少年の現実
時は川西高校入学式の前日
川西駅の近くでは大勢の人たちが集まり騒ぎになっていた。
「んっ……」
目に入ってきたのは視界一面に広がる青空
自分が仰向けで倒れているのはすぐにわかった。
身体を起こし、周りをみわたす。
横転し線路から大きく外れ倒れている車両、うめき声や泣き声、怪我人を手当てしたり運んでいる救急隊員…そこで自分が乗っていた電車が事故にあい、自らは車両から投げ出されたということが理解できた。
「にしてもひどいな…ん?」
立ち上がったところで違和感を抱いく。
「え…痛くない…」
これだけの事故に巻き込まれたゆうのに立ち上がるのに痛みを感じなかった、それどころか身体のどこにも外傷はなく痛みもなかった。
それどころかいつもより少し身体が軽く感じる。
「というか、なんで放置されてるんだ俺」
確かに目立った外傷はないが、それでも事故の被害者であろう者が仰向けで気を失っていたのだ。
それを救急隊が放置し続けるのはどうなのか、明らかにおかしい。
「あの、すみません」
近くで怪我人を担架で運ぼうとしている救急隊員に声をかえる。
が、返事はない。
「あの!」
さらに近づき声をかけるが返事はない。
救急隊員の肩を叩こうと、手を伸ばした
「!?」
が、その手は肩に触れることはなく、透過していた。
「なんで触れ…」
そこで担架で運ばれようとしている人を目にして言葉をなくした。
「え…俺…」
担架に横になっていたのは紛れもなく自分自身、頭部から大量の出血をし、身体中は傷だらけ、顔は青白かった。
この時、全てを理解をした。しかし、それを素直に受け入れることはできない、現実的に考えて非現実的であり、なにより受け入れたくなかった。
「死んだんだよ」
唐突に背後からあどけない声
振り向くとそこには、黒いローブで身を包んだ小学上級生ぐらいの子が立ったいた。
「おまえは、死んだんだよ」
死んだ、その言葉が胸の奥まで突き刺さる。
「そっか…死んだのか」
さっきまでわかっていたが、受け入れられなかった事実を、なぜか素直にのみこめた。
この時、電車が倒れていく中空にみえた人影を思いだし、その人影が今目の前に立っている子になんとなく似ていることに気づく。
「君はいったい?」
「僕は、死神」
その声と見かけからは想像もできない単語に一瞬戸惑う
と、現実的にありえないということが浮かばなかったことに、自分はもう現実にいないのだと自覚し、そんなことを考えてる自分がおかしくなり、おもわず頬がゆるむ。
「なぜ笑う?」
「ごめんごめん、別に君が死神だってことがおかしくて笑ったんじゃないよ。ただ、今のこの状況を素直に受け入れてる自分がおかしくて」
「変なやつ」
まさにそのとおりだと思いながら、一つ気になることがうかんだ。
「君はその…俺を殺しにきたのか?」
「違う、おまえはすでに死んでいるのだから殺すもなにもない」
死神は続ける
「僕はおまえを還るべきとこに還えす。それだけ」
その説明はあまりにも短く端的だが、これから自分がどうなるかを知るには充分すぎた。
「俺は死んでて…これからいなくなる…か」
「そう、それがおまえの現実」
4月3日、明日を入学に控えた少年、西城 誠也は全てを失い、死神と出会った。




