残念系女勇者
9章150話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「えへへへぇっ、えへっ、えへっ……。楽しいねぇ〜マールさん!マールさんってば私よりも力が足りなくて徐々に押されてきてるけど〜、今の気持ちはどんな感じ!?楽しい!?苦しい!?気持ちが良い!?えへへへへへへへへへへへ!私はとってもとっても気持ちが良いなぁ!もっともっと剣をぶつけ合おうねぇっ!」
リーシャは普段の模擬戦以上の狂いっぷりを見せていた。危ないクスリを服用したのではと思えてしまうような目をして、口端からツーっと涎を垂らしながらゲラゲラと笑いつつ剣を振り回している。ちなみにクジラとのコンビネーション技である無限落下作戦は10分近く継続しており、リーシャはその間、1度も大地に足を着けずに落下の浮遊感を味わい続けているみたいだ。
「凄まじくハイテンションだな……。私も先ほどまでは相当テンション高かったつもりだが、流石にドン引きして冷静になってきたぞ……?」
マールの方は、リーシャのテンションが高くなりすぎて付いていけず、ドン引きという形で冷静になっていた。困ったような顔をしながら、リーシャの馬鹿力の溢れる怒涛の剣技を無駄が1つもない動きで受け続けている。顔には焦りを一切見せないが、狂った彼女の発言通り、マールは力負けをして若干押されていた為、内心では相当焦っているみたいだ。
「えへっ……、マールさん!そんな澄ました顔をしてたらぁ、私の迫力にやられちゃうよぉ?ねえねえクジラァ〜?どんどんマールさんに不意打ち仕掛けちゃってねぇ〜!あとで回復魔法掛けてあげるし、杭でメッタ刺しにしてしてあげても良いからぁ〜!」
「了解!任せてね!……ふぅ、この調子ならば勝てそうだけども、なんだか凄い悪役してる感覚だなぁ。リーシャの狂人モードだっていつも以上に狂った様子だし、マールさんがドン引きするのも無理ないね」
リーシャの過去最高の狂いっぷりには、流石のクジラも驚いていた。だが、狂っている状態の影響なのか、何故かやけに艶っぽい声を出している為、その声を聞く度にクジラはドキッと心弾ませているみたいだ。流石、どのようなリーシャでも愛せると豪語するだけはある。
「マールさんマールさん!そんなに防戦一方で良いのかなぁ〜!?えへへへ、私!そろそろとどめ刺しちゃうよ!?楽になってね♪」
そんなどんな狂っても愛されているリーシャは、美しく透き通る水晶のような素材で出来た刀に雷魔法を纏わせ、パリパリバチバチと音を鳴らす。
「武闘会の時にやった技か!?」
「ヴァーチュ流奥義!…の応用版!雷魔法斬!!」
リーシャはただの魔力ではなく、雷魔法をコーティングした斬撃を飛ばした。ヴァーチュに教えてもらった斬撃飛ばしの奥義を自分なりに色々と改良して行き着いたひとつの応用技らしい。
「リーシャのその技、魔法と組み合わせて斬撃を飛ばしているみたいだが、むしろ私から言わせてもらうと斬撃のおかげで魔法を切り払いやすくなっていると思うんだよな。まあ、普通の魔法よりも相手に届く速度が速いし、普通の斬撃以上に殺傷性があるから、使い所によると言った所か。ふんっ!…アババババババッ!!??」
「……えぇ〜。あれだけ評価を口にして偉そうな顔をしていたのに、雷魔法付加された斬撃を対策無しに切り払って感電しちゃってるよあの人……」
マールはリーシャの雷魔法斬によって飛んできた雷を纏いバチバチと鳴っている斬撃を無対策で切り払おうとした為、感電してモロにダメージを受けていた。クジラは直前まで偉そうに語っていたくせに、そんな間抜けな事をしているマールにドン引きである。
「えへへへっ、クジラにも残念な所を見られちゃったねマールさーん!今のをトドメにしたかったけども仕留めきれなかったから、今度こそ決着を付けてあげるね!」
リーシャは再び刀に雷を纏わせると、全速力でマールに向かって突撃をし、最後の一撃だという思いを込めて得物を振り上げた。




