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1709/2000

とっても幸せ




9章16話になります!


本日1回目の投稿です!


それではどうぞ!









「うぅ…、いたぁい…。どうして叩いたのお母さん…」


リーシャは唐突に頭に木刀を振り下ろされた事により、たんこぶが出来た頭頂部を両手で押さえながらジワッと目に涙を溜めていた。


「…ねえリーシャ、今までどこで何をしてたの?どうしてお手紙のひとつも寄越さなかったの?お母さん、とっても心配したんだよ?」


リーシャの母親は少しの間、無言で娘を見つめると、ゆっくりと口を開いてポツポツと言葉を紡ぎ出す。


「それよりもお母さん、どうして私を叩いたのさ?今まで怒っても暴力なんて1度も振るった事ないのに…」


リーシャは涙がこぼれるのを必死にこらえながら、質問の返答は返さずに叩いてきた事に関して問い掛けた。


「リーシャがいなくなって、半年以上もお母さんは寂しくて不安な思いをしてきたの!今まで一切の連絡をしなかった結果がこれなんでしょ!ランド君に手紙を渡したり出来たよねおバカっ!」


その問いに対し、母親は堪えきれなくなったようでブワッと大粒の涙をこぼしながら怒声をあげた。時折固有能力で実家に帰るランドから、リーシャの安否やどのような生活を送っているかなどは聞いていたはずだが、それでもリーシャ自身からの生存報告が欲しくて仕方がなかったらしい。


「うぅ…、ごめんなさい…。えっと…、そのうちクジラに頼んで帰省しようって考えてたから…、つい後回し後回しにしちゃってたの…」


本気で号泣する母親に、お利口さんの塊のような彼女が反論など出来るはずがなかった。リーシャは目前に見える母の様子が原因で頭の中を真っ白にしながらも、何とか途切れ途切れに言葉を繋いで謝罪をする。


「リーシャ!大丈夫!?」


リーシャの謝罪が何とか終わった数秒後、慌てて駆け付けたクジラがようやく彼女達の元へと到着した。謝罪中、徐々に曇っていったリーシャの表情が僅かながらマシになったように見える。


「…君がリーシャの意中の人…だね?」


リーシャの母親は服の袖でゴシゴシと涙を拭いた後、駆け付けてきたクジラの顔をジッと見つめてランド経由で事前に知っていると思われる事を尋ねた。


「ええ、そうです…って僕が答えるのも変かな?リーシャ、リーシャの意中の人は僕で合ってるよね?」

「えへへへ…、お母さんが前にいるのに恥ずかしいよクジラぁ」


クジラは自信満々に頷いた後、穏やかに笑ってみせてリーシャに合っているかと問い掛ける。リーシャは頭に木刀を振り下ろされた痛みなど忘れたように照れて、彼に擦り寄った。


「…16歳なんだし、恋をしてもおかしくないか。ねえリーシャ、クジラ君と一緒にいて幸せ?」

「えへへへ、お母さんまで私を恥ずかしがらせないでよぉ。とっても幸せだよ?」


母親にクジラと一緒に居て幸せかと聞かれると、リーシャは更に照れた様子を見せながら大きく首を縦に振る。


「…うん、リーシャが幸せそうでお母さん安心した。それじゃあクジラ君」

「はい、何でしょうお義母さん(娘をよろしく頼みますとか言われるかな?でも、何故だかそんな気がしない。何故だか寒気がしてきた…)」


クジラはリーシャの母親を見て、何か異質なものを感じたらしい。微妙に不安を抱きながら、義母となる予定の彼女の言葉を待つ。


「やだなぁ。まだ君に私をお義母さんって呼ぶ資格は無いよクジラ君。私をお義母さんと呼べるようになるかは君次第だよ!さあ、もう言葉はいらないよ!リーシャを賭けて私と勝負しよっか!」

「…やっぱり、トトリは武闘派集団なんじゃないかな」


クジラの寒気と嫌な予感のようなものは的中したみたいだ。リーシャの母親はクジラにお義母さんと呼ぶ資格は無いと告げた後、木刀を構えた。








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