相手は勇者
9章145話になります!
それではどうぞ!
バァンッ!!
「「「「っ!!??」」」」
クジラが言葉を発した瞬間、玄関の扉は勢い良く開かれる。その音に驚き、玄関がある方の壁に全員揃って首を向けていた。
「ボス!……俺が見てくるっすよ?」
1番初めに驚きによる硬直から解放された荒くれ者の手下は、勇敢にも確認は自分がしてくると言いながら立ち上がり、玄関へと向かっていく。
「あ、ああ、頼んだ。良いか?くれぐれも気を付けるんだぞ?」
「了解っすよ!」
その勇敢な手下の言葉により、硬直から解放された荒くれ者のボスは、何者がやってきたのかわからない為、気を付けるようにと念を入れて言葉を伝えた。
「ぐわぁっ!!??」
ビターンッ!!
だがその数秒後、勇敢な手下の悲鳴と床に叩きつけられる音が響く。
「ねえねえクジラ、もしかしてだけどさ…?」
「うん、兵士さんと行動を共にしてた時の僕らが悪いね。多分、来たのは勇者だろうね」
リーシャが不安そうにもしかして……と呟くと、クジラはゆっくりと頷きながら正体を口にした。ギルドにあった魔道具により緊急事態を知った勇者が、ようやくここに到着したようである。
「お、おい!?何があった!?」
「ちょっ、確実に同じ目に合うからストップ!僕らに任せてください!」
その凄まじい音により、ボスが心配して玄関の方へと飛び出そうとした為、自分達に任せろと言って服を掴んで無理やり止めるクジラ。
「リーシャ、とりあえず覆面を具現化するから被って応戦しよう。ここで荒くれ者を勇者の手で全滅させちゃったら、犯罪人として全員を近場の大きな牢屋がある街にでも連れて行く事になるだろうし、服役中に住民の移住が終わって街がなくなっちゃったら、彼らの望みは果たされなくなっちゃうよ」
「勇者と本気で戦えるのかぁ……。えへへへ、超楽しそう!オッケーだよクジラ!はやく、はやく覆面ちょうだい!」
クジラがここは自分達が食い止めなければならないと話すと、リーシャは戦うという所以外聞いてなさそうな反応をして、覆面を要求する。
「……まあ、好きに暴れさせても構わないか。ほら、頑張ろうね?」
クジラは銀行強盗犯が着用してそうな真っ黒な目出し帽をリーシャに渡す。リーシャは嬉々としながらそれを被り、いざ勝負と言わんばかりに飛び出した。




