自警団
「自警団」
ベルと外装の改良を重点的に行なってから6日ほど立ちました。
制服は作り直しインナーと学ランの2タイプに可変可能にした。
作り直すより省電力で可変に1秒掛からない優れものになった。(現在インナー仕様)
後で気づいたんだけどこのインナー、NMの集合体のようなもので汗等の老廃物は随時処理してエネルギーに変換ずっと風呂に入ってるようなものらしい・・・そういえばここってシャワーはあったが風呂ってなかったな。
それとお食事中のみなさんにはすいませんが、排泄がなくなってました・・・。
効率よくエネルギー摂取して残ったカスは燃やして熱エネルギーになってさらに残れば素材になる戦闘行動で排泄行為の無駄を省き食料を無駄なくエネルギーにする・・・この技術・・・地球に持っていったらエネルギー問題緩和されるんじゃ?
話を元に戻して外装も現在可変式にしてバックパックに変更~部分的に出し入れ可能にして首下装備状態で上から自警団支給の灰色コンバットベストを羽織ってます。
そして現在オレはコクーン北の森の中、樹上の人となってます。
それというのもキャラバンがこねえ>新鮮な食料が買えない=固形ブロック食オンリー・・・
食堂も開けないので2日前から狩をしてます。
今のコクーンは家畜はいるが主な産業は農林業でほんとに祝い事や何か無いと家畜をつぶさない(シメル)
まあ、キャラバンが一応の商店の変わりになって定期的にこれたから・・・というのもあったからコクーンに商店らしきものって雑貨屋ぐらいしかない状態。
食料品もそこに売ってるんだけど・・・保存の利く固形やゲル状飲料とか・・・カンズメとかってないみたい・・・。
果物や穀物はあるんだけどね・・・時期的にドライフルーツと小麦粉みたいなもの?
とにかく肉が食いたい!
その思いが俺を行動に走らせた。
自由に狩をするためには中央に行ってハンターギルドで登録しないといけないそうだが行って帰るまでにジープで1週間ほど掛かるのとバンデットが最近横行してるので危ないので行けない。
そこでベルに何か手は無いかと検索してもらったら、緊急措置というか自警団権限で団員が食料調達の狩猟を行なえることがわかった。
そこで食堂ですでに知り合ってた団長さんに話をすると一人は危険だというのと子供には団員として力不足と言われたので断念かと思ったんだけど
「団長、多分ソウマは腕が立つよ」
と、ミレイユさんの一言で元傭兵で一番強いとされるジョアンさん、団長自らが腕試し兼入団試験をしてくれることになった。
「3分持ちこたえたら合格にする」
といわれたので調度久しぶりに闘気法を練ってみることにした。
『カイネ流闘気戦術』
それが俺がじいちゃんに叩き込まれた格闘術だ。
まあ、俺には才能がないそうで技は3つしか教わってない。
けどそのうち一つは回避技で約180秒いけるはずって~ことで気を瞬時に練って丹田に落としこみ感覚を広げる。
『マスター、不明なエネルギー波がマスターを中心に半径3mに放射されてますが何をしているのですか?』
『ああ、気を使って空間把握能力を高めてるんだ・・・今はセンサー全てカットしといてくれ』
「了解・・・しかし大丈夫ですか?」
今まで感覚として捉えれた範囲が一気に狭まった。
こんなに感覚的に広がってたのか・・・と少し驚いた・・・だが
「手加減は抜きでいくぞ・・・」
上着を脱いだジョアンさんはシャツの上からでもわかるぐらい鍛え上げた戦士の体つきで無駄なところが無い。
「さすが元傭兵・・・30代には見えませんね」
「ほめ言葉ととっておこう・・・何? ふざけてるのか?」
目を閉じた俺にジョアンさんはいぶかしげに問う
「いえ、まじめですよ・・・俺が10年以上やってきた技術の一つです」
「そうか、なら『ブン!』いくぞ!」
セリフの途中からの攻撃、右ストレートがからぶる。
なかなか、機用な手だ・・・でもすでにあなたは技に絡められてる。
「あれをかわすか!? 見えてるのか?」
「見えてますよ、目では無いですが」
「センサー系の改良型か? なら・・・」
ジョアンさんが何かしたみたいだ耳の奥で耳鳴りがした・・・唾をのんどこう『ゴクリ』んなおった。
『マスター、レーダージャマーと微粒子のチャフを確認、センサー能力の90%がダウン・・・ですが現在100%ダウンしてるので変化はありません』
『OK~♪』
そういってる間もジョアンさんの攻撃は続く。
上下にばらした突きや蹴り、攻撃をおとりに背後に回っての肘撃ちや足払い。
そのことごとくが空を斬る。
ジョアンさんの焦りや焦燥が息使いや技の乱れで手に取るように解る・・・見切った!
そろそろ150秒か・・・ころあいだな。
閉じていた目を開いた。
私は正直驚いていた。
目の前の美少女とも見える10才に満たない子供に本気になって闘っているのに掠りもしない。
こんなことは現役時代に格技のマスター相手でもなかった。
しかも相手は目を閉じている。
私が使ったセンサー無効化のNMは確かに利いているはずだが相手の動きに変化は無い。
いや、今気づいたが変化している・・・最初は大きく回避行動をとっていたが今では数ミリ単位で回避されている。
ソウマは10年以上培った技術と言っていたがどうすればこんな子供がここまでの域に達するのか?
異世界の漂流者とは聞いているがこの格闘センスは正直恐ろしいものがある。
ただガムシャラに攻撃を繰り出すようになっている、気がつけば額に汗が流れ腕で拭ってしまった。
なんて事だこれでは新兵の様ではないか!
隙ができてしまった相手の攻撃が来る!と思ったがそれはこなかった。
しかし、それはありえないことで裏切られた。
「な!? いない!!」
一瞬でソウマの存在が跡形も無く消えていた。
『ポンッ』
後ろから右肩を叩かれる
「!!?」
反応して後ろを振り返りざまに突きを出す、誰もいない!?
「クウ?!」
「左ですよ」
ソウマの声! その方向へ後ろ回し蹴り!!・・・いない!?
上!? 下!? 居ない!
試合を見ているミレイユを横目で見ると目を見開いて驚いたように私の方を見ていた。
「どこだ! どこにいる!?」
「もしもし・・・」
「わたしソウマ君・・・」
「今・・・」
声のするたびそちらを向くが影さえも見えないパニック寸前だ!
後ろを見て振り返ると
「あなたの前にいるの」
いつの間にか目の前、私の首筋に手刀を突きつけるソウマがいた。
「な!?」
『ピピッ・・・ピピッ・・・』
「あ、えっと・・・時間なりました・・・」
「よっし、合格?」
唖然とする私は力なく頷くが・・・本当に無邪気に合否を問うてくるソウマは先ほどと同じ人物とは思えなかった。
あの後簡単な筆記試験を受けたけど・・・時間が無かったんでベルにお任せした結果満点で合格。
ここの一般常識とかわからないし後で全部暗記したら良いだろうってことで。
「ま、ベルも俺の身体の一部ってことでいいかな?」
「マスター、それはただの言い訳では?」
なお、今回使った技はカイネ流闘気戦術の『戦律』という技で固定化した感知系の気で気の範囲内(今回は半径3m)に擬似的な触覚を形成その内部の動きを感知するって技だ。
利点は中の敵の息遣いや鼓動、から発汗、瞬きすら把握可能になる。
不利な点は一応多対戦用の技なので人数が増えるほど細かいことはわからなくなるのと情報収集量が増えると捌ききれなくなる。
ちなみに最後に使ったのは忍法『木霊の術』理科部で研究実験したトリック系忍術の一つ。
本当は耳元でイロイロつぶやいては消えそれを続けて相手を精神的に追い込むエゲツナイ技だったりする。
種明かしは簡単で常に相手の視覚から外れた場所に移動するだけ。
言うのは簡単だけど『戦律』で1対1の状況でなければ俺には不可能(じいちゃんはそんなの使わなくてもできてたな『戦律』の効果範囲はウン10m単位だったけど)。
NMの強化で精度が桁違いに上がり団長が汗を拭いた一瞬に瞬きしたので『瞬動 (仮)』で腕の影から後ろの視覚外に移動。
訓練所に使われてる建物を出て植え込みの木に寄りかかって座る。
ただ、一番の問題は・・・
「疲れた・・・ものごっつい疲れた・・・」
「マスター、生命力が著しく下がっています」
「ああ、闘気法は気を消費するんでなそれが原因だ
なに、ちょっと休めば回復するさ」
「了解、気というエネルギーは不明ですが・・・しかし通常の5分の1に生命力が下がり衰弱しているといってもおかしくない状態です大事にしてください」
疲れで腕を上げて答えるだけに留めて仮眠に入る。
実際、これが俺が才能が無いと言われた理由だ。
闘気法は気と呼ばれる生態エネルギーの根源の力を小出しにして技を使用するモノと聞いてる。
気は主に生命力と魔力の根源で気から後者に変換はできるが逆に生命力から気に変換はできない。
魔力から気はじいちゃんに聞けば『そういう術式はあるがそもそもお前の人並み半分以下の気の量では、生命力、魔力ともに規定値にも届かないから無駄」と切り捨てられた。
あまりにどストレートな言い様に子供ながらキズついたっけ・・・。
フォローにこの世界 (元の世界)が魔法を使う為のマナという行使に必要な素が枯渇してるから気も魔力も総量 (MAX値?)を増やす修行ができないと言ってたっけ。
そのうちマナのある世界で修行できたら良いんだけどな~マナがどういうものかわからんから不安ではあるが。
ナンニシテモ現状はカイネの技一つで生命の危機では死ぬよりマシ・・・使う前に逃げろとも口をスッパクして言われてた。
ウトウトとまどろんでたら人の気配がしたので顔を上げるとミレイユが目の前にいた。
「ソウマお疲れ~思ったよりも凄かったね~お姉さんびっくりしたよ」
そういって冷えた飲料パックを差し出してくれた。
ありがたくいただき乾いたのどに流し込むアップル風味なさっぱり味がシミル。
「プハー!・・・美味い!!生き返る気分♪」
「いい飲みっぷりだね~家の農園でできたものなんだけどそこまでおいしそうに飲んでもらえたらうれしいねえ・・・っと、これ自警団員の証明タグと通信リストね」
わたされた銀色のタグは軍隊のドッグタグのようなものでICチップみたいな認識とか個人データ、ナビのマーカーにもなってる物で通信リストは団員の携帯端末で衛星通信やマッパー等携帯電話についてる機能は大概入った(娯楽要素は除外)腕時計みたいなもの後で外装に合うように改造しとこう。
『・・・というか機能をまんまベルで使えないか?』
『はい、使えますから周波数や回線仕様のID等を移しておきます』
これで端末の前に行かなくてもネットを使えるようになった・・・ゴ○ウの神の眼ができるな・・・
『遠隔で核施設を制御とか軍事施設の兵器閲覧とかなら問題ないですね』
『頼むから止めてくれ・・・』
すこし怖くなった。
マッタリしていると団長もでてきてこっちに来る。
「よう、お二人さんいっしょしていいか?」
どうぞと促すと胡坐をかいて座り昼飯の固形食糧をもらう。
不味くはないんだけどね・・・飽きるんだ・・・これが。
「いや~完全にさっきは遊ばれたな、ソウマあれは本気ではなかっただろ?」
笑いながらにこやかに話を振ってくるが目が獲物を見る狼っぽいです・・・俗に言うバトルマニアな人種ですか。
「結構本気でしたよ試合という意味では」
「なるほど・・・では戦闘という意味では?」
「・・・わかりましたか」
俺のセリフに答えを見たのか団長がニヤリと獰猛な笑みを浮かべ・・・
「ハッハッハッ~やっぱりか~・・・で、それだったらソウマ・・・俺はどうなってた?」
心底楽しそうに笑いひとしきり笑ったあと真剣に聞いてきた・・・これは求道者の目か・・・
「最初のストレートに被せて肘を折り引き手にあわせて後ろに投げて首に膝を落としてました『ドンッ!』大体これぐらいの力加減で」
地面に立って0距離からの震脚モドキ、勁をこめて地面を穿つ硬く馴らされたところに足首までめり込む。
足を抜いて座る・・・やっぱり二人とも驚いてるな。
「やっぱりか・・・君は・・・いやあなたはその歳で格闘術の師匠なのですか?」
「いや、敬語は止めてください、団長は年上でここでは上司にあたるんですし
それに俺はそんな大層なもんでは無いですよ、今だじいちゃんにはかないませんし・・・」
ベルの力で強化してもどこまで通用するかわからんからな・・・じいちゃんはある意味規格外って言ってたし。
「ふむ、ならば戻そう・・・ミレイユから聞いてたがソウマのいた場所では君ぐらいの幼い歳でそこまで強くなってるものなのか?」
「いや、それはないと思いま・・・普通の人はそもそも武術なんかしませんが・・・知り合いには似たようなのがチラホラいます・・・それに俺は14にはなってるんで幼くはないと・・・」
「ええ~~~!? 私10才ぐらいと思ってた!!」
ミレイユ・・・たしかあなたには歳言ったような気がしましたが?
「すまん、私もそれぐらいと思ってた・・・生まれてすぐ10年も修行する環境とはハッタリと思たが・・・そんな世界もあるのかと・・・」
あんた・・・ハイハイもできない赤ん坊に武術教える世界ってこええよ!
「はいはい・・・ど~せ俺は女顔で童顔のチビですよ~だ・・・フン・・・」
木陰で体育すわりしていじけてやる。
『マスター自覚はあるんですね・・・』
心のキズをエグッテハバネロを移植するようなことをいうな~。
「まあまあ、スマン落ち着いてくれ悪かった」
「可愛いからいいじゃない~むさいおっさんよりも」
「すまんな、むさいおっさんで・・・」
団長も少し落ち込んだ。
まあ、たわいない話をした後三人で自警団の案内をしてもらっていた。
食料を調達に行くと言うと多少止められたが森の奥に行かないということで話がついて。
とりあえず護身用の銃でハンドガンを持たされたが使ったこと無いんで射撃場で訓練。
ベルのナビで実践したら面白いように狙った場所に当たる。
どこまで届くのか聞いたら曲射で約2kmとの事当たっても威力はそんなに出ないらしい50m以内が有効との事。
ミレイユがここでは一番腕が良いそうなので扱いは良く聞いとくようにしよう。
最後に自由に撃っていいといわれたので1500mに曲射・・・ありゃ~的に当たって弾かれてるな・・・でも目くらましや照明破壊には使えそうなので連続で残り5発てて終わる。
ミレイユがしきりに騒いでたけど半分以上ベルのおかげと言ったら納得してくれた今度ライフルとか試したいとのこと。
そして現在俺たちはガレージに来ています。
移動用のアシ・・・所謂車両が無いとここでは見回りさえ不便だということで用立ててもらうことになりました。
今まであまり見なかったけど・・・おお、やはりあったかバイク系の乗り物!
いつかはほしかったんだよな~自分のバイク♪
しかし食料調達の為荷台の無いバイクはだめとの事ミレイユと同じ電動ジープに落ちついた。
しかし、マイバイクはあきらめられない・・・交渉の結果スクラップなら裏手にあるから使っていいと許可をもらう。
ここが案内の最後だったので二人とわかれスクラップの山を眺めてると心なしかこれが宝の山に見えて興奮する。
特にここに来る前からドンナ型が良いとかは無いんでネットで調べて気に入った形のものを選ぶ。
「ベル使える部品とか調べれる?」
「素材としては全て使えます」
ああそうか分子構造も弄れるんだっけ・・・あ!
「ベル、この中で使って外装の強化になりそうな金属とかあるか?」
「サーチして見ます・・・幾つかありますねイメージ送ります」
金属の性質とかいろんなデータが送られてきた・・・が
「どこにどんな物質を使えばいいか判らん・・・ベル頼んだ通常速度でな
あと、バイクはこの小型オフロード仕様と・・・この制服みたいに収納用可変機能も頼む」
ジープに乗せておいて森の中で使うのもありだしな。
「了解、外装バックパックをそこにおいてください」
背中からバックを下ろし少し離れる。
「では、構築開始・・・所要時間・・・並行処理で25分15秒・・・」
NMの光が舞う光景を俺は、おもちゃを買ってもらうことを喜ぶ子供のようにわくわくしながら眺めていた。