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間違ったスイッチ




9章30話になります!


本日から3日間1話投稿です。


それではどうぞ!









「クジラ君痛かったでしょ?本当にごめんね?」


アリシヤは、気絶してランドに自室へと運ばれていった夫から頬を殴られたクジラの手当てをしながら、何度もお詫びをしていた。


「もう謝らなくて良いですよ。リーシャに全力で殴られたリーシャのお父さんの方が何十倍も痛いだろうし…。それに、殴られる予想はしてたんで、予想通りだったなくらいにしか思ってないですから」

「クジラ君が優しい子で良かった。お父さんからあんな冷たい扱いを受けた後に信じられないかもしれないけど、1つ弁解させておいて欲しい事があるの。聞いてくれるかなぁ?」


クジラが軽く笑いながら謝る必要は無いと伝えると、ホッとしながらゆっくりと口を開き、弁解を聞いてくれないかと頼むアリシヤ。


「聞くくらいならば断ったりしませんよ。どうぞ話してみてください」

「ありがとう。…あのね?クジラ君から見たら、お父さんはすっごく意地悪でイヤミな人にしか見えないと思うけど、普段は凄く優しくて世話焼きで、ちょっと悪戯好きで茶目っ気があるけど、文句を言われるとメソメソと泣きながら落ち込むようなガラスのハート持ちで、側にいるととっても楽しい人なの」

「…確かに、申し訳ないですけど全く信じられないですね」


信じられないだろうという前置き通り、クジラは普段のリーシャ達の父親の性格についての説明は全く信じられないと言って笑う。


「えへへ、お母さんもそう言われると思ったよ。お父さん、そんなガラスのハートのせいで基本的には役立たずなんだけども、ちょっとでもスイッチが入ると別人のように頼もしくなっちゃうんだよ。今回はそのスイッチが変な方向に入っちゃってて、あんな風になってたの」


クジラに自分の発言が全く信じて貰えていない事に対し、予想通りという反応を返すと、アリシヤは自分の夫は普段はダメダメでもスイッチが入ると別人のような働きをするという事を補足し、今回はそのスイッチが間違った方向に入ってしまったんだと話した。


「えぇっと…?つまりリーシャが婚約するのが嫌すぎて、スイッチが入ってしまったって事ですか?」

「ううん、婚約自体は誰だって大人になればする可能性があるから、特に問題はないよ。問題はリーシャが、調べても素性が一切わからない魔王を職業としている男の子と恋愛をしているって所かなぁ?ほら、リーシャってどんな人の発言でも簡単に鵜呑みにしちゃう程に純粋でしょ?だから、ランド君からクジラ君の事を聞かされた時に、お父さんはもしかしたらリーシャは良い人を装ったクジラ君に騙されていたり、魔法の類で無理やり魅了させられていたりするんじゃないかっていう心配や不安が積み重なって、疑心暗鬼に陥っちゃってたの。それからどうやってリーシャを救うか毎日毎日悩み続けるお父さんを見てた結果、気が付いたら私含めた妻6人もみんなリーシャを取り返そうっていうお父さんの意見に賛同するようになってたんだよ」


クジラの間違った解釈に首を振り、夫のスイッチが入るトリガーになった原因と、トリガーが入ってからの話をするアリシヤ。


「僕の素性の問題か…。僕はアゼルトリア王国から遥か彼方に存在する島国出身で、アゼルトリア王国にやって来たのもちょうど半年くらい前の話だから、素性が掴めないのも当然ですよ。ちなみに魔王については、僕の固有能力を面白がった現在の先輩魔王にスカウトされたからってだけです。…僕の素性とか仕事についてはそれが全てなので、今更だけどもあとで旦那さんに伝えておいて貰えますか?」


リーシャ達の父親が暴走した原因が自分の詳細が一切掴めぬ素性や職業にあった事を知り、情報伝達役であったランドにもっと教えておけば良かったと後悔しながら、クジラは転生者という事をボカして自分の素性を伝える。


「わかったよクジラ君。とりあえずお父さんはいつ起きるかわからないし、あの人が起きるまではゆっくりとくつろいでね?私は私以外のあの人の妻達と、あの人のお姉さんとその旦那さんにクジラ君が無害で正式にリーシャと恋愛している事を伝えておくからさ?」

「ありがとうございます、そしてよろしく頼みますお義母さん」

「…全く、あとの事はお義母さんに任せてね!」


クジラが、先ほど認めてないからまだそのように呼んではダメと伝えたはずの呼び方をしてきた為、軽くため息を吐くアリシヤ。だがそれに対しては何も指摘せず、少しニュアンスの違う一人称を口にしながら遠巻きに自分とクジラのやり取りを見ていた妻仲間のもとへと向かうのであった。







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