笑い声響く戦い
9章149話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「んぐぅっ!!くぁあああっ!!」
「ははっ!やはりリーシャも打ち合いはまだまだ成長途中だなっ!ほら、限界を超えた力を出さなければ最強の勇者に勝つには力不足だぞ!」
キィンッ!カッ!ガキィッ!
クジラの奇襲が失敗に終わり、少しの談笑を挟んだ後、本格的な勝負が幕をあける。互いの得物を何度もぶつけ合い、火花を散らしていた。言うまでもなくマールが優勢で、笑いながらリーシャを追い詰めていた。
「リーシャ下がって!」
「うんっ!」
「クソッ、クジラ君が厄介だな。コンビとしての相性の良さは本物みたいだし、本当に相手にしたくない面倒なコンビだっ!」
だがしかし、この勝負は1対1ではない。クジラが指示を飛ばすと、何の疑いもなくバックステップをするリーシャ。彼女が離れた瞬間には4本の鉄杭が地面から生え、マールを襲う。マールはそれを軽業師のような身軽さと跳躍力でバク宙して回避し、少し自慢げな顔をしながら2人を褒める。驚く程に余裕だ。
「クジラ!無限落下作戦!いつでも良いよ!」
「了解!」
「うん?気になる作戦名だな?一体どんな……ウオォッ!?」
リーシャはそんな余裕たっぷりなマールに苛立ちながら、作戦名をクジラに伝える。2人が放浪の旅に出ている間に思い付いた2人だけのコンビネーション技だ。クジラは作戦に応じる声を出すと、リーシャの足下に空間の裂け目を具現化する。リーシャはストンとその裂け目の中に落ちてゆき、マールの頭上に現れ鋭い一撃を放つ。余裕かましていたマールは対応に遅れながらも何とか受け止め、大きく体勢を崩す。
「まだまだぁ!とりゃああっ!!」
一気に流れを自分のものにしたリーシャは地面に着地せず、再びクジラが創り上げた裂け目に落ちるとマールの死角に現れて斬撃を放つ。
「はっはっは!なるほど、面白い!空間移動とはそんな応用も出来るのか!クジラ君、中々面白い技を使うじゃないか!予想を上回る事をもっとして来てくれそうで凄まじくワクワクして来たぞ!」
しかしマールは未だに余裕の笑みを見せる。常人には理解するのは難しいであろう戦闘狂特有な未知の戦闘スタイルを扱う相手と勝負する快感に浸っていた。
「……えへっ、えへへへへへっ。そんな顔で笑えなくなる程の猛攻をプレゼントしてあげるねっ!はぁはぁ、えへへへへへっ?」
リーシャも身体が温まり、エンジンが掛かってきたらしい。唐突に表情が豹変し、狂気染みた笑みを浮かべ始めた。それに伴い、彼女の剣は速さと鋭さが格段に上昇する。
「狂人みたいなモードのリーシャって、味方だとこうも頼もしいんだなぁ。リーシャが気持ち良く暴れられるように全力で援護してやらなくちゃね!」
クジラは不気味な雰囲気を持つリーシャに頼もしさを覚えながら、ここからが正念場だと意気込み、普段の5割増しの真剣さでマールの妨害、リーシャの補助に力を注ぎ出した。
「ははっ!楽しい!楽しいな!こんなに楽しいのは武闘会でアゼルトリア公認魔法使いのユキとガチバトルをした時以来だ!さあ、私も下手に余力を残さず特攻するぞ!」
マールは2人の本気さを全身に感じ取ると心の底から笑い出す。そして陽炎のような可視化させたオーラを全身から滲み出し、最強の女勇者の名に恥じない戦い振りを見せつけるのだった。ここから戦闘は更に激化したのは言うまでもない。




