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プロローグ 紅蓮の騎士

辺境の地にある国。―――ロア.クリスタル

この国の王は伝説を持つ人間だった。


その昔、次期の王アランは親友のロイと、山に突如現れた竜の皇帝を倒すという使命を与えられた。

はっきり言って命の保証は無い。

しかし、勇敢な青年アランとロイは引き受けた。

永遠にも感じられる時間が経過したころに、アランが限界と見たロイが竜帝に最後の勝負を仕掛けた。

そしてそのまま、火山の火口の中に竜帝と共に落ちていった。

ロイとアランは英雄となった。しかし、ロイは帰らぬ人となった。












それから十年という月日が経った。

今は王国で開かれた武芸大会が行われている。


その決勝の舞台に立っている一人の青年。彼の名前はユリアン。

決勝の相手は騎士団長レイチェル。


「では、始め!」


審判の男の手が高々と上がる。それと同時にユリアンがレイチェルの懐に飛びこむ。

鳴り響く金属音。目にも止まらぬ速さで繰り出される三回の突き、レイチェルの必殺技とも言える物だった。

その瞬間レイチェルの直線的な攻撃に対して、ユリアンが宙を回転しながら舞い、避けながらの攻撃でレイチェルの脇を仕留める。


「勝負在り!優勝はユリアン!」


ドっと歓声があがった。

ユリアンは王国の剣士の中で一番の強さとなった。


「見事だユリアン。やはり血は争えないな、ロイの子よ」


口を開いたアラン。

ユリアンは、英雄ロイの子だった。そして母はユリアンを産んだ時に死んでしまったため、今は養子として母の妹のところに預けられている。


「まるで若いころのロイを見ているようだった。その緑の髪、赤く燃えるような真紅の瞳。そっくりだ。ホントにロイを思い出す。まぁ、優勝おめでとう」


そうアランが言った後に拍手が起きた。







―――次の日の夜。


見張りをしていたユリアンは、昨日の疲れからか、その場で静かに眠ってしまっていた。

ユリアンは体を照らす炎の熱さで目覚めた。


「しまった!俺が寝てる間に城が!」


ユリアンは急いで門へと走った。

正門は跡形も無く壊されていた。直ぐそこに兵士が一人倒れていた。


「おい!大丈夫か!?何があった!?」


兵士を抱えて起しユリアンは叫んだ。


「ユ、ユリアンか……たった一人で鎧を着た男が攻めてきた……奴は、強すぎ…」


言い終わる前に兵士の息が絶えた。

兵士に静かに祈りをささげると、ユリアンは階段を上った。


「ユリアンか?……」


そこに居た一人の兵士が話しかけてきた。


「そこの扉から入って行った……あいつは、お前にしか止められない…王が危ない……早く!」


そう言うと兵士はガクンとして倒れた。ユリアンは王の元へと向かった。

その途中でユリアンは見た者は、紅蓮の鎧を着て、魔界の剣らしき恐ろしい妖気を込めた剣を持つ、一人の男であった。

その目の前にレイチェルが立ちはだかっていた。


「貴様!何者だ!名を名乗れ!」


威勢良く叫ぶレイチェル。


「フシュゥ〜、まぁ、紅蓮の騎士とでも名乗っておくか、な」


「舐めやがって!覚悟!」


レイチェルが自慢の突きで切りかかるも、嘲笑うかの如く、紅蓮の騎士は一振りでレイチェルを斬った。


「な、馬鹿な!」


レイチェルが倒れたのを見たユリアンは、紅蓮の騎士を先回りして待ち伏せた。

扉が開く、そして入ってくる紅蓮の騎士。


「ここからは通すわけにはいかないぜ!紅蓮の騎士さんよ!」


剣を抜いて斬りかかるユリアン。

しかし、何度も何度も斬ったが、何故かいつもかわされる。

そして最後に渾身込めた横振りが、いとも簡単に手で受け止められてしまった。


「な、何?馬鹿な、うそだろ」


その光景にユリアンは信じられなかった。

そして紅蓮の騎士は、ユリアンを斬った。

血飛沫がユリアンの腹部からでた。


「ここの騎士どもは弱いな」


そう言った紅蓮の騎士にただ一つ、怒りの感情だけでユリアンがたった。


「ほぉ?まだ立つか、ならこれはどうだ?」


ユリアンは初めて見た。

ただ空を斬ったと思った剣なのに、自分の体を傷つけた。


(し、真空波だ、聞いた事があるぞ。初めて食らったぜ)


そのままユリアンは気絶をした。


「気絶か、まだ生きているとはな、面白い!この国の侵略はまだ後にしよう」


そして紅蓮の騎士は消え去った。







それから、ユリアンやレイチェルは傷が癒えるも、二人の犠牲者を出してしまった。


(俺のせいで二人も……この国にはもう、居れない)


ユリアンはそうして育ててもらった親に、夜、静かな別れを告げ、家を出た。

そして国の出口についたころ、朝日が昇っていた。

そこにはレイチェルが居た。


「よう、ユリアン。やっぱりお前の事だから出ていくと思ったぜ……アラン様が呼んでる。出ていく前についてきてもらうぜ」


そう言ったレイチェルにユリアンは小さく頷き、アランの元へ向かった。




「出ていくのか?ユリアン。何もお前のせいと決まったわけではないぞ?」


アランが言った。


「しかし、アラン様。二人の犠牲者が出ていますし、俺が寝ていなければ…」


ユリアンはそう言った。


「自惚れるなユリアン!!貴様が寝てなかったたとしても、あの男は倒せなかっただろう!」


怒鳴ったのはレイチェルだった。


「アラン様!提案があります!」


ユリアンはきっとレイチェルが、死罪を出すと思っていた。


「ユリアンを国から追い出し……強くなるまで、紅蓮の騎士を倒すまで、永久追放しましょう」


レイチェルが言ったのは違っていた。


「そうか、………そうしよう。ユリアン!紅蓮の騎士を倒すまで、永久追放とする!」


アランが言った。ユリアンは涙を目に浮かべて、大きく頷き、その場を後にした。















こうしてユリアンは、紅蓮の騎士を倒す旅に出たのであった。

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