声を目指して
9章137話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「……ん?ねえねえクジラ、今子供が泣く声が聞こえなかった!?」
街を徘徊している荒くれ者を見つけては殲滅し続けを繰り返し、10分ほど経過した頃、リーシャはピクンと何かに反応し、それをクジラに問いかける。
「いや、ごめん……。僕の聴力はリーシャの聴力ほどズバ抜けてないから聞こえなかったなぁ。どこら辺かわかる?」
「ん〜、あっちの方かなぁ?もしかしたらクジラの言う通り、街の住民みんなが囚われてるかもしれないから行ってみなくちゃね!クジラ!リコリオ!付いてきてっ!」
リーシャは聞こえてきた方角を指差すと、希望に満ちた明るい表情で駆け出した。
……ァッ!
「……っ!やっぱりなにか聞こえるよ!なんか男の人の荒れた声も聞こえたから荒くれ者と子供の住民じゃないかなっ!あそこ!あの民家だよクジラ!」
今度は明確に声を聞く事に成功したリーシャ。声色からどのような人物の声なのかを予想をしながら、的確な方向へとナビゲートを始める。
「ふう、着いた。あそこあそこ、あのお家だよクジラ」
「え〜っと、ごく普通の民家だね。物理的に無理だろうし、住民全員が収容されてるはずはないかな……。でも、荒くれ者が4人も玄関前にうんこ座りして警備?してるから何かしらはありそうな感じがするね」
荒くれ者達からは死角となっている場所に辿り着くと、リーシャは出来るだけ音を消してヒソヒソと言葉を発した。クジラはそれを聞きながら、自分達に気付く気配を微塵も感じさせない荒くれ者達を見て、このなんて事のない普通の民家の中に何があるのだろうと頭を悩ます。
「えへへ、まあなんでも良いよね?クジラ、とりあえず突っ込もうよ」
「あははは……、リーシャは本当に構わず突っ込めっていうサッパリした性格をしてるよね」
「私は面倒な遠回りとかは嫌いだもん。ね、クジラも良いでしょ?」
「うん、特に作戦とかも思いつかないし、もうそれで良いよ。支援は必要?」
「えへへ、いらないかな?リーシャ無双継続だよ!それじゃあ行ってくる!」
リーシャがいつも通り作戦など考えず突撃をしようと提案すると、好きにしろと楽しげにゴーサインを出すクジラ。リーシャならば絶対に大丈夫だという信頼があるからこその丸投げだ。リーシャはクジラの平常運転な丸投げ具合に微笑みながら、愛用の刀を握りしめて荒くれ者達に奇襲を仕掛けるのだった。
「うおっ!?なんだおまっ……ぐぁあっ!?」
「くぅっ!?な、なんだこの女……ガクッ」
「な、中にいるボスをよべええぇぇ!!グフッ!?」
「ひ、ヒィィィッ!!??ブボボボボ……」
「……流石はリーシャ。相変わらずな瞬殺具合だ。というか、この民家の中にボスがいるのか!リコリオ、リーシャに続いて民家の中に突入するよ」
クジラはリーシャの相変わらずな戦闘能力を眺めた後、荒くれ者の1人が口にした発言を聞いて驚き、勝手に1人突入していった彼女の後を追うのだった。




