姉妹的存在
9章153話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「……ごめんなさいクジラ。あんなの、耐えられないよね……?」
マールに便秘解消針を使われたリーシャは、クジラの迅速で懸命なサポートのおかげで無事に街の長の家のトイレへと向かう事に成功し、腹痛の原因を野外ではなく、キチンとトイレで排出する事が出来たみたいだ。不安そうにキョロキョロと目を泳がせてクジラの目前にやって来ると、ションボリとしながら頭を下げる。勇者として未熟である罰として、クジラが刺されたのと同じ便秘解消針を自身の身をもって体感した事により、もしも戦闘中に針を刺されたのが自分だったらなどと考えたのだろう。本気で反省した様子だ。
「わかってもらえて良かったよ。マールさん、仲直りの手助けしてくれてありがとうございます」
「構わないさ。私が原因で仲違いになったら、夜も落ち着いて寝れなくなりそうだからな。はっはっは!」
クジラは頭を下げるリーシャの顔を上げさせると、安心したように表情を緩ませ、マールにお礼を伝えた。そんなお礼に、自分もこのままでは嫌な気持ちを引きずる事になったからと話し、マールは仲直りしたのを満足そうに見て笑った。
「……ねえねえマールさん。結局私達の負けだけども、本当に荒くれ者さん達に協力はしてくれないの……?」
リーシャはそんな彼女の服の袖をくいくいと引っ張り、恐る恐ると模擬戦を始めた理由であった事を口にする。
「……そういえば、そんな理由で模擬戦を始めたのだったな。悪いリーシャ、私とした事が戦闘に没頭し過ぎて思いっきり忘れていたぞ!……そうだな。最初に言った通り、面倒な事でなければ手伝ってやろう。とりあえず、話は聞いてやるさ。そんな悲しそうな顔をするんじゃない」
マールは模擬戦をしていた理由が頭からスポッと抜け落ちていたみたいだ。それを口にして笑いを誘った後、落ち着いた口調でリーシャの質問に答え、断られるのは嫌だなというのが思いっきり顔に出ているリーシャの頭をポンポンと撫でてやる。
「えへへへ……、マールさんありがとっ!やっぱりマールさんは優しいねっ!大好きっ!」
リーシャはそれにより、表情をパァッと明るいものへと変化させ、マールに好意を伝えながらヒシッと抱きつく。
「つい妹を甘やかしてしまうのが私の悪い癖だよなぁ……」
「ほぇ?妹?」
「……あ、いや違う。君はアネの親友だし、私の良き相方だろう?そんな訳で勤務中は私とアネとリーシャの3人でいる機会が多いから、一緒に笑い合ったり、ご飯を食べたりしているうちに君の事も妹のように思ってしまっているんだよ。……ダメだったか?」
マールが妹という言葉を出すと、首を傾げるリーシャ。その為、マールは少し恥ずかしげに今の妹発言の意味を説明した。
「……マールお姉ちゃん!えへへへ、そんな風に私の事を思ってくれてたんだ!私、嬉しいよっ!」
リーシャは抱きついたまま、とても嬉しそうにグリグリと頭をマールに擦り付けて喜びを表す。
「はっはっは!可愛い奴め。さあ、さっさとこの街の事件をどうするかのケリをつけてしまうか!妹よ、早速話をしてもらえるか?」
「了解っ!」
リーシャが妹のように思われているという事に喜びの感情を爆発させると、マール自身も本気で嬉しそうに笑い、上機嫌な様子で街の事件の流れについてを、リーシャから聞き始めるのだった。




