武闘会に参加して何度も優勝している名実ともに最強の女勇者な為、名前も顔も相当知られているみたいだ。


「失礼します。ギルドからの緊急救助要請に応じ、ニニの街にまいりました。勇者マールと申します。偶然現場にいた此方の勇者リーシャとの情報交換の結果、街を愛する若者達の強い想いに感服し、若者達に協力する事に決定致しました」


マールはそんな街の長の様子を気にする事なく、仕事モードの真剣な表情で簡単な自己紹介とここに現れた理由を口にする。


「……まさか、あの勇者マール様までもが街の若者達の味方に付くとは。それに其方のお嬢さんも勇者だったのですか。流石に驚きましたが、有名人に街の存続を求められても、首を縦に振るほどに決意は柔くないですよ」

「……ふむ、こちらの勇者リーシャから聞いた通り、相当固い決意をしているみたいですね。まあ、あの若者達の目に諦めが浮かばない限り、私は引かずに彼らの協力をさせて頂きますよ」


元々はリーシャの頼みで渋々であったが、リーシャに情報を貰っている時に街の長の家のリビングに居合わせた荒くれ者達から直接想いを聞き、本気で助けてやろうという気持ちが湧いたみたいだ。マールは堂々とした様子で一歩も引く気が無い事を宣言する。


「……私もっ!勇者として1人でも多くの人が心から笑っていられる選択肢に導いてあげたい!だからお爺さん、勇者リーシャも引く気はないです!」

「……ありがとうございます」

「「……へっ?」」


マールに頼りきらず、自身も自身なりに出来る事をしようと心に決めながら凛々しい顔でマールに続いて宣言をするリーシャ。街の長はそんな2人の真剣な様子を見ると、ホロリと涙を零して2人に礼を伝えて場に混乱を生じさせた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ