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ぱわーぷれい~英雄志願S  作者: azuma
一つ目の世界
5/18

ベル

主人公の内面世界へと舞台は移動

この先どうなることやら・・・

 「ベル」



 朝靄にも似た煙る視界。


 「なんだ・・・こりゃ?」


 地に足が着かない不安定感。


 「はあ~つい最近こんな感覚に覚えがあるんだけど・・・。」


 ふと体を見下ろすとぼやけた幽霊みたいな発光体。


 「やっぱり今度こそ死んだかな~俺?」


 ・・・・・・・・


 「今度はなんもリアクションないか・・・体もはっきりしないし~ん」


 「じいちゃんが昔言ってたのやってみっか!」


 じいちゃん曰く。


 『考えることができる内は思考せよ。』


 まず、見ることができて自己の思考はある・・・お~けえ。


 もやもやだけど体らしきものはあるーーーよ~し。


 「ほんじゃあどんなけ動けるか・・・目、首、肩、腕、手、指・・・おう?!」


 意識しだしたとこから見覚えのある体が浮き出てくるよ。


 「ほんじゃあ全身把握! ・・・案外簡単だったな。


 会いたかったよマイサン・・・って裸?!」


 きょろきょろ辺りを見渡しても隠すもんなんかない・・・よなあ、まあオヤクソク。


 「・・・イメージして体が出せたってことは・・・あ、できた!」


 体を覆う黒・・・ほぼ毎日着てる学生服~・・・


 なんで飯炊き用のエプロンまでオプションでつけちまうかね・・・俺・・・


 「習慣ってかな・・・」

 

 エプロンを外しながら歩き始める、あエプロン消えた。

 

 何も無い空間・・・歩いてるのかも曖昧になってくる。

 

 と、視界に・・・というかなんだろうダイレクトに知覚されるように光の群れを感じた。

 

 「なんだ?

 

・・・こっちか。」


 その感覚にしたがって向かうが走ってもなかなか近づいてる様子ではない。

 

 「飛べるかな・・・」

 

 服を認識したときのように体が飛ぶイメージ・・・浮いた!

 

 「やってみるもんだね~てか順応早いな・・・俺、さすが先輩に鍛えられたゲーム脳ってか?」

 

 浮いたまま移動を始める。

 

 竜玉で出てくる空飛ぶ技みたいに高速移動!

 

 「すごいな、イメージどうりにうまくいく・・・死んだ線濃厚かも?」

 

 これで川の向こうにお花畑とかは簡便願いたい・・・あそこに見えるの川?

 

 「なし! 

 

今のイメージカット~~~!」


 さっきまで見えてたお花畑とワンセットが掻き消えた。

 

 景色までイメージで再現か・・・

 

 「じゃあ、これでどうだ!」

 

 目を閉じ・・・昔、じいちゃんと旅行してたときにみた一面の草原を・・・イメージ!!

 

 次に目を開ければ遥か遠くまで続く草原と流れる雲にさわやかに頬をなでる風。

 

 「おお~なんか天地創造っぽい。」

 

 白一色から多色を投影した世界

 

 「うん、さっきよりはましだな・・・心なしか空気が軽くなった。」

 

 一面に広がる壮大な景色を眼下に飛び続ける

 

 半ばレーダーのように知覚に引っかかる光は増減を繰り返し近づいている、というかこっちが近寄っている。

 

 視界にとらえた!

 

 一気に飛ぶ。

 

 目の前には小さな光の靄が違う色の光とぶつかり合って消えたり同じ光が集まって新しい光を作っていたりと蠢いていた。

 

 「うわ~~~なんだこれ?

 

えらく目がチカチカする光景だな。」


 夜景のネオンのようで不規則に増減する群れを眺めていると光の一つがフワフワと寄ってきた。

 

 ファンタジーのウィルオーウィスプってこんな感じかな?

 

 俺の周りをクルクル回る。

 

 危険はなさそうなので指で突いてみる。

 

 何処からが実体か解からないフニャっとした手触り

 

 『あ・たが・・・わた・・マ・ター・・・?』

 

 なんだろう頭の中に別の意識が聞こえる

 

 もう一個同じ色の光がきた・・・あ、重なった

 

 『あなたが私のマスターか?』

 

 「ブッ・・・どこのアニメのサーバントさんだ?」

 

 意識なのでそう言ったのではないが意味合いがそう聞かせたようだ

 

 面白そうなので是呈する

 

 光は敵意はないようで周りをクルクル回り続ける

 

 「もしかしたら・・・。」

 

 光に手を伸ばすと素直によってきた

 

 それにイメージを送る

 

 想像するのはさっきのセリフというか意識から想像したディフォルメ

 

 マンマ同じにするのは芸が無い

 

 それをベースにゲームのヴァルキリーとかの部分鎧や頭飾り

 

 長い髪は光の色のイメージで

 

 大きさも今の光の大きさで

 

 羽も光るトンボの羽

 

 顔は・・・妖精っぽく色白でツリ目気味エルフっぽくイメージ・・・目を開く

 

 目の前に想ったとおりの15cmほどの女の子が浮いていた。

 

 「マスター命令を」

 

 鈴を鳴らしたような声で無感情に聞いてくる

 

 「しゃべれる様になったんだ。」

 

 「はい、マスターのおかげです。」

 

 「じゃあ、やりやすいお前は何なんだ?」

 

 「私はシステムベルセルクの統括システムプログラムの一つです。」

 

 「あの光全部も?」

 

 「あの光はナノマシンです。」

 

 「色が違うのは?」

 

 「おそらく型式が違うので敵味方の識別色と予測します」

 

 「敵味方って争ってるのか?」

 

 「是呈。」

 

 「なんで・・・理由ってわかる?」

 

 「是呈、わかります。

 

どの型式がマスターの体に残留するか生存をかけた戦闘でしょう。」


 「俺の体?

 

って俺ここにいるし・・・あれ?」


 違和感を感じた。

 

 明らかに知らないナノマシン等の単語の意味が理解できる。

 

 細かいことは解からないがどういった物とわかるんだ。

 

 言葉が通じる矛盾や今の状況の答えというか情報。

 

 「そうかお前か・・・確かにイメージでくれたほうが早いわ。」

 

 「是呈。マスターの思考回路との接続ができましたので試してみました。

 

音声出力がお好みなら口頭説明に切り替えます。」


 「いや、いい。

 

 「あ~・・・大体解かった、ここは俺の内面世界で体の状態をお前が視覚として見せてくれてるわけか」

 

 「是呈。」

 

 「・・・とりあえずお前って呼ぶのもなんだ名前を決めるか」

 

 「固有名詞・・・ファイル名ですか?」

 

 「お前と話すときに呼ぶ名前だ。」

 

 「理解不能・・・私はシステムベルセルクです。」

 

 「呼びやすい愛称だと思え・・・ベルセルク・・・狂戦士、物騒な名前だな・・・ベル・・・

 

よし、お前は今から『ベル』だ!」


 「是呈、私の名前は『ベル』認識しました。」

 

 「さて・・・と、じゃあさっさとこのナノマシン達を何とかしようか・・・俺の命が危ないし。」

 

 「是呈、このままではマスターの生命反応が消えてから決着がつく可能性100%」

 

 「だよね~・・・ベルの型式は00で白い光でいいんだな?」

 

 「是呈、主に情報処理、ユニットの統括などに特化した指令タイプです。

 

そのためマスターに最初に接触するのが、我が郡体が生き残る近道と判断しました。」


 「なるほどな、他のも何かに特化してるんだろ?」

 

 「是呈、しかしマスターにOSオペレーションシステムとして接触、命令の受注等ダイレクトにコミュニケーションが取れるのは00だけです。

 

それを踏まえて00を残してもらえると願います。」


 「あ~はいはい、ベルは勘違いしてるぞ。」

 

 「勘違いですか?

 

理解不能・・・」


 「じいちゃん曰く・・・『利用できるものは利用しろ』だ。」

 

 「一種の思考パターンと推測しますが具体的にはどうするのでしょう。」

 

 ニッと嗤いながらイメージを明確にする。

 

 「できるか・・・ベル?」

 

 ベルはコクコクとうなずいた。

 

 「じゃあ始めてくれ。」

 

 「イエス、マスター!」

 

 ベルは手のひらの上で恭しく礼をしてバシュッと飛び出していく。

 

 向かうは白の光の陣中央。


 五色のせめぎ合いの中で一番縮小しているようだが・・・

 

 「お~速いな~。」

 

 歓心して見ていると

 

 ベルが入った地点から『ポンッ』って感じで1体、2体、4体、8体・・・とネズミ算でベルが増えていく。


 いや・・・オリジナル5頭身にくらべて2頭身低くディフォルメかしてる・・・羽もないな。


 「うむ・・・白ベルさんと呼ぼう。」


 それが白全体に広がった時、反撃が始まった。


 向かい合った白ベルさん群と隣り合った青色群。


 なんとも壮観というかほほえましいというか・・・


 「ぜんぐんとつげき~!!」


 ベルの一人?の合図で戦闘が再び開始される。


 『おお~~~!!!』


 さっきまでの光のぶつかり合いで片方消滅では無く、戦術を使い出す。


 そう、基本は2対1。


 さらに目的は相手の破壊ではなく・・・。

 

 

 一部の戦闘風景・・・


 『う~りゃ~!』


 青色に二人のベルが飛び掛る。


 白ベルさんAが青色を捕まえた。


 捕まえた青色に白ベルさんBがすかさず突貫!


 「コ~~~チョコチョコチョ~~~!!」


 青色をくすぐり出した。


 青い光はくすぐったそうに震え明滅を繰り返し・・・


 『ポン!』っという風に大笑いするベルに変身する。


 ベル・・・といってもちょっと違う。


 白ベルさんの鎧は白銀色だが新しい方は深い藍色。


 そして髪型は同じだが色が蛍光色の水色に変わっている。


 「別名・・・青ベルさん・・・かな?」


 どうやらあのコチョX2がプログラムの書き換えのようだ・・・シュールだな・・・。


 白ベルさんABが青ベルさんになった個体を後ろに送ると次の犠牲者に飛び掛る。


 そんな情景が各前線で行われる中ーーー


 青ベルさんが白の陣から青の陣に飛んでいく。


 

 白前線後方の様子



 前線から弾かれ『コロコロ』青ベルさんが転がってきた。


 それを8人前後の白ベルさんズが胴上げの要領で~


 『うりゃりゃりゃりゃ~~~!!』


 ブン投げた!


 結構な距離を飛ぶ青ベルさん。


 横を見ると同じ青ベルさんが飛んでいる。


 『先に逝くぜ・・・』


 的な簡易敬礼、ニヒルな笑みの青ベルさんがフリーフォールで落ちていく。


 それに倣いどんどん投下される青ベルさんズ。


 彼女達が落ちた地点から今度は青ベルさんが『ポンッポポポポン!!』と増えていった。


 そんな光景は白の陣を中心に他の赤、黄、黒にも広がって行く。


 「お~赤ベル、黄ベル、黒ベル発見!


 黒ベルさん以外は鎧と髪色が違うのみか・・・。


 同じ顔なのに黒ベルさんはちょっとした迫力があるな・・・黒一色だけに・・・。」


 そんなこんなで圧倒的有利でも被害はあるみたいなんだが・・・


 

 戦場の一角の光景



 「にゃあああ~~~!」


 黄色光に体当たりを食らった赤ベルさん


 起き上がろうとする赤ベルさんに止めを刺そうと迫る黄色光!


 『がき~ん!!』


 両者の間にガードを硬くした青ベルさんが入り体当たりを防ぐ。


 「ふっ・・・借りは返したぜ」


 ここでもニヒルな笑みの似合う青ベルさん。


 起き上がろうとする赤ベルさん。


 「すまない!、だが人違いだ・・・」


 「あれ?・・・そうなのか・・・」


 ポリポリと照れ隠しする青ベルさん


 赤ベルさんに駆け寄る白ベルさんズ


 「えいせ~へ~えいせ~へ~!!」


 「ちりょ~お~♪」


 「いたいのいたいのとんでけ~~~♪」


 それぞれが赤ベルさんにペタペタと手当てしてる。


 なごむ光景だ・・・。


 『ガッ! ドッ!』


 連続で攻撃を受ける青ベルさん。


 「く・・・このままでは!」


 防戦一方の背後から赤い影が走り抜けた!


 「おりゃあ!」


 赤ベルさんのパンチが黄色光を吹き飛ばす。


 「助かった、恩に着る」


 そんな青ベルさんに


 「気にすんな仲間だろ!」


 照れくさそうな赤ベルさん。


 「そうだな・・・」


 ニヒルな笑みを返す


 「それより・・・止めだ、いくぞ!」


 「応!」


 二人が突進してくる先ほどの黄色光にダッシュ!


 あたる! 寸前に左右に跳躍


 『今だ!!』


 二人の呼吸が見事に合って振り返って?(前後わかりません)止まった黄色光に赤と青の蛍光髪のラインが残像を残して交差した。


 音も無く消えていく黄色光・・・


 赤ベルさんと青ベルさんは無言で見つめあい、お互いの腕を軽くぶつけ合うことで認め合った。


 『引き込むんだろが~! 倒してどうする?!』


 『スパパ~ン!!』


と他のベルさんズにはたかれた。


 『は~い』


 素直に前線に復帰する赤青コンビであった。


 おおむね被害はあまり無いみたいだ。


 戦闘中にも同色の仲間を生産してるっぽい。


 流石ナノマシンってとこか。


 「あれ?


さっきのイメージでの情報じゃ~確かナノマシンって原子の組み換えができるからこそ同種の設計図にそって生産可能だったはずだけど・・・。」


 何故か不安が残る。


 「後でベルに聞いてみるか・・・。」


 「はい、マスター何か御用が?」


 目の前にいたよ。


 「お、おう・・・ベル、向こうに居なくて大丈夫なのか?」


 「是呈、すべてのナノマシンの制御完了しました。」


 「早いな・・・。」


 目の前に五色のベルさんズが視界いっぱいに軍隊よろしく整列している様は壮観を通り越してビビルよな・・・みんな同じ顔だし。


 「それではこれよりマスターの身体の治療に移行します。」


 「そうだな、たのむ。」


 「是呈・・・・行け!!!」


 ベルが振り返り群に短い指示を飛ばすと赤、青、黄、白、黒の群がそれぞれ散っていく。


 怪我した俺の身体を修復にむかうらしいが・・・


 「戦記物のワンシーンみたいだな・・・すごいもんだ」


 「そうですか? 


マスターもすごいと私は判断しますが。」


 「どこが?」


 「私の元のデータから見てですが初接触で自分の内面世界をここまでイメージを明瞭に・・・且つ自在に使いこなした例はありません。」


 「ああ、もしかしてじいちゃんの修行で瞑想とかを小っちゃいころからやってたからかもな。」


 「なるほど・・・興味深いですね。」


 「まあ、瞑想っつっても心の中で遊ぶ・・・みたいなもんだしな。」


 「それが、下地になっているのは理解しました。


あ、マスター。」


 「ん、どうした?」


 「治療においてマスターの思考回路・・・脳に当たる部位に欠損、ダメージがあります。」


 「げ・・・俺、大丈夫なのか?!」


 「是呈、ただし治療にあたって一度思考回路との接触を切断させていただきます。」


 「そうか・・・ん、わかった後はよろしくたのむ。」


 「是呈、たのまれました・・・では、後ほど」


 「ああ、おやすみ。」



 TVの電源が落ちるように意識が消えた。



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