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センス無し




9章121話になります!


それではどうぞ!









「ほらクジラ!もっとアクセル踏んで!さん、はいっ!」

「いやいやいや…、もう無理もう無理。ちょっと早過ぎるよ」

「50kmしか出てないよっ!!クジラのビビりっ!」

「あはは、歩くよりは速いしのんびりと行こうよ」


アクセルを踏もうとしないクジラに、プンスコと怒るリーシャ。クジラはそんな彼女の怒る様子に笑顔を見せ、マイペースにトロトロと車を走らせていた。


「全く…、クジラは変な所でビビリなんだから。私のアクセルを思いっきり踏んだ運転に慣れてるはずなのに、何で真似できないのさ」

「なんか、運転席にいるのと助手席にいるのじゃあ全く感覚が違うんだよね。僕にはリーシャみたいな運転は出来ないや。ごめんね?」

「…まあ、誰にだって得意不得意はあるし、私は優しいから許してあげる!でも、だんだんと速度が遅くなっていくのは許容出来ないかなぁ?会話してるうちに、40kmに速度が落ちてるよ?」


自身の運転センスが皆無な事と、ビビリな事に関して謝るクジラ。彼の不得意な所を発見出来た事が嬉しいのか、リーシャはニコニコと笑いながら許し、遅くなっていく速度について指摘をした。苦手な事を必死に挑戦している人を温かく見守るのが好きなのだろう。


「ああ、ごめんごめん。会話に意識を向けてたら速度落ちてたよ」

「えへへ、私がちゃーんと見守っててあげるから、怖くたって多少は無茶して大丈夫なんだからね?」

「うん、ありがとうリーシャ。多分、隣にリーシャがいなかったら今よりも数倍は不安な気持ちで、もっとお粗末な運転になってたと思うよ。少し慣れてきたら、ちょっとだけ無茶をしてみるね?」

「頑張れクジラッ!私を惚れ惚れさせるような運転技術を身に付けてねっ!」


クジラは、リーシャの優しい言葉に心を穏やかにさせながら、リーシャが隣にいてくれるだけで安心感を感じているという事を伝え、慣れてきたら彼女の言う通り速度を上げてみようとしている事を話した。そんな前向きな彼を、リーシャは微笑みながら激励する。ミナミが教えてくれた恋人同士での車でのシュチュエーションというのを味わいたいのだろう。


「リーシャのまるでベテランみたいな運転技術を上回れる気がしないんだよなぁ…。リーシャってやる事なす事、大体の事にセンスがあるから羨ましいよ」

「えへへ〜、私だって不得意でセンスゼロな事はあるよ?」


リーシャの基本的に何をやらせてもセンスがある所を羨ましがるクジラ。リーシャは笑いながらゆっくりと首を横に振って否定をした。


「そう?例えばどんな事が不得意?」

「例えば、私ってゲームすっごく弱いでしょ?リンとレンとロンに凄い勢いでバカにされたし」

「あ〜、そういえばそうだったね。びっくりするくらい運が無かったねそういえば…」


彼女がパーティゲームで驚きの弱さを発揮した事を思い出し、彼女にもセンスが無い事というのはあるんだなとクジラは納得する。


「パーティゲームとか戦闘ゲームは苦手だから、今度会った時は私の大得意な音ゲーでフルボッコにしてやるんだから!」

「あはは、あんまり大人気ない勝ち方はしないようにね?」

「私の弟妹は負けず嫌いだから大丈夫!むしろ手を抜くと怒ってくるもん」

「へぇ、そういうところはリーシャとそっくりだね」

「えへへ…、ラン君とレイ以外の兄妹はみんな負けず嫌いなんだよね。小さい頃とか、ララちゃんとかラン君にカードゲームで負けるのが悔しくて何度も挑戦しに行って、夜遅くまで遊んでる事とかあってお母さんに怒られた事もあったなぁ」


車の運転からセンスの話になり、そこからリーシャの昔話へと発展する2人の会話。リーシャは懐かしそうに昔の事を口にして、口元を緩ませ穏やかに笑う。


「あはは、小さい頃のリーシャは相当やんちゃで元気一杯な子だったんだろうし、お義母さんもかなり苦労したんだろうなぁ」

「恥ずかしいからそういう事をいうのはやめてよぅ!というかクジラ!車の速度が30kmに落ちてるじゃん!話してるからって緩めちゃダメだよ!」

「うわ、本当だ!ごめんごめん、運転の方にもちゃんと意識を割くようにするからそんなに怒らないで?」


クジラは彼女の指摘により、慌てて速度を50kmまで戻す。それから、度々速度を指摘されながらも、昔話やセンスの話などに花を咲かせるのだった。






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