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お母さんの思い通りに…




9章17話になります!


本日2回目の投稿です!


それではどうぞ!









「先手必勝!せめて私以上強くなければ、リーシャは渡さないんだからっ!」


リーシャの母親は木刀を脇に抱えるように構え、クジラへと接近する。


「させないよお母さんっ!」


スパァーンッ!


「うぎゃっ!?」


しかし、母親の思い通りに物事は進まなかった。木製の短杖を手に持つリーシャが横からクジラと母親の間に割り込み、母親の木刀に向けて力任せの一撃を放ったのだ。それによって木刀は母親の手から離れ、勢い良く壁にぶつかり大きな音を立てて転がった。


「ふふん、多分今の私は、お父さんとも十分渡り合える程に強いよ!なんたって、勇者なんだから!」


リーシャは、自身の一打によって腕を捻ってしまったのか、涙目で腕をさすっている母親をしたり顔で見ながら、自身の増強された力を見せ付ける。


「うぅ…、いたぁい…。こら!リーシャ!普通はこういう時、1対1で戦わせるものでしょ!?なんで介入しちゃうのさ!?しかも不意打ちだったからびっくりして腕捻っちゃったし!もしかしてお母さんの事を痛めつけたかったの!?」

「ほぇぇっ!?違うよお母さん!だって私はクジラの味方だもん!クジラのお助けをするのは当然なだけだもん!」

「(リーシャの性格はお母さん似なんだなぁ。面白いから黙って見てよっと)」


涙目で娘に文句を言う母親と、目をまん丸にしてブンブンと首を横に振って弁解をする娘。そんな親子から蚊帳の外にされたクジラは、とても面白そうにニコニコとしながら観察を始める。


「リーシャはいつもポワポワしてるから、今みたいにクジラ君とかお友達に沢山迷惑を掛けたでしょ!?お母さん、リーシャの事ならわかっちゃうんだから!そうだよねクジラ君!?」

「迷惑なんて掛けてないもん!ね!そうでしょクジラ!?」


だが、そんな観察の時間も長くは続かなかった。言い合いがヒートアップしてきたかと思うと、親子揃ってクジラに普段リーシャは周囲に迷惑を掛けているのか判断を下すように迫る。


「えっ?えっ?えぇ〜っと…、たまに持ち前のポワポワした性格で驚く程に厄介な迷惑を掛けてくるけど、普段は程々にしっかりしてて迷惑を掛けた分以上の貢献をしてくれてますよ。…だからリーシャは僕にとって欠かせない存在ですので、今日は何が何でもリーシャを貰って帰りますよ」


クジラは唐突に話を振られて少しだけ困惑した後、迷惑を掛けられる事もあるがそれ以上の働きをしてくれているんだと伝える。それに続いて、咄嗟に頭の中に浮かんだのだと思われる言葉を口にした。


「むむむぅ…、ランド君が認めただけあるね…。本当にリーシャを愛してるんだって気持ちが伝わってくる…」

「ねえお母さん私からもお願い!クジラを認めてあげて!」


リーシャは、母親がクジラの事を認めても良いかもしれないと揺れ動いているのに気付くと、ガバッと抱き付いて必死のお願いをし始める。今ならば、敵側から心強い協力者として寝返ってくれるかもしれないと思ったみたいだ。


「…もうっ、リーシャからそこまで必死にお願いされたら、お母さんも断れないじゃん!…あ、そうだ!私もそう簡単には認めたくはないから、保留って事にしてあげる!2階の大広間に到着するまで一緒に同行して、クジラ君が認めるに足る存在なのか調査するね!リーシャ、ひとまずはそれで良い?」


母親は困った表情をしながらリーシャを抱き返した後、ニコーッと娘とそっくりな満開の笑顔を見せ、保留という事にして2階の大広間まで同行して良いかと最大限に妥協した返答をする。


「…っ!ひとまずはそれで良いよ!そうだよねクジラ!えへへ、お母さんと一緒に居れるの嬉しい!」

「うん、僕も今はそれで良いかな。リーシャのお母さん、今日中に必ず認めざるを得ないようにしてみせますから!」

「えへへ、楽しみにしてるよクジラ君。それじゃあ話も付いたことだし、あそこでワンチャン達と遊んでいるランド君達と合流しよっか!私、ランド君の隣にいる彼女さんみたいな人が、凄く気になってたんだ!」

「(…ん?義姉さんの事に気付いてない…?)」






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