次男に指南
9章60話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「レイ君お待たせ。これが僕からのプレゼントだよ」
リーシャがバケツを洗浄し、うがいをして口内の不快感を流し落とした後、レイとリコとリオを引き連れてリーシャの部屋へと戻ったクジラ達。クジラは前日の宴会前に手品を称して具現化した箱を手に持つと、笑みを浮かべながらプレゼントと伝えてレイに差し出す。ちなみにリーシャの部屋は、彼女が前日に口にしていたように、クジラが足を踏み入れるまでは男性未踏の地のような空間だった為、レイは今が初入室だ。その為、リーシャの部屋に足を踏み入れてからレイは少しだけ落ち着かない様子だ。
「ありがとうございますクジラさん。えっと…、開けてもいいですか?」
「うん、使い方の説明をしなくちゃいけないからね」
「わかりました。…これは、昨日リッちゃんがお父さんに見せていた魔道具…?」
レイはクジラに確認後、ゆっくりと箱を開き、中に入っていた物について唯一知っている情報を口にした。ちなみに、スマートフォンと共に具現化した携帯ゲーム機についてはロンと一緒に遊んだ後、プレゼントしたようである。
「そうだよ。ちなみにスマートフォンっていう名前だよ。どんな使い方をするのかというと…、リーシャ、部屋の外に出てこの番号に電話を掛けてくれる?」
「えへへ、レイの初お電話は私だね!了解したよクジラ!」
クジラはその道具の名前を口にして、実践形式で使用用途を説明する事に決めると、レイにあげるスマートフォンの番号をリーシャに伝え、部屋の外から通話を掛けるように頼んだ。レイが初の通話でどのようなリアクションを取るかが楽しみなようで、リーシャは快く引き受けてレイのスマートフォンの番号を自身の愛機に打ち込みながら部屋の外へと出て行く。
〜♪
「わっ、クジラさん、なんかいきなり何かの音楽が鳴り始めたよ?」
数秒後、軽快な音楽と共にバイブレーションで震えだすレイのスマートフォン。レイは目をまん丸にして、何が起こっているのかとクジラに尋ねる。
「リーシャがこのスマホ…ああ、スマートフォンの略称ね?スマホに向けて通話を掛けて来たんだよ。通話ってのは、まあやってれば分かるか。画面に表示されている緑色のマークを押してごらん?」
クジラはレイの初々しい反応を見てニコニコと笑いながら、どうしてスマートフォンが震え始めたのか説明して、画面に表示されている通話開始ボタンを押すようにレイに指示する。
「えっと、リッちゃんの名前の左下にある緑のマークを触れば良いのかな?」
「『えへへ、もしもーし!聞こえてるー!?」』
レイがおっかなびっくりと言った様子で通話開始ボタンを押すと、ハイテンションなリーシャの声がスマートフォンと廊下から若干のズレと共に聞こえてきた。
「リーシャ、声がデカくて普通に声が聞こえてきてるよ」
『…えへへ、それじゃあちっちゃな声で話すよ〜』
クジラがクスリと笑いながら通話越しの声と共に部屋の外から肉声が聞こえている事を指摘すると、「ほぇ?」などという間抜けな声を出すリーシャ。その後、内緒話をするような囁く程度の声を発する。
「凄い!この機械からリッちゃんの声が聞こえる!クジラさん、もしかしてこれがあれば、何処にいたとしてもリッちゃんとお話が出来るんですか!?」
彼女の小さな声のおかげで通話を理解出来たレイは、おとなしめな彼にしては珍しい大きな声を出し、クジラに質問をする。
「そうだよ。ランドと義姉さんにもあげてるから、その2人ともいつでも話が出来るよ」
「ク、クジラさん…、こんな凄いの貰って良いんですか…?」
「良いよ良いよ。もしもリンちゃんレンちゃんとか、ロン君がお兄ちゃんお姉ちゃんに会いたいとか言ったら、それを使って通話をさせてあげてね?きっとランドと義姉さんも喜ぶよ」
「う、うん!約束します…!ありがとうございますクジラさん!」
「リーシャ、通話の実践はもう終わりで良いよ。帰っておいで?」
『はぁ〜い♪』
その後、レイに実践練習という事で各自の自室で寝ていると思われたララとランドにモーニングコールを掛けさせたりして、スマートフォンの使い方を20分程かけて指南するのであった。
明日は1話のみの投稿になると思います。




