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行き先の街は




9章131話になります!


本日1回目の投稿です!


それではどうぞ!









「お、おぉ〜い!旅の者か?た、助けてくれっ…!」

「ほぇ?何に追われてるの?というか格好的にそっちは旅人じゃないみたいだし…、どういう状況?」


聞こえてきた悲鳴の主と合流すると、よく掴めない状況に困惑するリーシャ。悲鳴の主というのは、薄汚いローブの中に銅色の鎧を身に纏っていて、明らかに旅をしているようには見えない姿であった。


「わ、若い男女…?君らは旅人…なのか?」


月明かりで2人の外見を把握すると、悲鳴の主は荒い呼吸を整えながら腰に下げていた剣に触れ、明らかに2人を警戒している声色で質問をする。いつ魔物が押し寄せるかわからない地を放浪する旅人にしては、若過ぎてなおかつ見た目が頼りなさ過ぎた為、何かしら怪しさを感じたのだろう。


「そんな警戒したって何もしないですから安心してくださいよ。僕らはただの旅人です。助けてと声を張り上げてましたけど、何があったんですか?」


クジラは両手を上げ、ただの旅人であると伝えて鎧を身に纏う男の警戒心を解しながら、何があって悲鳴をあげていたのかと尋ねる。


「あ、ああ…、緊急事態だから旅人というのは疑わず信用しよう。俺の叫びの理由の前に、少し話に付き合ってくれ。昨日、この先にあるニニの街に荒くれ者の集団が襲撃を仕掛けてきて、街を占拠してしまったんだ。何とか荒くれ者の目を盗んで街を出れた俺は、助けを求める為に隣村へ向けて今までひたすら走っていたんだ。それで、食料と水が尽きかけたところで君達の光が見えたから少しでも援助して貰えないかと思い、声を出して呼びかけたんだ」

「ほぇっ!?街に荒くれ者の襲撃!?街の兵士さん達は応戦しないんですか!?それと各街のギルドには、勇者理事会本部に緊急事態を知らせる為の魔道具が備えてあるはずだけども、使ってないんですか!?」


だいぶ息が整った男の話を聞くと、目をまん丸に開いて驚きながら、気になった事を口にしていく。


「兵士は軒並みやられてしまったよ。生き残りは俺と、逃げ隠れている兵士が数人いるかいないかといったところだろうな。勇者に救援を求める手段である魔道具は、初めに無駄の無い手際でギルドが占拠されてしまった事によって、使用不可能という感じだ。それが使えていれば、こんな事態にはなっていないさ。荒くれ者も相当前から地道に計画でも立ててたんだろう。ちなみにニニの街は、隣のフーの街とは違ってとても小規模な街だ。それこそ隣村と同規模、下手したらそれよりも小さい。だから兵士も少なく他の街と比べたら圧倒的に弱いはずさ。兵士の俺が言うのも変だが、荒くれ者達の集団に敵うわけが無いんだ」


鎧を着た男は、クジラ達が向かっている途中である街の兵士であったみたいだ。彼は悔しそうに両手を握りしめて硬い拳を作り上げながら、完全敗北宣言をする。


「ねえねえクジラ、私達が力を合わせたら余裕だよね?」

「うん、僕らならば、慢心しなければ多分街を奪還出来るんじゃない?…こんな事を口にしてる時点で若干慢心してるけどさ。というか、厄介ごとに自分から巻き込まれに行くのはちょっとなぁ…」


やる気に満ち溢れた顔で、クジラに声を掛けるリーシャ。対してクジラは、彼女の問いには頷くが、あまり乗り気ではない様子だ。


「お、おい…。君ら2人に何が出来るんだ?そんな軽々しく奪還出来る訳が無いだろう?」

「えへへへ、まあ大船に乗ったつもりで私達に任せてくださいって!ね、良いでしょクジラ?そもそも、私が強引に行動し始めたら自然とついて来てくれるもんね!」

「…はぁ、良いよ。勇者さまに従いますよ」

「ありがとうね愛しの魔王さま!」

「えっ、勇者?魔王…?」


唐突に職業名で呼び合う2人に、困惑する兵士。それからリーシャは兵士には敢えて何も語らず、悪戯っぽく笑いながら一旦テントに戻り準備を整えようと切り出し、動き出した。荒くれ者達の街の占拠が2日間で終結することが確定した瞬間である。






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