信頼をかたる
9章116話になります!
それではどうぞ!
「あぁぁ〜…、良い〜…。さいこぅ〜…」
クジラに褒めろ可愛がれ甘やかせと伝えたリーシャは、うつ伏せになって彼にマッサージをして貰い、日頃の疲れを癒している最中であった。
「どう?筋肉ほぐれてきた?」
「うん、うん〜!あ〜、そこ!そこそこ!グーっと押して!んぁ〜…、気持ち良い〜」
「美容面では細かい努力を怠ってないみたいだけど、戦闘訓練に関しては細かい事を怠り過ぎだよ。昨日も、特に準備運動とか無しに素振りして、終わった後もストレッチとかせずに寝ちゃったでしょ?そりゃあ身体の動きが悪くなるに決まってるよ。外面を良くするのは良いけど、身体の中も大切にしなきゃダメじゃん」
「うぅ…、以後気を付けます…」
リーシャは準備運動や運動後のストレッチを怠り過ぎているらしく、それを指摘して軽く叱るクジラ。彼の言う通り、リーシャの身体中の筋肉はケアをせずに酷使し過ぎた影響で驚く程に張っていた。2人でイチャイチャしている時に、リーシャが不自然な程に何度も首を回したり自身の肩に触れたりしていた為、不思議に思ってクジラが首筋や肩を軽く揉んだところ、その驚くべき張りに気付いてマッサージが始まったようである。リーシャは彼に叱られると、ショボンと落ち込みながら気を付けると口にした。
「本当に気を付けてよ?もしもまた柔軟とか準備運動とかを怠って身体の不調を訴えても、こんな風にマッサージをしてあげないからね?」
「ほぇぇっ!?それは嫌だよっ!クジラのマッサージ、すっごく気持ち良いからもっと沢山やって欲しいっ!」
「ならば約束は守ってね。守ってくれたら、疲れてそうな時を見計らって定期的にマッサージしてあげるからさ」
「本当!?定期的にやってくれるの!?うんっ!それじゃあ準備運動とか、絶対に忘れないようにするね!」
リーシャは彼の言葉によってコロコロと表情を変化させ、最終的に満足そうな笑みを浮かべながら彼と約束を交わす。彼のマッサージは相当気持ち良いらしく、その約束は彼女にとって魅力的なものであったようだ。
「それじゃあ指切りげんまんでもしようか。…いや、やっぱりしなくていいか。僕はリーシャが絶対に約束を破らないって信頼をしているからね(こう言っておけばリーシャは約束を破れないはず。少し卑怯な約束の結び方だけどもリーシャが怪我をするのは嫌だし、許されるよね)」
クジラは、マッサージを受けている最中の為、うつ伏せで寝転がるリーシャの目前に自身の小指を差し出すが、彼女が小指を絡める前に手を引いてやはりやめたと告げ、信頼という言葉を口にする。
「えへへ、当たり前じゃん!私はクジラからの信頼を失いたくないし、約束は絶対に破らないよ!」
彼の思惑通り、大きく頷いて約束に対して絶対の誓いをするリーシャ。クジラは誘導するような話術に少しだけ罪悪感を感じていたが、彼女のためを思った行為なので、それを咎める者などいないだろう。
「流石はリーシャ。僕が絶対の信頼を寄せているだけあるね」
「えへへ、そりゃあもちろん!なんたってお嫁さんだからねっ!」
純粋な笑顔を浮かべ、自信ありげに信頼を語るリーシャ。クジラはそんな自分を1ミリも疑う事もない彼女の素直さに罪悪感を感じ、出来る限り安らいで貰おうとマッサージに精を出すのであった。




