舐めて掛かってた…
9章85話になります!
本日1回目の投稿です!
それではどうぞ!
「いらっしゃいませ!当店は初めてですか?」
クジラとリーシャが店に入ると、普通に可愛いく若い女性店員が元気良く接客をし始めた。
「あ、あははは…、初めてです…。え、お姉さんがこの店の店長!?」
クジラは入店と同時に喰らったインパクトによって苦笑を浮かべながら受け答えをした後、店員の自己主張する豊満な胸に付けられた名札に書かれた店長の文字に驚く。クジラが店員の胸を見た事を察したリーシャは、ムスッとしながらクジラの手を握る力をグッと強めていた。
「はい!そうでございます!当店はゲテモノ…、まあ他のお客様がお食べになっている料理を見ればわかるような品を扱っていますが、大丈夫でしょうか?」
ゲテモノ屋店長の女性は、ニッコリと笑顔を浮かべてクジラの言葉に頷く。そして、客の食べるゲテモノ料理を軽く見回しながら普通の店ではない事を伝え、この店で食事を摂るのかと尋ねた。何も知らずに入って来る客も多少はいるのであろう。
「…リーシャ、僕はリーシャの意思を尊重するよ。違う店に行きたいのなら、それでも良いけどどうする?…正直言うと、僕もこの店を舐めて掛かってたみたい」
クジラは最終決定権をリーシャへ委ねる。元日本人として蜘蛛などを食するのはどうしても抵抗があるらしく、彼の顔は出来れば店を変えたいと主張していた。
「…入店する時に覚悟は決めたよ?私は一度決めた事を投げ出す事が嫌いなの知ってるでしょ?だから、私はここで食べたい!」
だがしかし、リーシャはキラキラと希望に満ち溢れ輝く瞳をしながら、この店で食べると宣言した。その発言により、ゲテモノを食いながらそれを聞いていた周囲の客から、『よく言った!』『兄ちゃんよりも可愛い嬢ちゃんの方が度胸あるな!』などという言葉が飛び交っている。
「…リーシャにそこまで言われちゃったら腹くくるしか無いか。店長さん、このお店で食事します!」
「今はちょうどゲテモノ大好きな常連さんばかりで異常な光景が広がってますけど、ちょっと珍しい生き物を使った見た目普通な料理もございますから、初めてならばそちらをお選びするのをお勧めしますね。それでは、あちらのテーブル席へどうぞ」
リーシャの発言によってクジラも腹をくくる事にした為、2人掛けのテーブル席へと案内をされる。常連客は皆ノリが良いようで、クジラとリーシャの度胸に拍手を送っていた。
「えへへ、クジラ!多分、見た目を気にしなければ美味しいはずだよ!頑張ろうね!」
「頑張ろう…か。おかしいな、僕達は普通にご飯を食べに来たはずなんだけどなぁ…。まあ、気にしたら負けか。うん、頑張ろう。頑張るしかないな」
覚悟を決めた勇ましい瞳で、クジラを激励するリーシャ。彼はそれを聞いて、ご飯を食べに来ただけなのに何故激励が飛んでくるのだろう…。と思いながら、指定された席にリーシャと対面になって座り、メニュー表を開くのだった。




