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2章6〜10話





長らくお待たせしました。


2章6〜10話の修正版です。


それではどうぞ!










現在時刻7時30分、クジラ屋が開店して2時間程度経過した。



ザワッ、ザワッ



『この店、昨日からやってるらしいが、無茶苦茶美味いらしくて並んだ奴らのうち、半分が買えずに終わったほどの行列が出来たって、かあちゃんが言ってたぞ』



『マジかよ、偶然通りかかって、しかも20人くらいしか並んでないとかラッキーだったな』



『なんか4種類あって、見た目は同じなんだが味はどれも全く違うらしい』



『そうなのか、今逃せばいつ買えるかわからないだろうし、全部1個ずつ買ってみるか』



『そうだな』





「皆さーん!!

今日は多めに仕込んでいますので!!

数にまだまだ余裕がありまーす!!

なので、慌てないでゆっくりと落ち着いてお並びくださーい!!!」




ザワザワ、ザワザワ



『あの大声で呼びかけてる売り子の女の子可愛くね?』



『ああ、超可愛いよな』



『ちょっと声かけてみるか?』



『ばかっ、そんな事やってここの飯売ってくれなくなったりしたらどうするんだ!』



『そ、それもそうだな...』





「はい!

紅しゃけとシーチキンマヨを2つずつですね?

え?昨日は美味しかった?

昨日もお越ししてくれてたんですね!?

ありがとうございます!

こちら、商品をお先に失礼します。

はい、400モールちょうどお預かりします!

ありがとうございます!

ぜひまたお越しください!」



「次のお方どうぞ!

あっ、その食事券は...、宿屋に泊まった方ですね!?

確かに受け取りました。

それではこちらの商品5つお選びください!

はい、明太子2つに他1つずつですね?

ありがとうございます!」



どうやら屋台は超が付くほど繁盛しており、クジラもリーシャも大忙しのようだ。



しかし、2人の顔はとても生き生きとしている。



そんな2人の元気の良い接客により、店の評価もうなぎ登りであり、口コミによってますます人が増えていた。



「はい、次のお客様!

いらっしゃいませ!

ご注文はどれにしますか?」


「ありがとうございます!

次のお客様どうぞ!」


「はい!また起こし下さい!」




人が来る度に、クジラは喉が枯れる事を気にせず、しっかりとした声で接客を行い続ける。



その頑張りは周囲から認められ、近い未来に街のおばちゃん達により、ファンクラブが出来上がるのだが、その事を彼が気付くことはなかった。






ーーーーーーーーーーー








そのまま順調に売り上げ、開店から1時過ぎになった。



「皆さんありがとうございます!!

お並びのお客様は申し訳ございません!!

たったいま、全商品完売しました!!

僕たちの方も、多少の休憩を取りたいと思いますので、3時頃に商品の入荷と共に、おにぎりの販売を再開したいと思います!!」




ザワザワ、ザワザワ



3時頃だってよー。



どうする?



とりあえず2時間ほどだし、ここで待機してようよ。



そだねー。





どうしてもおにぎりを食べたい人もいるようで、周囲からはここで待機するなどの声も、聞こえてきていた。



そんな中クジラとリーシャは、屋台を盗まれないよう固定し、大量の硬貨の入った袋をおにぎりを入れていたカゴに詰め、さっさと宿へと戻っていった。



「お疲れ様リーシャ。

今日は昨日よりもすごい人だったね」



「うん、まさか300m近くも行列が出来てるなんて思いもしなかったよ!」



「うぇっ!?

そんなに行列してたの!?

僕はずっと屋台の中にいたからそんな行列を捌いた実感がなかったなぁ。

本当によく頑張ったね、ご苦労様!」



「えへへ、クジラこそお疲れ様!

それにしても、すごい量のお金だね...」



「うん、これすごい邪魔になるから両替したいんだよなぁ...」



2人は大量の硬貨(800枚近くの100モール硬貨)を見て、ため息をつく。



「とりあえず、夜に宿のおばちゃんに両替できる場所がないか、聞いてみるよ」



「うん、それがいいね!」



「それじゃあ、3時からの分作り始めるね。

疲れただろうし、休んでてもいいよ?」



「ううん、私だけ休むのはなんか嫌だから手伝うよ!

またカゴに入れていけばいいよね?」



「悪いね?

それと、おにぎりを入れる前にカゴを布で拭いてくれるかな?

流石に埃がついたカゴにそのまま入れるのは衛生面的に考えてアウトだからね」



クジラは濡れた清潔な布を具現化してリーシャへ渡して頼んだ。



「うんっ!

手伝える事が他にあったらなんでも言ってね?」



「(ほんと、良い子だなぁ)」



頼まれた事を笑顔でこなしていってくれるリーシャを見て、クジラは心の中で彼女の真面目な性格を褒めていた。



ポンッ!ポンッ!ポンッ!ポンッ!



リーシャは、カゴに入っていたお金の袋を部屋の隅へ置き、クジラから渡された清潔な布でカゴをしっかりと拭いてから、おにぎりをカゴに入れ始める。



なかなか手際がよく息が合っており、作業に無駄な動きがなく感じた。





それからのんびりと具現化作業を行い、1時間ほど経過した。



「とりあえずまた800個だ!

あんな行列があったんだから、きっと売り切れちゃうんだろうなぁ...」



「よくよく考えると私達、たった半日で20日は充分な生活ができるくらいの資金を手に入れちゃったんだね!

働くのがこんなに楽しいと思ったのは初めてだなぁ...」



「それはよかったよ。

3時まであと30分くらいか...。

おにぎりを全て運び出すとして、20分...。

リーシャ、早めに開店して早めに終わるように頑張る?」



クジラは、半端な時間空いてしまったので、早めに再開店しようと提案した。



「そうだねー、特に何にもやる事もないからね!

ぃよし!頑張ろうクジラ!」



リーシャもまだ体力が余っているらしく、昨日の疲れた声とは真逆な声で意気込んだ。



「じゃあ、店に着いたら僕は少しずつおにぎりの入ったカゴを屋台に運んでいくから、その間だけ1人で販売を頼めるかい?」



「全然大丈夫!任せてね!」



「頼みっぱなしで悪いね。

それじゃあ仕事開始だ!」



2人はカゴをおにぎりが50個入ったカゴを2つずつ持ち、屋台へと戻って行った。



すると、



「はっ!?」



「うわぁ...」



クジラは驚き、リーシャは若干引いてしまう。



なんと、すでに行列が出来ているのだ。



しかも、何故かみんなキチンと並んでいる。



どうやら周りで、



しっかりと並ばないと売ってくれない。



というガセを流した物がいたようだ。



偶然その噂をしている人間の近くにいた2人は、そのような噂がしっかりと耳に入ってきていた。



「うん、ナイスガセ情報」



「これは嬉しい嘘だね」



クジラとリーシャは苦笑いしつつ、屋台の中に入ってカゴを置いた。



「さて、これなら並ぶように呼びかける必要もないね。

リーシャ、僕が全部運び終えても、朝みたいに整列指示に行かないで、販売を続けるようにして欲しい。

そうすれば店の効率も上がるからね」



「了解!」



「それじゃあ、僕は残り全部持ってくるから少しの間よろしくね?」



「うん!しっかりと売りまくるよ!」



「(うん、問題なさそうだな)」



クジラは、リーシャならば変なトラブルも起こさず、上手くやってくれるだろうと確信する。



そして、自分は小走りで宿の自室に戻り、おにぎりを入れたカゴを取って、屋台に戻って再び宿に行く、という往復を6回ほど繰り返すのだった。






ーーーーーーーーーーーーーー






「すいませーん!

今日の分はこれにて完売になります!!

買えなかった人は本当に申し訳ございませんでした!!

また明日も販売するのでぜひ起こし下さい!!」




ザワザワ



えー、もう完売かよ。


ちぇっ、また買えなかったよ。


あー、食べたかった...。




2人は、3時から販売を始めると、2時間経つか経たないかで午前中と同じ量を売り切ってしまった。



何故こんなに早いかと言うと、1度に10個など買っていく、周りからみたら迷惑な客が居た事により、売却速度が急速化したという訳である。



しかし、そのせいで買えなかった人も、道100m程の人数出ている。



「これだけ作っても買えない人が出るのか...。

この街って結構大きいんだな」



クジラは購入できずに小言を呟きながら帰っていく人たちを見て、この街の大きさを簡単に想像して呟く。



「もしかしたら、明日は街中の人達の殆どが並びに来たりして!」



「ははは...、もしそんな事が起きたら笑えないよ...」



クジラはリーシャのジョークに乾いた笑いを見せている。



彼女のジョークは何故か現実的にありえそうで笑えないと感じるクジラなのであった。






雑談を交えながら後片付けをやり終わるクジラとリーシャ。



前日と比べると全然疲れていない様子で本日2回目の宿屋への帰宅をした。



カランコロン



「あら〜、お疲れ様2人共〜。

聞いたわよ〜!

君達の売ってる食べ物、大人気なんだってね!」



宿に入ると、フロントには偶然おばちゃんがおり、2人へにこやかと話し始めた。



「ははっ、まさか僕自身もこんな売れるとは、思ってませんでしたよ」



「このおにぎりはそれほど美味しいんだよ。

もっと自分の料理に自信を持ちなよクジラ!」



「ふふっ、ほんと君達元気が良いのね。

そんなことよりも、もう1泊してくれるのかしら?」



「あっ、その事なんですけど、とりあえず5泊分まとめて払っても大丈夫ですか?」



「あらぁ、全然良いわよ。

...おっと、忘れてたわ。

その前に、今日頼んでた食事券を買い取るわぁ」



「...あ、そうですね。

思いっきり忘れてましたよ。

これが全部です」



そういってクジラは、20枚の食事券をおばちゃんへ渡した。



「はい、受け取ったわよ。

ひぃふぅみぃ...。うん!

私が売った食事券の数、丁度だわ!

それじゃあここからちょっと割引きして5泊分引いて...。

うん、キリが良いし5泊分、食事券10枚で10000モールでいいわ!」



そういって、おばちゃんは宿代を減らした報酬6000モールをクジラへと渡す。



「いいんですか!?こんなに割引きしてもらっちゃって...?」



「いいのよ!

今回は本当に急だったから感謝してるのよ!

だから受け取っときなさい!

それほど感謝してんの!」



「ありがとうございます!

あっ、そうだ。

この街にお金の両替できる施設ってありますか?」



「両替?

あぁ、全部100モール硬貨じゃあ辛いものね。

迷宮の近くにあるギルドが、両替してくれるわよ。

場所ならこの街の地図あげるから、これ見て行くといいわ」



おばちゃんはテーブルの下から200モールと値札の付いた地図を取り出し、値札を剥がしてクジラに渡した。



「えっ、いや、それ売り物じゃ...?」



「いいのよいいのよ!

若いんだからそんなん気にしないで貰っときな!」



「あっ、はい。

ありがとうございます!」



クジラはおばちゃんの勢いに飲まれ地図を受け取った。



「それじゃ、私も夕食の仕込みあるから、これで失礼するわ」



「本当にありがとうございます!

昨日の夕食はとても美味しかったんで、今日の夕食も期待していますね!」



「わかったよ!

期待して待っときな!」



そういっておばちゃんはフロントの奥へと行ったようだ。



「リーシャ、静かだけど疲れたかい?」



おばちゃんとの話が終わると、昨日と全く同じようにリーシャへと声をかけていた。



「...あっ?ごめんねクジラ。

昨日ほどは疲れてないんだけど、ついぼーっとしちゃってたよ...」



リーシャは前日のように、いつの間にか寝てるほどには疲れてはいないようだが、それでも十分な疲労が溜まっているようだ。



「それじゃあ、早く部屋に戻って休もうか」



「うん、そうしたいな」




2人はそう言って部屋へ戻り、昨日と同じような流れでリーシャが眠り、クジラは夕食まで待機する。



その後、おばちゃんの作る絶品な夕食を食べ、部屋に戻った。



すると、腹が膨れた事が原因か、睡魔が襲ってきて、2人は特に話もしないまま就寝したようであった。






ーーーーーーーーーーーーー






ピピピピピピピピピピピピ



ガバッ!



リーシャは、スマートフォンの音に反応し、一瞬で意識を覚醒させて布団から飛び出る。



「っ!?

...って、携帯の音かぁ...。

ふぅ、未だこの音には慣れないなぁ」



前日と同じ朝5時。



クジラはアラームのセットだけは怠らずに仕掛けておいたようだ。



朝からやかましい音が鳴り響く。




モゾッ、モゾッ



「あぁ朝か...、リーシャおはよ」



クジラもゆっくりと身体を起こし、リーシャへ挨拶する。



ピピピピピピッ



それと同時に、手元で鳴き叫ぶスマートフォンを弄り、音を止めた。



「あ、おはようクジラ。

今日もがんばろうね!」



「ふぁぁ...そうだね。

目指せ全品目完売」



「ふふっ、その意気だよ。

それで、今日も昨日と同じ数売るの?」



「いや、今日はちょっと少なめ。

それと、僕はギルドって所に、お金の両替行こうと思ってるんだ。

だから、10時頃から1時間くらいお店任して大丈夫?」



「うん、昨日みたいにお客さんがキチンと並んでくれてたらなんとかなると思う」



「それじゃあ、大丈夫そうだったらお願いするね?」



「うん、任されたよ」



「なら、今日は〜...、午前中は1種類につき100個にしよう。その後、売却速度を見直してから増減を考えよう。

あっ、それと、流石にもう1日に1600個も作って販売する事はないから、安心してね」



「そうなの?あれだけ売れるのになんで?」



「みんな今は、興味本位で買ってるだけだから、そのうち人の数も減るんだよ。

だからあと10日くらいは1600個でも売れると思うけど、それじゃあ絶対にみんなから飽きられちゃって、売れ筋がガタ落ちになると思うんだ。

まぁ、僕らがこれから色々な街を旅するのならばそれでいいのかもしれないけど...。

でも、ぶっちゃて言うと、そんなすぐに転々とするのもめんどくさいでしょ?

だから、少数でちょこちょこと長期に渡って売るのが1番いいんだよ、きっと」



「なるほど、クジラも考えてるんだね...。

それじゃあ最終的には毎日どのくらいを販売する事を目標にしてるの?」



「僕的には1日200個の売上をキープできればいいかな?」



「200個かぁ、まぁ最終的にはお客さんも減って、そのくらいがちょうど良くなるんだね」



クジラはスマートフォンを手に持ち、ある操作をしながら呟く。



「1日200個、20000モール売り上げると、1日の宿代が2500モールだから17500モールの黒字。

それで1月を30日で計算すると、525000モールが手に入るね」



「クジラって頭いいんだね?

そんな計算すぐしちゃうなんて」




「あぁ、違う違う。

この携帯で計算してたんだよ」



クジラはリーシャへスマートフォンの画面を見せながらもう一度今の計算を実演して見せる。



「あっ、ほんとだ!

その携帯電話にはそんな便利な機能があるんだね!」



「うん、今となってはほんとこれが手放せないんだよね。

(そういえば、電波的なものが自分で発生させる機能が付いた携帯とかを、いい具合に考えて具現化したら、圏外でも通信できるようになったりしないかな...?

今日の夜にでもやってみよう...)」



クジラは自分の携帯依存症についてを話して笑いながら、密かに特殊な携帯を具現化する事を思い立った。



「よし、そろそろ作り始めようか」



「うん、こっちもカゴは全部拭いといたよ」



「おっ、気が利いてるね。

ありがとう」



こうして2人は、朝の仕込み、屋台の準備を行い始めた。



ポンッ!ポンッ!ポンッ!ポンッ!



.......。










ーーーーーーーーーーーーーー











「ふぅ、少し歩いたなぁ...。ここがギルドか...」



あれから時間は経ち、10時15分頃。



クジラは、一旦リーシャに屋台を任せて、お金の両替の為にギルド呼ばれる、色々なシステムが纏まったような場所を訪れた。



この施設の中には、クエストカウンターという仕事を提供している場所もあった。



仕事を提供するというのはつまり、



Aがギルドに仕事を頼みにくる。

Bがギルドを通してAの仕事を受ける。

BがAの仕事をこなす

報酬はギルドを通して渡され、報酬の何割かは仲介手数料としてギルドが頂く。



このような流れのシステムだそうだ。



ギルドは、このような仕事を提供したりする事以外にも、迷宮へ訪れる人の迷宮探索者登録や、物品を金銭へ換金、または金銭の両替を行っているそうだ。



いわゆる何でも屋に近いところであろう。



そういう訳で、クジラは金銭交換、物品の換金をしている受付へ行った。



「本日はどのようなご用件でしょうか?」



受付のお姉さんが丁寧に対応してくる。



「すいません、お金の両替をして欲しいんですが...」



「はい、両替ですね?

金額のご提示お願いします」



「こ、これです...」



クジラは微妙な顔をしながら大量の100モールが入った大袋を2つ差し出した。



「これは...。

すいません、少々失礼します」



受付のお姉さんはあまりの量に驚いていた顔をしている。



そして2つの袋へ手をかけたと思ったら目が一瞬光ったようだ。



「はい、数の総数を調べ終わりました。100モール硬貨が1680枚ですね?」



「は、はい。

多分合ってます

(なるほど、数を鑑定する魔法があるのか...)」



「そうしましたら、1万モール硬貨を16枚と千モール硬貨8枚でよろしいですか?」



「はい。

それでお願いします」



「わかりました。

それではこちらになります」



受付のお姉さんは、小袋に、10000と刻まれている少し大きめな金色の硬貨を16枚と、1000と刻まれた10000モール硬貨よりも、一回り小さい金色の硬貨を8枚入れて、クジラへ渡した。



「また何かございましたらお越しください」



「はい、ありがとうございます

(リーシャも大変だろうから早く帰らなくちゃな)」



クジラは背負っていたリュックにお金の入った小袋を入れて、足早にギルドを後にした。


「(それよりも迷宮か...。

お爺ちゃんが言った時から、少しだけ気になってたんだよなぁ...。

この世界に適応していく為には行く以外に選択肢は無いし、リーシャと相談して行ってみようかな...?)」



クジラも、まだまだ子供の心を持っている16歳の男子だ。



迷宮というファンタジーといえばこれという場所に、少なからず興味を惹かれているようだった。



「まぁいいや、さっさと屋台に戻ろう」



クジラは考えるのをやめ、歩く速度を早めた。







「あっ、あの!

ありがとうございます!

またお越しください!」


「つっ、次のお方ご注文どうぞぉ!」



リーシャはクジラに1人勤務を任された為、大忙しでせっせと働いていた。



「おーい、リーシャ!

大丈夫だったかい?」



「はい、ちょうどお預かりします!

ありがとうございます!

...あっ、おかえりクジラ!

かなり忙しいけど大丈夫だったよ。

売り上げなんだけど、全体的にかなり売れて、明太子が予想以上に売れちゃって完売したよ!」



クジラは残りの商品の数と100モール硬貨の数を見て結構驚く!



「おぉ、すごい売上じゃないか!

ほんと助かったよリーシャ!」



「えへへ、それじゃあもう一息だから、頑張ろうね!」



「了解!」







...。





「皆さん!

ただいま全商品完売しました!

今日は、これでクジラ屋は閉店になります!

そして明日は、午後1時頃から開店しますので、またのお越しお願いします!!」



「えっ?

ねぇクジラ、今日はもうおしまいでいいの?

それに明日は午後からって...」



「うん、午後はリーシャに今後の方針とかを話そうと思ってね。

それと、長旅の疲れがまだあるのに、早朝から働いてもらってたから、少しくらいはゆっくり休んだ方がいいでしょ?」



「そう?

なんか気を使ってもらってごめんね?」



「いや、いいんだよ。

店よりもリーシャの方が大切だし、体調崩したら申し訳ないからね?」



「クジラ、そ、それって///」



クジラはよく考えず、良かれと思って言った事に対して、リーシャは頬を染める。



「えっ?

...はっ!?いや、あの...ね?

まぁ、えぇっと...、そういうことだから明日の朝はゆっくりしてね」



クジラは、自分の言った言葉を見直し、さらりとプロポーズ紛いな事を言っていたことに気づくと、若干慌てつつ話を切り上げた。



「う、うん。

明日はゆっくりさせてもらうよ!」



リーシャも照れ隠しに顔を背けながら話をそこで切りにかかった。



「そ、それじゃあ宿戻ろっか」



「う、うん!そうだね!」



2人は、お互いがお互いの事を意識しつつ、宿へ歩いて行くのだった。





「さて、リーシャ。

今からこの街を少し観光してみない?」



「うん!

今日は慣れか疲れもあんまり無いからいいよ!

それならばしっかりとエスコートしてくれるよね?」



「ははっ、今のでかなりプレッシャーかかって自信がなくなったけど、クジラさんに任せなさい!」



2人は、宿に戻って少し休むと、有り余る元気を消費する為にそのような提案が飛び交った。



「とりあえず、服を買いに行こうか。

流石に持ってた服を具現化した物を着続けてると、1着しか持ってないように見られちゃうかもしれないし、リーシャも女の子なんだから、おしゃれな服とかが欲しいでしょ?」



「うん!

でも、私あまりおしゃれに自信が無いから、クジラが私の服を選んでくれない?

その代わりに、私がクジラに似合う服を探してあげる!」



「本当かい?

僕もあまりファッションセンスが良い訳でもないから助かるよ。

それじゃ、すぐ近くにあるっぽいから早速行こうか」



クジラはおばちゃんから渡された地図を眺めると、すぐに服屋の位置を見つけて立ち上がった、







「あら、今日は屋台もうおしまいなのかい?」



2人が玄関口を通ると、フロントで何か作業をしていたおばちゃんがそれに気づき、話しかけてきた。



「はい!

私達、今から服を買いに行くんです!」



「そうかい、つまりデートって事だね!」



「」



「...で、デート///」



クジラは硬直して、リーシャは今ようやく気づいたようで顔を赤らめる。



「あっはっはっはっ!!

2人とも初々しいねぇ!!

ほら!クジラ君!

あんたは男なんだからシャキッとしな!!

そんなんじゃあ甲斐性無しになっちまうよ!?」



「ふぁっ!?

は、はい!」



クジラは硬直から復活するが、かなり気が動転しているようだ。



「リーシャちゃん、ちょっとおいで...?」



「はい?」



ひとまずクジラは放置し、クイクイとリーシャを手招きして、呼び寄せる。



「...リーシャちゃん可愛いんだから、ちょっと色目使えばクジラ君もイチコロよ?」



おばちゃんはリーシャにコソコソと耳打ちをする。



「ふぇえ!?ほ、本当ですか!?」



「うん、あんたなら大丈夫!

ほら!2人共行ってらっしゃい!!」



「は、はい!

いってきます!

ほら、行くよクジラ!」



「あっ、ちょっ!待ってリーシャ!!

おばちゃん行ってきますね!」



「あいよ!行ってらっしゃい!」



おばちゃんのペースに乗せられたリーシャは、すごい速さで外へ出ていき、クジラは慌ててそれを追いかけていった。



「ふふ、頑張るのよ、リーシャちゃん」



おばちゃんはそれを見て楽しそうに微笑んでいた。















なんて話の繋げ辛い話しを作ってるんだ8月中の僕はぁぁぁぁぁ!!


この1話を作るのに総計15時間はかかったんじゃないかなぁ...?



本日中にもう一本書けるように頑張ります!











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