住民がいない不安
9章136話になります!
本日より1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「ん〜、初めに奪還したギルドの時からそうだったけども、なんで住民が1人もいないんだろう……」
リーシャはクジラとリコ、リオと共にニニの街を徘徊し、見つけた荒くれ者を片っ端から殲滅していた。正確には殲滅作業を行うのはリーシャのみで、クジラとペット達は彼女の迅速かつ的確な殲滅作業を見て回っている状態だ。
「多分、どこか1箇所にまとめて隔離されてるんじゃないかな?」
「あるいはもう全員殺されちゃった……何て事はないよね?」
クジラが彼女の疑問に答えてやると、リーシャは最悪の想定をして不安そうな表情を浮かべる。
「今この街を歩いている限り、一切血溜まりとか無かったし、それは無いと思うよ。そもそも、荒くれ者はどういった理由で街を占拠したのかわからないけど、見ず知らずの住民全員を皆殺しにはしないでしょ」
「そうだと良いんだけどねぇ〜。私、勇者の仕事で人の死体とか多少は見てきたけど、あんまり良いものじゃないからね……」
「大丈夫大丈夫。そんな酷い事件にはなってないはずだよ」
リーシャが強がり、暗い顔を隠して無理矢理な笑みを浮かべると、クジラは彼女の手を握って励ましの言葉を掛けてやった。
「あっ……、えへへ、クジラがいると凄い心強いなぁ。クジラも勇者になって、私と組んでくれれば良いのに」
「それもアリかもね。リーシャと一緒にいる時間が増えるし。でも魔王は人がいないから、本当に重要な理由がなければ辞める事なんて出来ないんだよなあ」
「むぅ〜、残念。クジラがいれば私、勇者のお仕事の効率が2、3倍は増す気がするのになぁ〜」
クジラに手を握られた事で不安な気持ちが払拭されたのか、落ち着きを取り戻し笑みをこぼすリーシャ。さりげなく勇者にスカウトをするが、やんわりと断られていた。
「あはは、だいぶ調子が戻ってきたね。今度から、仕事中に心細くなったら僕の電話を掛けて来ても良いからね?全力で励ましてあげるし、ピンチならば全力で駆け付けるからさ」
「うんっ!ありがとうクジラ!クジラのおかげで調子が戻ったよ!クヨクヨ不安になってても仕方がないし、殲滅作業に戻ろっか!クジラの言う通り、きっと1箇所に集められて生きているはずだもんね!」
クジラのおかげで調子を戻したリーシャ。彼女は満面の笑みでクジラに軽くハグをすると、やる気満々といった顔で荒くれ者殲滅に集中し始めるのだった。




