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ぱわーぷれい~英雄志願S  作者: azuma
一つ目の世界
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ひとつの日常


 話の根源

 この世界に似た主人公の世界のお話です


 基本はこの世界が主人公の帰るべき場所です


「ひとつの日常」



 52年前・・・この世界はまだ常識の概念と言う名の結界に守られていた。


 その中で生きる国によって事情は異なるが、大多数の人々はそれぞれに悩みや苦痛はあっても、それがすぐ死に直結するようなものでもなく比較的平和に暮らす卵の中の世界。


 だが・・・その結界はある者に壊されることになり、世界に幾つもの新たな法則をもたらすことになる。


 それが世界の・・・常識の殻を破り幾多もの進化の時を能えた


 だが、人々はその者を称えることはないだろう。




 その者の名はバン・ウォール・・・


 世界の人口の約5分の1をこの世から消し去り、一時世界を混乱に陥れた張本人であるこの者を人は「魔王」と呼び、または「恐怖の大王」と記述した。


 時は西暦1999年7月とある預言者が残した予言の時、今の我々の世界とは別の地球で起こった災害である。




 舞台は常識的概念の破壊されし世界・・・西暦2051年


 世界は・・・少なくともこの国はナニゲに平和だった。







 ここは日本、所はH県N市Y中学校裏庭



 『ぱぷ~~~ん・・・ぷぷぱ~~~ん・・・』


 ブラスバンド部の新入生による、曲にならない練習のリズムがBGMを奏でる。


 春うららかな放課後。


 『ガサササッ・・・』


 裏山の繁みから大柄な黒い学生服姿の少年が現れる。


 胸にはよれた名札がぶら下がり3年『日下 希』(くさか のぞみ)と書いてある。


 中学生にしては大柄で177cm。


 大きな体躯に神経質そうな銀フレームの小さな眼鏡がアクセントになってるが、以外に顔立ちは柔和である。


 次に、


 『タンッ!』


 と、軽快に地を蹴る音。


 対してえらく小柄な同じ制服の影が先ほどの繁みを飛び越して現れる。


 裏山を駆け下りただろう勢いを器用に空中で殺し『ストッ!』っとやわらかく着地。


 まるで猫を思わせるしなやかな体捌き。


 「ふい~・・・。」


 立ち上がった姿は小さかった。


 名札を見る限り2年生『天羽 ソウマ』(あそう そうま)。


 小学生3年に見える134cmの身長。


 長めの前髪をかきあげると


 長めの睫毛に大きめの二重の瞳。


 小さめの鼻梁に桜色の唇。


 柳眉だけは意志の強さを現すように切れ長でアンバランス。


 だが・・・総合的に見てどこに出しても申し分ない美少女顔は可愛いが先に出て一種の愛嬌になっていた。


 「せんぱ~い、まってくださ~~~い!・・・」


 繁みからもう一人でてきたのは紺のセーラー服の小柄な少女。


 これも駆け下りて来たのだろう勢いをつけて飛び出し


 『ズザザザザ~~~~~~~!!』


 と砂煙をあげながら前かがみに急制動。 良いバランス感覚。


 元気良く上半身をはねあげるショートカットの女生徒の胸の名札は1年『猿橋 千明』


 クリクリ動く瞳は好奇心旺盛な性格を良く現してる。


 可愛い系、140cmの小柄な少女。


 先ほどの彼女の様子を見る限りやたら活発で運動能力は高そうだ。


 


 『ぷふぉ~~~・・・ぱぽぱ~~~・・・』



 

 高さ1mぐらいの底が抜けたドラム缶の中新聞紙で包まれた20cm程の丸い玉を入れ、それから伸びた50cm程の導火線を缶の外に出し下ろす。

 

 「安全確認~~~!そっちはどうだ~~~!」


 日下が大声で呼びかける。


 「体育館渡り廊下前~人影な~し、O~K~!!」


 ソウマが返事を返す。


 「給食室裏~~~いじょ~な~しです~せんぱ~い!」


 猿橋が返答する。


 「よ~し実験開始!、5m以上の距離をとって待機~・・・よし、点火!!」


 二人が寄ってきたのを確認しチャッカマンで火をつけた。


 手製の導火線が『ジジジ・・・』と危なげ無く缶のなかへ火を送り込む。


猿橋以外の二人が『スッ・・・』っと両耳を押さえる。


 数秒後・・・


 『バカ、ガキャキャカシャーン!!』


 「にゃ!!!」


 『ぱふぉ!・・・』


 重いドラム缶が爆発音で揺れそれと共に内部で硬質な物が多数ぶつかり跳ね返る音が一瞬響く。


 一瞬辺りが静寂に包まれる。


 チョンチョンと多少ボコボコになった缶の表面を触って熱がないことを確認して傾けると、


 『ジャラ・・・』


と、黒焦げた釘や鋭利な鉄片、ガラス片等が溢れ出た。


 「よ~し、実験成功!」


 猿橋、これが我が理科部忍法研究班の自作忍術である『火遁炸裂玉』だ!


 ・・・どうした猿橋、耳を押さえて?」


 「部長~耳がキンキンしまふ~~~」

 

 「おお、この実験はかなり大きな音が出るから注意するように!」


 何事も無かったように部長言い切った。


 「むう・・・おお?!缶が一瞬でデコボコに・・・すごい威力ですなあ。」


 少しスネ気味だったが、初めて結果を見た猿橋は目を瞠って素直に関心している。


 「そうだろ、そうだろ~う、そもそも忍者の忍法と言う物は・・・」


 さっきまで裏山でやってた実技実験でもいいリアクションをしていたので歓迎会もかねた実験披露は盛り上がっていた。


 観客は一人なのはしかたないが・・・。












 新入生の猿橋を前に今の実験をアツク語る部長を見て苦笑する。


 あまり熱を入れすぎて引かれなければいいだけど・・・


 まあ、気持ちはわかるけどねえ。


 突然だがこの学校の部活は数が少ない。


 運動部は男子3つ女子3つ。


 文化部は男女混合4つに同好会1つ。


 その文化系の1つが俺が所属する理科部である。


 校則の一つに生徒は必ず一つ以上の部活動に入ることが決まっており、入らなければ延々先生達から注意されることになる。


 中には『あうとろー?』を気取ってよく捕まって叱言を受けてるやつもいるが、案外平和な学校なんで数は少ない。


 と言うか・・・部活の中でもユルイとこに入る方が楽だと思う。


 そのユルイ部活の一つがこの理科部で部活の中では部員数は1、2を争う大人数!


 ・・・内、幽霊部員数は1位確定。


 顧問の技術の坂本先生は「自主的にやらないと部活の意味が無い」というありがたいお言葉で、放課後等の参加は自由。


 結果、理科部幽霊部員=帰宅部ということだ。


 まあ、まじめにやってる部員も少なからずいるが大概部室には10数人。


 タムロってマンガ読んだりゲームしたりしている。


 何かしら実験作業始めれば「めずらしい!」ぐらいだが・・・。


 部長に関してはとあるテーマに限って積極的に取り組んでいる。


 マンガ、アニメ、特撮に多大な情熱を燃やす人で俺も結構この人に感化されている。


 家の家族構成が人よりちょっと特殊でじいちゃんと俺の二人家族


 ・・・って~こともあり先輩と会うまではじいちゃんを師匠とする古武術一筋な生活を送っていた。


 学校から帰ったら修行、畑仕事、山での食料調達、寝るといういつの時代の生活か?って感じだった。


 まあ、そんな生活してたら体力とか腕っ節とか強くはなるが中学上がるころにちょっとしたスランプに陥った。


 じいちゃん曰く


 「お前は家の流派の才能が無いだから違うことで己を磨け」


と、やさしく諭された。


 それこそ昔から


「じいちゃんみたいになる!」


って言ってた俺はさあ、どうしたもんか・・・ってことになってるときに日下先輩に巡り合った。


 最初は進められるままに暇つぶしっぽくいろんなモノを見せられてたんだが・・・。


 いや~今ではこんなにハマルとは思わなかったよ。


 「何にしても無駄な知識は無い」


というじいちゃんの言葉に甘え一気にオタク街道まっしぐら?


 後悔してるかと言われれば・・・日下先輩、あんたは俺の二人目の師匠ですってところ。


 脱線したが先輩の誘いでこの部に入り、まあのんびりとロボットやらゲームの話やらとオタトークに花を咲かせていたのは最初だけ。


 今もよくするが(笑)


 顧問の先生のある実験の許可ができて先輩の1つの趣味に火が灯った。


 所謂・・・忍法だ。


 よく漫画にある超能力じみたモノでなく『万川集海』とかに載ってそうな忍術を今の科学で再現可能かもしくは改良できるかを実験してレポートにする。


 それが忍者オタクでもある先輩のテーマだった。


 まあ、その知識や最たるもので語り明かしたら2~3日徹夜できる情熱家。


 去年はそれに付き合ってイロイロやったりやらされました・・・。


 詳しくは後日機会があれば語ろう。


 そんなこんなで今は最後のしめの火遁の術。


 さっきのは火薬玉に鉄片等を入れた忍者式クレイモア(対人地雷)


 そんなもん中学生がどうやって作るんだ!?って意見はあるかも知れんが先輩が部長になってから薬品関係の管理を自由にできるようになってエスカレートしてきた。


 最初は確か線香花火作る実験だったような気がする。


 ま、作ろうと思えばニトロだって薬局とかで材料そろえれる時代だし実際今度の爆裂玉(手榴弾)にはそこらへんの改良が為されてたりする。


 実験報告には音だけで危険は無い・・・と届けてるが・・・山の中だからって近所迷惑なんで滅多にできない。


 そういうことで、折角おりた許可を盾に新型の実験をしようってのがこれだ。


といっても大きさ15cmドラム缶がちょっと浮き上がったらご喝采~ってぐらいの威力。


 それをドラム缶の中にセットして導火線を伸ばす。


 ?・・・なんか臭うような・・・気のせいかな?


 「部長~そろそろいいですか~~~?」


 説明が終わったようなので合図を送る。


 「おう、今確認する~・・・こっちはオ~ルグリーン、いけるぞ~!


 猿橋は・・・素早い・・・もうさっきの定位置に戻ってる。


 「こっちもいけま~す!!」


 「よし、点火!」


 幾分いつもより火の進行が早いような?


 「おお~結構はやいっすね~。」


 おお!? 今度は真後ろに居やがった・・・こいつ忍者か?!


 なんて、冗談考えてる場合じゃない。


 「はいはい、安全位置に下がるぞ。」


 背中を押していく。


 「あん、もっとやさしく~。」


 「はいはい・・・。」


 そんな冗談に苦笑して。


 『ゴオ~~~~~~~~ン!!!』


 一瞬にして世界が暗転した。


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