面倒見の良い先輩
9章154話になります!
本日2日目の投稿です!
それではどうぞ!
「……そういう訳でここにいる荒くれ者さん達は、このリーダーさんを中心としてニニの街を存続させる為に街を占拠とかしちゃったの。マールさん、大体理解出来たかな?」
リーシャはマールを連れ、荒くれ者達が占拠する街の長の家のリビングに戻ると、自分の知る情報を全てマールへと伝えた。
「ふぅむ……、なるほどな。少しばかり面倒だからパスして良いか?元々そういう約束だし」
「マールお姉ちゃぁんっ!!私を助けてよぅ!」
「むむむ……、お姉ちゃん呼びは何というか、卑怯だぞリーシャ!」
マールは話を聞き終えると、少し悩んだ素振りを見せた後、サッパリとした表情で撤退を要求した。だがしかし、リーシャはマールの腕にしがみ付き、目をウルウルとさせながら必死のお願いをする。先ほどのマールの発言を上手く利用し、お姉ちゃん呼びをした事が効果的だったらしく、マールは手伝うか逃げるかで相当揺れていた。
「えへへ、お願いマールさん。今回限りは私とクジラの2人じゃあ何も解決出来なそうだし、解決に手を貸してもらえたら嬉しいな?……本当の本当にお願いっ!!」
「……はぁぁ、私って本当に甘過ぎるな。今回は手を貸してやるが、次はよっぽどの事でなければ手伝わないと宣言しておくからな。人に頼る事に慣れてしまうと、ここぞという時に1人では動けなくなってしまうぞ?」
リーシャが可愛らしい笑顔を浮かべ、改めてマールにお願いを必死に伝えると、マールはわざとらしくため息を吐いて承諾をした。なんだかんだ言って彼女は面倒見の良い性格をしている為、深い絆で結ばれた大切な仲間の頼みは断れないみたいだ。結局のところ、先ほどの模擬戦は戦闘狂としての心が疼いて戦いたかっただけらしい。
「やったぁ!ありがとうマールさん!次からは出来るだけ人に頼らず、自分だけで何とかなるように頑張るよ!」
「ああ、そうしてくれ。私は喧嘩が得意なだけで考えるのはかなり苦手なんだ」
「……確かに、思い返してみればマールさんが相方の仕事って全て魔物討伐か指名手配犯とかの悪人をボッコボコにして捕獲する系のお仕事だったもんね。なんか、こんな複雑な事情がある問題に首を突っ込ませる事になっちゃってごめんねマールさん」
「まあ、たまには構わないさ。会長のうっかりミスなのかわざとなのか知らないが、複雑な問題の仲介とかやらされた事は何回かあるし、おそらく何とかなるだろう。とりあえず話の限りだと、私も街の長に話をしに行けば良いか?最強の女勇者の頼みならば、渋々聞いてくれるかもしれないからな」
マールが普段受け持つ仕事が魔物討伐もしくは悪人捕獲なのを思い出し、戦闘以外の仕事は本当に嫌なのだろうなという結論に至って軽く謝るリーシャ。それに対してマールは全然気にしていないというような笑みを見せる。マールの面倒見の良さもあるが、ここまで協力的なのは人懐っこいリーシャの人徳もあるのだろう。
「えへへ、それならマールさん!私も一緒に再チャレンジに行くよ!さっきはクジラに任せっきりで、私は一言も喋れなかったから!クジラはそこで待っててね?私とマールさんの最強女勇者コンビでビシッと決めてくるから!」
街の長に直接話をしに行くと発言するマールに頷くと、リーシャは周囲の荒くれ者達を見回し、マールと共に自分も再び街の長の元へと向かうと宣言する。
「僕も一緒にって言いたいところだけども、何も頭の中に良い提案が浮かんでこないし、大人しくここで待ってるよ。リーシャ、頑張ってね?マールさんも、よろしくお願いします」
クジラがリーシャとマールを応援の言葉を掛けると、2人は大きく頷いてリビングから退出する。そして、クジラに続いて檄を飛ばし始めた荒くれ者達の声を背中で受けながら、街の長の元へと向かうのだった。




